マツシマ

ARGYLLE/アーガイルのマツシマのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
3.7
大人気スパイ小説の原作者エリー
原稿に行き詰まり愛猫アルフィーと共に旅に出た彼女の前に現れたのは本物の「悪の組織」
「想像したことが現実の悪の組織の実情を描きすぎている」として襲われた彼女を救ったのはこれまた本物のスパイで…?


「キングスマン」のマシュー・ヴォーンがまたトンデモスパイ映画を作ったぞ!!
しかも猫が出る!!!

ということで観に行きました
とりあえずかなり冒頭で猫ちゃんが出てきたところでニッコリほっこり
根拠はないけど「絶対に猫ちゃんは最後まで大丈夫」という安心感があったので後はただ成り行きに身を任せてジェットコースターのようにスパイ・アクション映画を楽しむだけの姿勢となりました

「キングスマン」シリーズで戯画化されたスパイアクションを経て、3作目の「ファースト・エージェント」でやや重い感じに振ったので、どうなるかな…?と思ったのですが、「猫ちゃんを出す」という時点で見えていました

今作はかなり戯画的というか、オモシロスパイ・アクションに全振りしてました
ここまで露骨に面白に振ったの、過去にはなかったかも知れません
(「キングスマン2」もかなり振ってたけど、一応切ないシーンはある)
そのくらい全部が全部ふざけてて明るくてめちゃくちゃで派手です

それが悪い意味ではなく、本当にただひたすらエンタメしたかったんだなあ…と
そして私的にそれは楽しめました
猫も出るし…


「小説家の書いた作品が現実とリンクし過ぎてるから命を狙われる」
というちょっと入り組んだ設定で、それでどうやって2時間半もの映画を回すの?物語の推進力はどうなるの?
と思っていたのですが、中盤の転換点でなるほど「そう来るか…!」と
シナリオのひねりがキャラのひねりとリンクしており、さすがにもうベテランの風格を感じました
昨日今日エンタメ映画監督始めた人ではない…

ただ毒っ気が良くも悪くも抜けているというか、ブラックなところがない映画ではありました
「キック・アス」と比べると非常に顕著で、今作はスパイアクションとしてバタバタ敵役が倒れるのですが、血がほぼ一滴も出ないんですよね
血やグロな描写が一切ない
(猫も出るし、より全年齢向けになってるからかな?)
どこかブラックだったりグロだったりの要素があった今までの作品に比べると、驚くほどクリーンで漂白された印象を受けます

その分アクションはより曲芸的と言うかショー的な(非現実的な)方向に振り切ってて、見たことない演出で戦ってくれるのでそこは良かったです
笑ってしまった

推せるキャラがいなかったのと、敵がショボ過ぎたのと、
「いや、親玉仕留めれるタイミング3回位あったやろ」というのを物語の都合上か主人公達がスルーするのは惜しかったです

まあマシュー・ヴォーンとしては物足りなさもあるんだけど、頭空っぽスパイアクションとしては楽しめたし、なにより猫がカワイイので、善しとします!!!




ラストのアレ、期待していいんですか?いいんですよね?