マツシマ

DASHCAM ダッシュカムのマツシマのレビュー・感想・評価

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)
2.9
迷惑系ネット配信者アニー・ハーディーはコロナで閉塞感ただようロスを離れ、イギリスに住むかつての音楽仲間”ストレッチ”の家にアポ無し突撃
迷惑過ぎて当然の如く追い出されたハーディーはストレッチの車を盗み夜の街へと駆け出す
そこで配達サービスを利用した奇妙な依頼を受けるのだが……


これぞ立派なる”クソ”映画!!!!!
と胸を張って言える、珍作の登場だ

何がクソって、ストーリーもクソもないトンデモ展開のオンパレードなのは別にええとして、とにもかくにも主人公、アニー・ハーディー(演じるのはアニー・ハーディー………えっ!?本人!?)
の見事なまでにブチギレた「クソ女」ぶりだ
クソ女、なんていうと女性蔑視的なニュアンスが漂ってしまう言葉だが、そこは安心して欲しい
今作のアニー・ハーディーは男女関係なく、全員がそう呼びたくなるほど完璧な「クソ女」なのだ


自分勝手、ワガママ、口が悪いというか常に下品なことを言っていなきゃ死ぬのかってくらい汚い、(恐らく)レイシスト、反コロナの(ほぼ間違いなく)陰謀論者、ライブ配信の受け狙いで迷惑行為も厭わない倫理観の異様な低さ

枚挙に暇がないほどのクソっぷりで、このバカが怪異に襲われるんだけど、ギャーギャー叫んで走ったり暴れたりするだけ!
ウザいったらありゃしない


だけど、なんか私はこれが憎めないというか、なんなら「コイツおもしれーーークソうぜーーーけどなんならちょっと死んで欲しいけどおもしれーーー」と感じました


実際にホラー映画にはクソ野郎が必要な時がある
「このクソがいつ、どんな酷い死に方をするんだろう???」
というのは、ホラー映画を最後まで観る上で十分な動機になるからだ

だけど、アニーは死なない
まーーーほんと、なっっっかなか死なない
「死んだか???!!!」
と思いきや、全然生きてる

生きてるし、相変わらずまギャーギャー叫んで走ったり暴れたりしてる
口も汚い


この辺りについて
「このクソ女が死ななくてどうするんだよ!!ボケが!!!」
と大変お怒りになった人もいるそうですが、私は逆でした

この笑っちゃうくらいクソな奴が、何故か死なない
死なないどころかギャーギャー騒ぎながら、なんかノリで怪異を殴り倒してたりする

そういうめちゃくちゃさ、嵐のような勢いと理不尽さにむしろ好感を持てました

アニーのクソさが、マジで寒いなこの人間、て種類であって
動物を殺したりそういう方向の「本当の悪」とも違ったからだとも思います
とにかくイタい
イタいけど、悪ではないんです
クソだけど


「どう考えてもホラー映画で死ぬタイプのクソが何故か死なずに暴れまわる」

ていうの、やっぱ私は面白いと思う


展開はめちゃくちゃで謎も謎なままなんですが、地獄巡りのように異様な状況になっていき、終盤ある1点から完全に異界に入る構成
「V/H/S」シリーズに近い味わいを感じられるので、当該シリーズのファンなら楽しめるんじゃないかなと思います
(特に謎の宗教団体のやつ)

ただまぁダメな人にはとことんダメな気もするし、ホラー好きというだけで勧めるのは難しい映画ではあります

配信画面のみで展開されるPOV構成そのものには特に目新しさもないので、そこはまぁ……



スタッフロールが最高にウザいので、時間を無駄にしたけりゃ観ておくれっ!