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スーパーマン ディレクターズ・カット版のBACのレビュー・感想・評価

5.0
・ヒーローアクション映画ではなく「おとぎ話」で今から観るといろいろと緩い出来ではあるし、技術的には古い感じにはなってしまってるのだけど、様々な魅力的な要素には強力なマジックがかかっているよう。そこは未だ消え去ってはいないと思う。

・健全で大らかさな頼もしい正義の味方のスーパーマンという存在を信じさせてくれるクリストファー・リーヴ。素晴らしいとしか言いようがない。気弱なクラーク・ケントと頼もしいスーパーマンの演じ分けがどちらも魅力的。

・これがスーパーマンだ!とでも言わんばかりのジョン・ウイリアムズの手によるテーマ曲。あのオープニング・クレジットを公開当時に観た人は快感だったに違いない。

・スーパーマン初活躍で助けられたロイス・レーン。助けられた後スーパーマンから目を離せなくなって心を奪われた感じになってる様子がかわいい。

・ビルから落ちてるロイス・レーン。背景が上から下に流れるけど、スーパーマンに抱きとめられ背景が停止。一緒に上昇し始めると背景も下から上に逆に流れ始めるところいいね。当然のことなんだろうけど、それがきちんと描写されてる快感があると思う。

・史上初の本格的アメコミヒーローの映画化ということもあってか、スーパーマンになるまでがじっくり描かれる。そこでのスター・ウォーズとかとはまた違うクリプトンのデザインやノーマン・ロックウェルの絵画を連想させる麦畑の風景の撮影が魅力的。感動的な感じもあってここがいいんだ。アメリカ人にとっての原風景みたいなものかと思う。

・光が飽和してるようなジェフリー・アンスワームの撮影がいい。赤青黄色のスーパーマンの姿が魅力的に撮れてる。ミサイル追跡の荒野の背景など上下から圧迫したような感じでいいね。

・三馬鹿大将的な扱いで、ミサイル操作の場面はちょっと軽くなっちゃったかなーと思わないでもない悪役のルーサーだけど、演じるジーン・ハックマンのおかげで面白く観れる。子分のオーティスにも実力派の俳優が担当してて二人のやり取りなど可笑しい。

・実力派の俳優ということでは冒頭のクリプトンの評議員とかも説得力ある存在感。ゾッド将軍のテレンス・スタンプもそう。

・地球に来るときのクリスタルのうに型宇宙船。星の王子さまだな、と連想する。

・70年代半ばくらい之映画界にはクラシックな映画の良さを見直すという動きがあったはずで、本作もそういう動きに乗っていると思う。

・映画全体を包む大らかさの雰囲気が魅力的で、緩いは緩いけど特別なものになってるよ。
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