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ブルー・バイユーのkuuのレビュー・感想・評価

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
3.7
『ブルー・バイユー』
原題 Blue Bayou.
映倫区分 G.
製作年 2021年。上映時間 118分。

養子としてアメリカにやってきた韓国生まれの青年が、移民政策の法律の隙間に突き落とされ、家族と引き離されそうになりながらも懸命に生きる姿を描いたヒューマンドラマ。

『トワイライト』シリーズとかに出てて俳優としても知られる韓国系アメリカ人のジャスティン・チョンが監督・脚本・主演を務め、
『リリーのすべて』のアリシア・ビカンダーが主人公を支える妻役で共演した。

韓国で生まれ、3歳の時に養子としてアメリカに連れてこられたアントニオは、大人になったいまはシングルマザーのキャシーと結婚して自ら家庭をもち、娘のジェシーも含めた3人で貧しいながらも幸せに暮らしていた。
ある時、些細なことで警官とトラブルを起こして逮捕されたアントニオは、その過程で30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。
移民局へと連行され、国外追放命令を受けてしまう。
下手をすれば強制送還となり、そうなれば二度とアメリカに戻ってくることはできない。
アントニオとキャシーは裁判を起こして異議を申し立てをしようとするが、そのためには5000ドルという高額な費用が必要だった。
途方に暮れる中、家族と離れたくないアントニオはある決心をする。。。

ジャスティン・チョンが脚本と監督を務めた今作品は、
これまた何足の草鞋を履くのかっ!
ジャスティン・チョン演じる韓国系アメリカ人のアントニオ・ルブランが、家族とアメリカ市民としての地位を守るために戦う姿を描いた映画でした。
多くの移民がアメリカで直面する不安と困難を力強く表現してて、家族が耐える混乱、特にその影響を受けた子供を見ることで、深い悲しみと感動を覚えました。
今作品は、30年から40年、時にはそれ以上アメリカに住み、出身国の言葉さえ知らない大人が、家族の絆もなく、送り出される国との同様の絆もなく、この異国の地に強制送還されるという、まだ対処されていない、多くの原因となった重要な問題への認識をもたらしています。
今作品には、ルイジアナ州のバイユーの美しい撮影風景や、ニューオーリンズ周辺で撮影された息を呑むような夕焼けのショットが含まれてました。
脚本も、主人公が直面する葛藤と不可能な選択の両方を描いている点が際立っていたし、美しい音楽と映像にのって淡々と進む物語は、リアルでドキュメンタリーのよう。
また、アジア系アメリカ人としての彼自身のアイデンティティ、過去や文化の試金石を探し、ルイジアナで過ごした30年以上もの間、"他者 "として追放されたように感じていたことと比較している。
アメリカの養子縁組制度の見えにくい醜い部分を考えさせられ、日本に暮らしてながら憤りすらを感じました(小生は私事ながら強制送還の憂き目にあってるし八つ当たりも含め)。
悲しくて切ないのですが、でもまぁ人々の善意ってのが多少なりとも感じられるんがせめてもの救いかな。
えもいわれぬ気持ちにさせてくれる作品でした。



余談ながら曖昧ですし、ホンマでっかで読んで頂き、誤りがありましたらお伝えください加筆修正致しまーす。
米国では、2000年に制定された
『児童市民権法』(The Child Citizenship Act of 2000)が、同年以前に18歳になった国際養子には適用されず、国外退去のリスクがある。2021年の養子市民法が通れば、国際養子は年齢に関係なく米国市民となることができるようになるんかな。
2022年2月4日、2021年養子市民権法が2022年アメリカCOMPETES法の修正案として米国下院で可決されたそうです。
また、2022年アメリカCOMPETES法には多くの修正案が追加され、原案通りではないものの、基本的には、この修正案は同じ効果を持つことになる。
2022年アメリカCOMPETES法の上院版は既に可決されてる。
下院版とは異なるため、今後、会議委員会が設置され、相違点の解消が図られる予定だそうです。
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