Jaya

残されたぬくもりのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

残されたぬくもり(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ペルー内戦の記憶と現在を、ケチュアの人々を中心に辿るドキュメンタリー。ケチュア語の立ち位置など、現地の人でなければ分からなさそうな箇所が多い。

映像の美しさが素晴らしく、人々の悲しみと怒りを引き受けるようなカメラワークと色味。顔より手元を強調するような構図が印象的でした。

記憶の象徴として映し出される橋と歌。この歌が美しい。物語よりも歌の方が、人間が感情を語り継ぐ媒体として相応しいという気持ちにさせられました。

そして後半で焦点を当てられる、記憶を辿る母と子。親子の様態に加えて、母と子どもたちの、絶妙な世代間の不一致の空気感が素晴らしい。

説明的なものは一切なく、ペルー国民向けの様相が強いかとは思いますが、淡々としたテンポで、過去と記憶を克服したり受容したりしようとする人々を鋭く切り取り、そこに普遍性が提示されているように感じた名作でした。
Jaya

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