牛猫

グレタ ひとりぼっちの挑戦の牛猫のレビュー・感想・評価

3.7
スウェーデン出身の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの素顔に迫るドキュメンタリー。

オンライン試写会にて。

スウェーデンって税金は高いけど、その代わり福祉がかなり充実していて、環境先進国なイメージを勝手に抱いていたけど、選挙で環境保護を公約に掲げる緑の党の得票が伸びなかったり、国民主義政党の得票が伸びていたりと、国民の意識はまだそんなに高くなさそう。だからこそ、グレタさんが危機感を持ったのかもしれない。

大人の操り人形だとか、学校に行きたくないだけとか、日本でもニュースに取り上げられたことで色々な非難を浴びていたけど、15歳の女の子が環境問題に危機感を抱いて実際に行動を起こして、世論を動かしていくって単純に凄いことだと思う。政治家や専門家の前でも自分の言葉でスピーチができていたし、受け答えもしっかりしている。しかし、両親は複雑だったろう。元々鬱気味だった娘が活動を通して元気を取り戻していくのは良かったけど、メディアや政治家を含めた世界中から容赦のない誹謗中傷が飛んでくる。中でもトランプの幼稚さは際立っていた。
映画の中では環境問題について触れられることはなく、あくまでグレタさんの日常を映すことに徹している。現状のままだとなにが問題かというのは調べればいくらでも出てくるしね。

アスペルガー症候群を抱えながらも、それを障害とせず自分の強みに変えてしまう。その姿勢がとてもかっこよかったし、多くの人に勇気を与えたと思う。悪天候が迫る船の中で不安を紛らわすように描いていた動物のキャラクターの絵が可愛い。雨が吹き込む中スマホに向かって語っていた言葉が本心だったんだろう。あれだけ多くの人に期待されて担ぎ上げられてしまう重圧は想像を絶する。
彼女をヒーローにして終わりではなく、世界中の人が少しでも意識を変えていくことが大切。
普段の生活の中から出来ることをやっていこうと思ったし、今度の衆院選では環境問題にも目を向けている政党に投票したいと思った。
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