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最後の決闘裁判のMayoのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.7
中世フランスの騎士・カルージュとその妻・マルグリッド、そして旧友ル・グリ。3人の目線を通してル・グリによるマルグリッドへのレイプと、その決闘裁判が描かれる。

チャプター1でカルージュの目線で話が進んでいく時は、ものすごい勢いで時間が飛んでいくわりに、短い1つ1つのシーンのスケール感がいちいちすごいことになっていて、なかなかついていけなかったんだけど、チャプター2、チャプター3と進んでいくうちに、出来事の目線が多角的になり、立体的になってきて、更に「あぁこれとこれの間にこのできごとが挟まるんだな」とか時系列もしっかり把握できるようになってきて、見事に構成された脚本だと思った。

テロップでの演出でもそうなっているように、真実にほど近いのはマルグリッドの目線だとすると、男性2人の都合の良い捉え方には唖然&嫌悪感。でもこれはきっと多くの男性がそうなんだろうな。性的同意などとも通じる部分。
マルグリッドの目線によって、ル・グリによるレイプの全貌も明らかになるけど、カルージュの姿すら全く違って見えていることにも驚いた。
時代が時代とはいえ、「妻は夫の所有物」という考え方や「絶頂に達すれば子供を授かる」という間違った知識がまかり通っていたことなど、女性の立場が弱すぎて苦しかった。こんな風に歴史から現代を映す作品は貴重だなぁ。

ラストの決闘裁判のシーンはとても見応えありました。あそこまで正統派にグロいの久しぶりに見た気がする。
最初は結構血が噴き出したりすることにびっくりしたけど。馬がひっくり返るところとか一体どうやって撮影してるの?

マット・デイモンとベン・アフレックのビジュアルがいつもと違いすぎて、2人とも気持ち悪さをビジュアルで表現しててすごかった。カルージュの髪型と顔の傷は特に特徴的だったなぁ。
そんな2人の間で、アダム・ドライバーはいつも通りの黒長髪なんだけど、いつも通りに良かった。「ハウス・オブ・グッチ」も楽しみ。
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