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信虎のHKのレビュー・感想・評価

信虎(2021年製作の映画)
3.0
寺田農(みのり)氏が亡くなりました。享年81歳。
ごく最近の作品でもお元気そうだったのに残念。合掌。
本作のことは知りませんでしたが、晩年の貴重な主演作と知って寺田氏を偲びつつ鑑賞。
武田信玄の父、武田信虎を当時78歳の寺田氏が堂々と、そしてちょい怪しく演じています。

これまで数多くの作品に出演しながら、主役を演じたのは『肉弾』(1968年、岡本喜八監督)、『ラブホテル』(1985年、相米慎二監督)と本作の3本のみだとか。
私の場合、寺田氏との初めての出会いはTV『ウルトラマン』第14話「真珠貝防衛司令」(1966年、実相寺昭雄監督)でガマクジラの犠牲者となるトラックの運転手あたりでしょうか。実相寺作品の常連でもありました。

で、本作ですが、金子修介(平成『ガメラ』3部作)と歴史美術研究家の宮下玄覇(誰?)が共同監督で、宮下氏がほぼ全額出資したという珍しくも怪しい作品。
「随所に〝本物〟へのこだわりが詰まった歴史ファン戦国ファン必見の映画」なんだそうですが・・・そうなんでしょうか?

たしかに私はとくに歴史・戦国ファンではありませんが・・・う~ん、正直、面白くない。
登場人物は多いし、難しい用語や字幕は多いし、声は小さく聞き取り辛いし、演技もなんだか大袈裟というか大雑把、寺田農も「な、な、なんと!」のようなセリフが多く、怪しい神通力を使うあたりはもはやギャグのような・・・

これは平成『ガメラ』シリーズ以外は面白い作品が見当たらない金子修介のせいか、それとも映画は素人の宮下玄覇のせいか、もしくはその両方か。
なんだか昔の角川映画のハズレ作品を観たときの思いが蘇りました。

脇には申し訳のようにベテランの永島敏行や榎木孝明、堀内正美や蛍雪次郎、ほぼ紅一点とも言える谷村美月(眉ナシお歯黒)の顔も見えますが、その他大勢は知らない人ばかり。
3年前の作品なのに、隆大介や渡辺裕之らが既に亡くなっているのもあらためて驚き。

寺田農氏の最後の主演作という事で星の数は大幅にオマケです。
氏の代表的な主演作といえば、やっぱり岡本喜八の傑作『肉弾』。
今ならU-NEXTで観れるので、観たことのない人は是非そちらをご覧ください。
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