太平洋戦争の戦略上の重要拠点、硫黄島にて、米海軍の占拠は時間の問題という戦況下で、その占拠とそれに続く米軍の本土攻撃を、少しでも遅らせるために満身創痍で死ぬまで抵抗を続ける日本軍兵士たち。リアル戦争映画を、一方の当事者国の映画監督が、対戦国の視点で作ること自体レアだが、結果として、日本兵の描き方が客観的だ。そして、日本人監督では、反戦トーンの映画であっても描かなさそうな、2タイプの人物像が見られた。1つは、戦前にアメリカ人と交友を持ち、交戦中も米兵を憎みきれない 2名の軍高官。もう 1つは、自分が生きて帰ることを国家よりも優先する日本兵。後者の「バンザイ自決するより生き延びて戦う方が国のため」発言、正論だが本音ではなく、虚空にこだまする。水も飲めず人間として機能できていない状況で、負けを先に延ばすために玉砕する彼らを見ると、もっと早く打つ手がなかったのか、と思わずにいられない。劇伴はイーストウッドの息子カイル担当で、室内楽、時折の無調ピアノが印象的
