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ルパンは今も燃えているか?のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
ルパン三世OVA第5作

ずっと見たかったレア作品、『カリオストロの城 4K+7.1ch』(以下、『カリ城』)との併映にて、ようやく鑑賞できました。
色々ご意見出ておりますが、まずは本作の立ち位置をご理解いただきたいので、概要記載させていただきます。

【作品概要】
本作は、1967年に連載開始された『ルパン三世』の原作、誕生50周年プロジェクトの締めくくりとして、『ルパン三世 PART5』のBR及びDVDVol.1プレミアム先着特典として同梱された、超レアな記念作品です。
総監督はなんとモンキー・パンチ氏。キャラデザにはTVSPで最も長期に渡りルパンの総作監・キャラデザを務めた平山智氏も復帰。(平山智氏は、アニメ化40周年記念の『ルパン三世Master File』でもキャラデザをしていましたね。)
物語は、タイトルからも分かるとおり、TV第1シリーズの第1話『ルパンは燃えているか・・・・?!』をベースにしております。そこに、第1シリーズに登場した過去の宿敵との再戦と、ルパン一家の絆を描きます。
ちなみに、ミスターXは第2シリーズ、パイカルはOVA第2作『生きていた魔術師』、魔毛狂介はTVSP第19作『霧のエリューシヴ』でも再登場していたので、完全な再登場となったのは以下3人でしょうか。

①百地三太夫のじいさん(TV1 第5話『十三代五ェ門登場』より)…五ェ門の殺しの師匠、通称は"伊賀の死神"。五ェ門には他にも剣の師匠・示現流総帥、伊賀忍法の師匠自然風太郎先生がいます。余談ですが、映画『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』では、五ェ門は百地のじいさんに変装していましたね。
②ストーンマン(TV2 第99話『荒野に散ったコンバット・マグナム』より)…次元に決闘の約束をすっぽかされたハゲ。本作では、次元が決闘の場に現れてしまったため、後の世界に影響が……となります。
③プーン(TV1 第9話『殺し屋はブルースを歌う』より)…不二子の元相棒にして、かつて愛した男。プーンとルパンのどちらをとるか、本来は不二子に選ばせたところを、ルパン自身で撃ったため、逆上した不二子にルパンが撃たれ……。


さて、そんな概要を踏まえたうえで、本作の感想をば。
初めに触れたいのは、この歴代キャラクターを知らないで、『カリ城』のついでくらいに見てしまった人は、正直あまり楽しめなかったのでは?ということ。
私はメインが本作でしたので、最初に上映してくれたため大満足。『カリ城』はカットカウントしながらのんびり見るくらいぼけ〜っと見てしまいました。
しかし、一般客、それも子ども連れで見に来ているファミリー客は、相当面食らったのではないでしょうか?
特に、不二子への拘束お色気拷問シーン。子どもに見せるのはちょっと憚られるシーンだったことは言わずもがな、これが性の目覚めにでもなっちゃったら困りものでしょう笑(個人的には、TV第1シリーズをしっかりなぞる+おかわりしてくれたので、「おおお〜!いいぞもっとやれ!」と、ミスターXが乗り移ったかのような心境でしたが。)

次に、魔毛狂介再登場によりまたまたタイムトラベルによる過去改変、即ちタイムパラドックスが発生する点。
今回のタイムトラベルは、完全に祖父殺しのパラドックス発生後、平行世界へと突入する作りとなっています。
しかし、魔毛は分岐した過去を生きるルパンの前にわざわざ現れてしまうのです。ミスターXの指示とはいえ、これは余計なことでしたね。ほっとけば、自分たちの世界線では憎きルパンの存在はその時点でロスト。"分岐した平行世界"のルパンは別の人生を送るんですから。
とはいえ、"ルパン自身に改変前の記憶がある"という状況がまた複雑さを生みます。そもそも今回の改変が、過去のある時点をピンポイントに複数回変えるわけですが、1つ目の改変が行われたその瞬間、バタフライエフェクトによりその他の事象もまた発生していないものとなるのでは?と考えられるわけで、魔毛が移動させる時間軸はどの線に沿っているのか……?????
と、タイムパラドックスネタが登場するおかげで、頭の体操が捗る捗る。30分程の短い尺でも、十分に楽しめました。

最後に、歴代ルパン総決算的本作がスクリーンで見れたことです。
歴代宿敵の大盤振る舞いも、大スクリーン狭しと動き回るルパンも、やっぱり最高だ!
さらに言えば、小林清志さん引退により、二代目次元となった大塚明夫さんボイスの次元が登場するpart6の宣伝が、本作と『カリ城』の間に挟まったのも、熱いですねぇ。


ルパン三世という概念・ミームが紡いできた歴史そのものにも思いを馳せることができ、たまらなく嬉しいし、実に感慨深い。
ルパンに精通していない若輩者の自分ですらそう感じるのですから、長年のファンの皆さんは、本作がスクリーンで見れたことに対し、万感の思いがあったりなかったり……?
併映企画を実施してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
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