なお

ベルファストのなおのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
”ドント・ルック・バック"

先日発表されたアカデミー賞にて、脚本賞を受賞した超話題作を鑑賞。
自分が足を運んだ劇場もほぼ満員で、その話題性の高さをうかがわせる。
(ちなみにシアター数の関係なのか、なぜかMX4D用の劇場にて上映が行われた。当然席は揺れないし、日本語吹替版でもない)

✏️ホームタウン
本作の監督・脚本を務めたケネス・ブラナーの故郷である、北アイルランドはベルファストが物語の舞台。
宗教上の思想の違いから、たびたび自分の住む街を襲われる少年・バディが主人公。

そんなバディを取り巻く、父母と兄・祖父母・想いを寄せる女の子・悪友。
まるでベルファストという街全体がバディの「家族」であるかのような温かみを持ち、軽妙かつユーモアの効いた日常の会話が何とも心地よく、自分はもちろん劇場でも時折笑いが起こっていた。

自分は特に、バディと祖父母との会話がとても好きだった。
時に恋のアドバイスを送ったり、生きる上で忘れてはならない信念を分かりやすく説いてみせたり。
それだけに、「別れ」の瞬間はバディと同じくぽっかりと心に穴が空いてしまったような寂しさを感じてしまった。

✏️プロテスタント
ユーモアがあるだけでなく、(恐らくは)監督本人の体験に基づく、1960年代当時の「宗教上の対立」から生まれる人びとの軋轢をも本作では取り扱う。

一見重めのテーマではあるが、しかしそこはケネス・ブラナーの手腕が光ったか。
あまり暗くなりすぎず、重すぎず。「陰と陽」の絶妙なバランスも楽しめる。

☑️まとめ
最近では特段珍しくなくなりつつある「あえての白黒映像」作品。
昨年公開された『ライトハウス』で初めて触れて以来、自分はこの「あえての白黒」を駆使した作品において佳作以上の映画に巡り合えていなかった。

そのため鑑賞前は若干の不安もあったが、少ない上映回を選択して見に行った甲斐があったなぁ、と思わせられた一本。

🎬2022年鑑賞数:49(18)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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