たけのこれんこん

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのたけのこれんこんのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

世界的な大ベストセラー小説を世界同時発売するために9ヶ国の翻訳家を1箇所に集めて翻訳させていたらなぜか出版前の原稿がネットに流出して、これ以上流されたくなかったら金を払えと脅迫状が届く。
犯人は9人の翻訳家の中にいる……!

クローズドサークルらしく、誰が犯人だろう?!と腹を探りあってる序盤から、止まらない脅迫状にジワジワと追い詰められていく中盤。刑務所で面会されている人物は逆の立場だったとわかるタイミングやタネ明かしされる終盤まで、始終、緊迫感はずっとあったし、出される情報量がちょうどよくてストレスなく観られた。映像の演出が良かった。

でも、タネ明かしは微妙だった。
だって翻訳家を閉じ込めた出版社の社長は根っからの悪人じゃない。
翻訳家たちのために、1日2食の豪華な食事と、一生かかっても読み切れない蔵書、映画DVD、フィットネスジム、プール……軟禁生活にストレスが出ないように気を使っていた。情報漏洩を防ぐためにネットは禁止されていたのも当然といえば当然。
だいぶ人道的で普通だったよ‥。
犯人は出版社のひとつが翻訳を独占するのが許せないみたいだけど、ビジネスなんだからこのくらい他者を排除して自社の利益を求めるのは当然じゃないのか。
さすがに社長が殺人を放火で誤魔化そうとしたのは裁かれるべき。
けどその殺人は衝動的なものだった。計画的に追い詰めて殺したわけでもないし……。

この社長が悪いなら、翻訳軟禁会(?)に乗じて行動して、全く関係ない自殺者まで出した主人公も少しは悪いだろう。こっちは念入りに計画してたぞ?
しかも面談でマイク塞いで証言無効にしてるし。どっちが加害者で、被害者だか…。なのに社長だけが完全悪という描かれ方で終わったのが解せなかった。

社長がそこまで悪人と思えなかったのが映画の評価が下がった理由です。