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ゴッドファーザーPART IIIのスペクターのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)
4.9
懐かしのベスト・ムービー20  [2位]

『ゴッドファーザー』 (1972年)     【4.9】


原題同名『The Godfather』 『The Godfather PartⅡ』 『The Godfather PartⅢ』の3部作。

フランシス・フォード・コッポラ監督のマリオ・ブーゾの同名小説の映画化作品。

シチリアのコルレオーネ村をルーツとするマフィアの発祥から、隆盛、衰退、終焉までを描く、他のマフィア映画を寄せ付けない圧倒的スケールを放つ最大の豪華作品として仕上がっている。

『1』は、ドン・ヴィトー・コルレオーネがニューヨークで財を成し、マフィアのファミリーとしての全盛時代の物語。
堅気であった息子マイケルがコルレオーネ家のドンとして成長するまでを描く。

『2』は、ヴィトー・コルレオーネがシチリアを逃れアメリカに渡る、いわゆる、『1』の前日譚と、マイケル・コルレオーネファミリーの後日譚とが同時進行していく2部形式。 
見るものをして混乱させることはもとより、長い。 

『3』は、『2』の後半で始まりかけていたマイケル・コルレオーネ家の衰退と凋落そして終焉に至るまでを描く。


キャスト。
*マーロン・ブランド (ドン・ヴィトー・コルレオーネ『1』)
*ロバート・デ・ニーロ (ドン・ヴィトー・コルレオーネ『2』)
*アル・パチーノ (マイケル・コルレオーネ:ヴィトーの三男で2代目ドンとなる)
*ジェームズ・カーン (ソニー・コルレオーネ:ヴィトーの長男)
*ジョン・カザール (フレド・コルレオーネ:ヴィトーの次男)
*タリア・シャイア (コニー・コルレオーネ:ヴィトーの末娘)
*ダイアン・キートン (ケイ・コルレオーネ:マイケルの恋人から妻に)
*ロバート・デュバル (トム・ヘイゲン:ヴィトーのコンシリエーレ<相談役>)
*アンディー・ガルシア (ヴィンセント・マンシーニ:ソニーの息子で3代目ドンとなる)
*ソフィア・コッポラ (メアリー・コルレオーネ:マイケルの長女)
*フランク・ダンブラシオ (アンソニー・コルレオーネ:マイケルの長男)
*モーガナ・キング (カルメラ・コルレオーネ:ヴィトーの妻)
*フランチェスカ・デ・サピロ (カルメラ・コルレオーネ:ヴィトーの妻の若年期)


『1』と『2』で連続のアカデミー作品賞に輝くシリーズ作品初の快挙を成し遂げたにも拘わらず、『3』は受賞には至らなかった。
これは、『1』『2』がマフィアの発祥・隆盛という一番おいしいところを扱っているのに対し、『3』は一転して衰退・懺悔・苦悩という暗い処を描くことで観客が離れていったかもしれない。
実際、『1』『2』で存在感を示した名優ロバート・デュバルがギャラのいざこざで降ろされたり、キャリアのない監督の娘ソフィア・コッポラを助演女優に抜擢するなど、いくつかの不評を買う点はあった。



私個人としては、『3』が一番気に入っている。
勿論、『1』『2』があっての『3』ではあるが。
『1』の冒頭から漂っているマイケルの苦悩、この重みがモチーフとなってシリーズ全体の重厚感を醸し出しているといえる。
人間の、ファミリーの衰退・懺悔・苦悩という暗い処に焦点を当てる作品にも一定の評価を得る価値はある。

マイケルの長男であるアンソニーが、マイケル自身が下した兄フレドへの粛清に気付いており、マフィアのみちには入らずオペラ歌手を目指す。
マイケルが堅気からマフィアの道を目指す若きころの苦悩をアンソニーにフォーカスする演出は巧みである。
一方、血気早かったソニーの、息子ヴィンセントをアンソニーの対象位置に登場させるのも見事である。
アンソニーのオペラデビューの真っ最中に劇場内でヴィンセントの下に暗殺が繰り広げられるシーンは唸る。

しかし何といっても、一番の見所はその後である。
オペラ座の玄関からの石段でのシーン、マイケルを狙った銃弾が娘メアリーの胸を射抜いてしまう。
父親マイケルの、アル・パチーノの絶叫と表情、愛人ヴィンセントの、アンディー・ガルシアの悲痛な表情が鮮明に残っている。

ラストシーンはさすがである。
ドンであるマイケル・コルレオーネの最期。 枯れるように倒れていく姿。
すべてが止まったかの様に終焉を迎える。


テーマ曲が一層盛り上げる。
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