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オッペンハイマーのHKのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.4
うわっ、TLが『オッペンハイマー』だらけ!
なんだかアップするのに気が引けますが、観ちゃったんだから仕方がありません。
なぜかバットマン3部作以外は苦手なクリストファー・ノーランですが、超話題の本作を自らの退院祝いの1本目にIMAXで鑑賞。
序盤、アインシュタインの帽子が飛ぶシーンで思い出したのは『プレステージ』の風に転がるテスラのシルクハット。

お得意の時系列・カラー・画面サイズのシャッフルを見せてくれましたが、やっぱりまあこんな感じなのかという印象。
いや、見応えはありましたけど、思った通り地味な人間ドラマだったので、次から次に出てくる登場人物たちが豪華キャストじゃなかったら3時間はとても持たなかっただろうというのが正直なところ。

やっぱりこの作品が大ヒットするのはアメリカならではでしょう。
これが日本でも同じようにヒットしたら、ちょっと気持ち悪いですね。
その点では『バービー』とも似ているのかもと思ったり(『バービー』観てませんけど)。

原爆の実験成功、日本への原爆投下の成功をまるでスポーツで勝利したかのごとく目に涙して大喜びする人々を見せられ、原爆はオッペンハイマーをはじめこういう人たちが作って落としちゃったんだから仕方ないじゃない、アメリカだってホラ、少しは反省はしてますよ、となんだか上から言われているようで・・・

あの映像と音響で、観た人に原爆の恐ろしさは伝わったんでしょうか?
攻撃目標となった側の惨状から目をそらすオッペンハイマーが、そのまま現在も続くアメリカの姿勢と重なっているように見えます。
ある意味、作り手側の本音がとても誠実に描かれているのかもしれません。
これがアメリカ映画の、ハリウッドが描く原水爆というものの限界ということでしょうか。
しかしながら、日本アカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が技術系のみならず、まさかの主要部門まで総ざらいしたのでどっちもどっちか・・・

ただ、本作の日本での公開が危ぶまれたのはおかしな話。
公開されなければこのお互いの想いのズレはどちらにも伝わらないわけだし。
その意味でも日本で公開されて良かったと思います。

私が印象に残ったキャラは青スジ立てたエミリー・ブラントと憎たらしいジェイソン・クラーク。
HK

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