ゲイリーゲイリー

カッコーの巣の上でのゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
3.5
精神病棟という世間とは隔絶された中で暮らす人々。
本作の序盤では、患者達の言いたいことを上手く言えない状態や、相手に理解されない苛立ちなどが描写されていた。
そんな環境の中では苛立ちが募り殺伐とした雰囲気にならざるを得ない。
しかし、マクマーフィーの入院と共にその環境は一変する。

ジャック・ニコルソン演じるマクマーフィーは、本作の最大の魅力といっても良い。
常に自由を求め希望を捨てず、その希望のためならばどんな行動も厭わない彼の姿勢は尊敬に値する。
また、そんなキャラクターを見事に演じきったジャック・ニコルソンの演技も素晴らしかった。
マクマーフィーに触発された患者達の表情や言動が明るくなっていく様も本作の見どころの一つだろう。
彼のどんな環境であろうと楽しもうとする姿勢は見習うべきだと思った。

そんな彼と対照的な婦長のキャラクターも興味深い。
規律重視で柔軟な発想などは論外。
彼女を見ていると、今の世の中この様な人の方が多いのではないかと思った。
他者に対する寛容を持ち合わせず、他者の気持ちを慮ることをしない。
私はこの様な人にはなりたくないと強く思った。

また物語の最後にチーフがとった行動にも感動した。
どんな環境であれ、楽しむことや希望を持つことをやめなかったマクマーフィー。
その彼をルールで縛ろうとした婦長や院長達。
ルールでは決して笑顔を見せなかった患者達がマクマーフィーと過ごすことで笑顔を見せていく。
何のためのルールなのか。
また、人間の尊厳とは何か。
これらを強く考えさせられた作品だった。