カトキチ

マルホランド・ドライブのカトキチのレビュー・感想・評価

マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)
5.0
『サンセット大通り』のジョー・ギリスとノーマ・デズモンドを足したような主人公が『8 1/2』のグイドみたいな精神状態になるという映画で、夢と現実と妄想が入り乱れ、時間軸もめちゃくちゃになっているが、これらをオールタイムベストとする人にとってはまさにど真ん中な感じ。デイヴィッド・リンチの現時点での最高傑作。

元々はテレビドラマとして製作されたがコロンバイン高校乱射事件の余波でお蔵入りになり、その噂を聞きつけたフランスの会社が映画にしないかと話を持ちかけたことで完成。そのことが関係しているのか、リンチ作品にしてはプロットに整合性があり(回収されない謎もあるが、それはいつものことなので)、時間軸こそバラバラだが、本人が公式にヒントを出しているように赤いランプや青いカギ、特徴的な灰皿、コーヒーカップ、バスローブに注目すればおのずとストーリーがわかるようになっている。

さらにカットにムダがなく、ほんの一瞬出てくるだけのシーンが超重要だったりして、ながら見を決して許さない。そういう新たな謎解きをこちらに提示してくるのも特徴。



↓ここからネタバレ。


表のストーリーはハリウッドを夢見て田舎から出てきた女が記憶喪失の女と出会い、ハリウッドの闇を知りつつ、女優として成功しかけるというものだが、これは実は夢で、本当は「田舎のダンスコンテストで優勝したことがきっかけで芸能界を目指し、はりきってハリウッドにやってきたものの、役には恵まれず、同性の恋人に裏切られ、捨てられ、その恋人を殺そうとするも警察にバレて、追い込まれて自殺する」というお話。

『サンセット大通り』同様、死ぬ前の一瞬で物語が語られるが、この本当のストーリーを知ったうえで観ると、ナオミ・ワッツがキラキラした照明のなか、夢と希望に満ち満ちた表情で「私はこれからハリウッドでやっていくのよ!!うひょー!!」という登場シーンですら泣ける。

これのAKB版とかが観たい。
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