Monsieurおむすびさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023年製作の映画)

3.6

#アバウト・ライフ幸せの選択肢
結婚に夢を見る女と煮え切らない男のラブストーリーのど真ん中で、両家の両親W不倫なラブ・コメディ。
「年齢なんて関係ない」を体現するダイアン・キートンを筆頭にスーザン・
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コットンテール(2022年製作の映画)

3.8

#コットンテール
最愛の妻の喪失と、彼女が遺した最期の願い。ぽっかり空いた大きな穴と成就させようとする使命感を抱える初老の男の旅路は、邂逅と追憶を経てHOMEへと至る。

男の罪悪感や息子との距離感
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関心領域(2023年製作の映画)

4.1

#関心領域
アウシュヴィッツ強制収容所の塀の向こうに暮らす一家のフィルターを通した世界。
それは都会の喧騒から離れ、子供たちの成長を見守る理想の生活で、人並みの喜びや不満と共にある誰しもの生活と変わ
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

#DUNE #デューン砂の惑星PART2
IMAXLASER先行上映
ポール覚醒の刻、そこに生じる人間模様の渦と、極めて慎ましいが女性たち其々の葛藤も見逃せない。
身体に良いのか悪いのか、とにかく内
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

#ゴールド・ボーイ
よくぞここまで攻めてくれたと賞賛を送りたい、殺人犯と非行少年たちの主導権争いと妙な連帯が沸々と煮える心理戦。
モラルも命も軽い今の日本描写に違和のない狂騒の最中、「こんな子供ばっ
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.0

#ナイアド その決意は海を越える
闘わずにはいられない。
たった1度、あの時そうしなかったから。
きっかけはそういった過去を払拭しようともがいていたのかもしれない。
ナイアドのわがままのようは挑戦は、
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カントナックの財宝(1950年製作の映画)

3.8

#カントナックの財宝
ギトリ本人が晩餐の席で余興として語る間接話法コメディ。
フランス革命で領主を失った村は20世紀にも存在はしてるが地理的、風土的な糧に乏しい為に死に体同然。
仲違いした双子の司祭
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毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

3.8

#毒薬
映画史屈指の不道徳と呼べるブラック・コメディ。
憎しみ合う中年夫婦は互いに殺人を決意、先手の取り合いから無秩序な法廷劇からの全然FinじゃないFinへのフィニッシュ。
もう、やり過ぎていて怖
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私の父は正しかった(1936年製作の映画)

3.7

#私の父は正しかった
父から子へ、子から孫へ。3世代の男たちに受け継がれる自由に生きるエゴイズムと抱き合わせの孤独。

流れる歳月
家という変わらぬ場所と年を取り悟る人間。

作品を自身の分身にして
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.1

#或る夜の出来事
オスカー主要5冠は伊達じゃない。
あらゆるラブコメの始祖にしてボーイ・ミーツ・ガールの完成形。
夜を走るバス、一室に築かれるジェリコの壁、あのヒッチハイクに、元祖婚前逃亡。
快活な
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

#アメリカン・フィクション
無意識のバイアスに満ちたアメリカン・リアリティ。
新作小説を「黒人らしくない」と一蹴された黒人知識層モンクが、嫌味を込めて匿名で書いた白人社会に迎合した黒人偶像小説が図ら
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.9

#すべての夜を思いだす
世代の違う3人の女性と多摩ニュータウン、人と街に折り重なる多層的な記憶の群像劇。

3人の女性たちが其々の理由で移動し、一瞬重なり、またすれ違っていくように、なぜ作られたかわ
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.0

#ヴェルクマイスター・ハーモニー
無知な民衆をモノクロ悪夢的長回しと不安サウンドの最恐マッチングが暴力へと扇動するアフター「サタンタンゴ」

映像の表象が積み重なり、やがて揺らぎ崩れ去る。
ほとんど
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.6

#52ヘルツのクジラたち
声なき声を静かに叫ぶ、享受されなかった者たちの負の連鎖と慈愛の循環。
実際にそうなのだと思う。
苦しんでいる人を救うのは、同じような苦しみを抱えている人だったりするのだと。
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映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.9

#ドラえもんのび太の地球交響楽
地球の共通文化「音楽」と映像表現とが噛み合ったエモーショナルな瞬間を大人から子供まで味わえる快作に仕上がっている今年のドラちゃん。

リコーダーが下手なのび太が、みん
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

#ARGYLLE アーガイル
スパイ小説と現実がリンクしちゃって、さぁ大変!なマシュー・ヴォーンのスパイ映画プランB。
「コミックばりのアクションとサプライズの連続に、虚構と現実が混在した疑念だらけの
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WILL(2024年製作の映画)

4.1

#WILL
役者として、猟師として曝け出す東出昌大と晒す監督の諦観にも似た潔いドキュメンタリー。
鉄砲担いで1人山に入ることで浸る生死感。
生命を戴くことで生命を感じ、語るその言葉は仕留めた者のみ許
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コーヒーはホワイトで(2024年製作の映画)

3.8

#コーヒーはホワイトで
灰色の脳細胞ならぬ白色の脳細胞を駆使したシャープな推理を武器に難事件を解決する探偵ドラマ。
低予算っぷりが否めない深夜ドラマの域を出ないクオリティーでありながら、古き良き純喫
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.2

#テルマアンドルイーズ
Thunderbirdがダーティーになっていくほど、男社会からの抑圧と性暴力から解放されていくテルマとルイーズ。
アクセルを強く踏み締めて、笑顔いっぱいで自ら選んだ爽快なラス
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

#コヴェナント 約束の救出

タリバンとアメリカ政府、もっと広義で言えば他の多くの国や組織が作り上げた、呆気なく命が散り、何も保証しない紛争という非日常。
2人の男が築いた絆は非人道主義が根を張るその
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

3.5

#バッドランド・ハンターズ
「コンクリート・ユートピア」と地続きの世界で、あいも変わらずベクトルを間違える奴らにマブリーのお仕置き炸裂なSFディストピア。
敵ボスの化学者の造形が陳腐だったりと荒廃し
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.8

#犯罪都市3
正義の暴力で悪を裁く、1人治外法権なアクション・コメディ第3弾。
安定安心の剛拳と増し気味だったトボけた笑い、意外にもそれなりに捜査もしていて終始、楽しく鑑賞。
前作に比べると敵のヤバ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

#落下の解剖学
深層心理の底で選択する、それぞれの真実。

勢いよく真っ逆さまに。ではなく、テンポよく、ただ確実に一段ずつ落ちてくるテニスボールの如き転落は、サスペンスやスリラーに収まらないほどの多
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.8

#ネクスト・ゴール・ウィンズ
創設以来公式戦ノーゴール、世界最弱米領サモアの幸せの秘密。
悪夢のような歴史的大敗、遥か遠くの勝利だとしても、悔しさを知る仲間たちと好きを楽しむことを忘れない強さ。
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このハンバーガー、ピクルス忘れてる。(2023年製作の映画)

4.0

#このハンバーガーピクルス忘れてる
「違う惑星の〜」がファンタジスタたちの競演なら、こちらはサシのPK戦。
それにしてもくだらないし、聞いてて感心もしないし、無益極まりない無駄話だけでこんなに面白く
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フィリピンパブ嬢の社会学(2023年製作の映画)

3.6

#フィリピンパブ嬢の社会学
日本に出稼ぎに来たフィリピン人女性たちを修士論文のテーマにする学生と、若きフィリピンパブ嬢の恋愛悲喜交々。

故郷の家族は極貧で、一家の家計を1人で支えてるみたいな背景を
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.0

#王国あるいはその家について
役者が役を獲得していく過程を捉える為に、架空の作劇リハーサルの同シーンを別パターン、別カットで繰り返す映像表現。
ドキュメンタリーなのか、はたまたフィクションなのか。
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一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

3.7

#一月の声に歓びを刻め
背負う必要のない罪を感じながら、それでも生きることを選んだ人々のオムニバス。
性犯罪の被害者やその家族、罪の意識に囚われるそれぞれの声は、どこかコントロールを失った心と体から
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スペアキー(2022年製作の映画)

3.9

#スペアキー #MyFFF
ナンシーの街からほとんど出たこともない少女が人生と心の領域を広げていくひと夏。
低所得者団地に大家族で住む15歳フィフィは両親、兄姉のお手伝いと手のかかる弟妹の世話で自分
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.7

#ボーはおそれている
偏愛の母が怪死の報せ、怖がりボーの帰省に日常などありはしないパラノイア・ロードムービー。
理不尽と怪異、セルフオマージュにデビッド・リンチ的味付け…。偏執と妄想のナイトメア喜劇
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パレード(2024年製作の映画)

4.0

#パレード
#映画パレード #Netflix試写会

死んで尚、遠くの彼岸から、大切な人へ祈りを捧げる人々の光のパレード。
この想いは消えてしまうのか?
届きはしないのか?
否、たかが死んだくらいで
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

#瞳をとじて
スクリーンの中では消えた誰かを探しているらしい。
その冗長とも呼べる時間は映画とエリセが、私たちとエリセが離れていた時間を咀嚼する為に余分に取られているよう。
また、視覚とは別の、脳内
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ジャヌスとサムの酔っ払い道中(2023年製作の映画)

3.7

#ジャヌスとサムの酔っ払い道中 #MyFFF
若さと馬鹿さに酔い痴れる幼馴染みジャヌスとサムの大人への通過儀礼コメディ。
卒業パーティーの酒調達に失敗した2人が密造酒を作るというバカバカしさ。
話はア
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.3

#夜明けのすべて
あの遥か彼方の光る星は、今はもうないかもしれないし、この不安や恐怖や孤独に満ちた瞬間も、いつか笑って見つめれるかもしれない。
闇に浮かぶ星々、街の灯、生き辛さを抱える心。どんなもの
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そんなの気にしない(2021年製作の映画)

4.0

#そんなの気にしない

カサンドラはLCC客室乗務員。フライトに次ぐフライトで雪と太陽を同じ日に見る根無草であると同時に、ひとたび地上に降りればパーティーとワンナイトラブを繰り返す享楽の日々。
そん
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.2

#パストライブス 再会
過去のナヨンと現在のノラ、2つのアイデンティティと2つの〝縁〟を横軸に、1人の女性が人生を得ていく叙事詩。
N.Yの街並みに東洋の円環思想が自然と溶け合い、そこに滲む其々の想い
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