8637さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

3.5

「原爆が夢、ってのも青春のうちか」と思わせたジュリーの勝利。

当時の哀愁。フィルムに抑えられた熱情。現代では成立しないような都内での過激な撮影から、何だか日本のヌーヴェル・バーグ的なものまで見えてく
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

3.4

ふたりの喧嘩は80年目。人間に置き換えたらかなり暴力的なのに、その愛嬌で許されてしまうのはまさに七不思議の一つ。
更に、実写との融合で現代的になっても衰えないドタバタ感。しかしいつも統一されたメッセー
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内回りの二人(2018年製作の映画)

4.2

2回目。ひと時の東京を愛し、愛された物語。

ただ単に駄弁りながら東京を歩くのではなく、背景に大きく不安定な過去があるからこそクライマックスが感動的。一時期この曲に盲目的に励まされていた。
何と言うん
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ドキ死(2018年製作の映画)

4.0

2回目なんだけどさ〜、どうしても観たくなっちゃうんだよ...
冒頭のテンポ感溢れまくりのあれを観てしまうと、どうしても癖になる。キマッた映像も良さげだし。

しかしそこばっかりが記憶に残って忘れていた
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青の炎(2003年製作の映画)

3.1

内輪ノリと嗤笑。友情と泣き笑い。そしてとても若い二宮和也。
犯罪を犯して、ロードレーサーを乗り回すその姿は名の通り"若気の至り"であり、許容したという訳ではないが、気味の悪い世界から脱却したかったのだ
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ここまでの傑作を久々に観た。
はじめは「序」を観ておきながら、何故こんなに明るくて、だからこそ違和感あって、なんだかヱヴァ離れする「破」が人気なんだろう、という感想だったのだが、終盤にかけてそれすらカ
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すくってごらん(2021年製作の映画)

3.7

果たしてこれは"ご当地映画"なのだろうか...?
ご当地を貶しまくる主人公、シネスコを上手く使った演出、そしてラストカットのシュールさ、更にこれだけ楽しませておいてサントラの発売予定がないという現実も
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

4.2

幻影、からの、ドカン、で、ATフィールド。創造主を連想させる血の雨。機体と人間が半一心同体状態...冒頭からハードモード過ぎる。
碇シンジの孤独感溢れる語り口からもすぐに分かる、全ての虚無感、洗練され
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ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

3.9

世界の分断は、それを知らない子供こそが解決できるものなの、かも。...と思ったのも束の間、人間の信用を揺るがす所業。これに「争いという概念さえなければ...」と落ちるのではなく、信念を曲げず、結託して>>続きを読む

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.3

良くも悪くも"外国映画が描く日本"的。自分は「バベル」が好きなので性に合う。
恋愛も良い。バーも哀愁的。しかし、現代の日本がここまで和を重んじているかというと...

野球少女(2019年製作の映画)

3.2

"夢を諦めない"事は時に誰かの支えになり、勇気になり、時に誰かの迷惑になり、制御になる。
スインの頑固さに初めは苛立ちを覚えていたが、最後には"あのまま夢を諦めていればこの素晴らしいエンディングは掴め
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ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(2019年製作の映画)

3.2

今まで築いてきた幸せの崩壊。
他人から見たらただ虚しい笑い話だが、全編通してありえない展開である事を忘れさせるほどに切ない。
だけど、その御伽噺の美しさだけは確かで、キス一つ取っても可愛いと格好良いが
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ゆれる(2006年製作の映画)

3.6

119分間あっという間だった。まだ女性監督のあまりいなかった時代に"彼女"が残した傑作に釘付けに。

西川監督作で(特に「すばらしき世界」と比べて)一見して描かれているのは「真面目を装う人間を通して問
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廃市(1984年製作の映画)

3.0

現代のような毒もなく、憂いのある世界。出逢わなければ起こらなかった。
二度と戻れない夏の、気付かなかった淡い恋の想起。いやはや。

ビルとテッドの大冒険(1989年製作の映画)

3.2

ばかばかしい、の一言に尽きる。が、敢えて言うと、昨年観て興奮した最新作の音楽的ルーツはこのおバカ映画から既に来ていたんだと驚いた。

こういったタイムスリップの学園B級モノ、よくあるなぁなんて思いなが
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水を抱く女(2020年製作の映画)

3.5

愛は何にも変えられず、ただ自分を侵食する顛末に陥らせる。その尊さ。人間に寄り付く愛の霊の恐ろしさ。
入水は愛の賭け事。その奥に、聖なる墓場。泡一粒一粒。膨大な国家の記録。愛の確認の為に零した赤ワイン。
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サンドラの小さな家(2020年製作の映画)

3.3

生きる自由に次ぐ、家を建てる自由。そりゃあ良い時も悪い時もあるけれど、恐怖の空間に壁を隔てて明かりを灯すだけで、一応の幸せは保証されていた気がした。
こういう救われな"かった"人々の再スタートの物語を
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ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

4.3

酷く胸に刺さった。
「リメンバー・ミー」のようなこの世ではない世界線と「インサイド・ヘッド」のような感情の起源の物語がハイブリッドされて、さらに音楽を、人生を愛する者に捧げられた傑作映画だった。
幾何
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形のない骨(2018年製作の映画)

2.9

姑は認知症でも何でもない、ただの婆だから厄介だ。だけどそんな彼女と、助け合ったり泣き合ったり。

観ながらとにかく鬱になってった。
人の邪魔をしながら生きて、何が自由だよ。

太陽は動かない(2020年製作の映画)

3.3

一日を生き抜き続けて見えた景色は、果たして真の美しき世界なのだろうか。

いや〜、派手なアクションで飽きさせないのは良いが、違和感しかないフラッシュバックによるかなりの体感時間の長さと、割と質の良い映
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少女邂逅(2017年製作の映画)

3.7

僕も冗談半分でクラスの女子に「え、リストカットしてんの?」と聞かれた事がある。リストカットは怖くてできない。人生の中で関わりたくない。こうやって映像を通して観ていても痛い。そう思える事が、どれほど幸せ>>続きを読む

聖なるもの(2017年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

約半年ぶり3回目。この半年のうちにエヴァンゲリオンを観た事で、少し創作パートの感じ方が変わった。

しかし、これはもう、、、何と言えば良いのだろう。めちゃくそAVで、ほんのり特撮風味で、映画の歴史を継
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.3

広大な土地に立つ、自信のない夢追い人。だけど自分勝手の様に見えるのは、その影に夢を諦めた者がいるから。
細かな台詞一つ一つに違和感や悔しさを感じる。
きっとこの夫婦に、愛はもうない。しかし、きっとこれ
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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

3.2

「ディア・ドクター」も「永い言い訳」も観ていたはずなのに「すばらしき世界」で初めて西川美和監督の凄さを認知し、これと「ゆれる」を観た。

デビュー作とはいえ、脚本力がすごい。崩壊の見せ方や往復する様な
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カナタ、遠く(2013年製作の映画)

2.9

人間には「威張ったもん勝ち」、東京には「逃げたもん勝ち」、の出オチ的世界が悔しすぎる。

こんなところにも「ヤクザと家族 The Family」に繋がる"悔しさ"の断片があった。

(2011年製作の映画)

2.9

「誇り」ではなく「埃」。そこに殆どが詰まっている気もした。
語り口が素晴らしい。

追記:この頃から撮影は今村圭佑さんなのかな。美しすぎる。

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

3.3

映画の中の大きな括りでいうとテリー・ギリアムと同じ分類。そんな魑魅魍魎で奇妙な映画が、大きなメッセージを帯びる事で、全世代から罷り取られる。

勿論、話自体が面白い。一人の青年の冒険物語は同時にサクセ
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

不思議だよな、、、独りでいる時の自分にしか満足感を感じない僕が、こんな映画で死ぬほど楽しんでいるのだから。
初めて"わかりみがふかい"という感情の正体を知った気がして、周囲から浮いていた自分が救われた
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さんかく窓の外側は夜(2021年製作の映画)

3.8

"幽霊より人間の方が恐い"とセリフで言っておきながら、それがあまり伝わってこなかった。逆に呪いよりも正義の物語なんだと悟り、その雰囲気を愉しんだ。
そりゃあ「事件の謎と自分の過去がそんな簡単に繋がる訳
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.8

鑑賞後に虚しさが湧き上がったのは、三上が"善人過ぎる悪人"だったからであろう。
「仁義を貫く事がそんなに駄目なのか」「声を上げる勇気がないなら無視はマストなのか」なんて言葉のあやでしかない。
自分でぶ
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.7

ふと出た「あの頃、楽しかったよなぁ」という言葉。何度も頭に浮かぶ「今が一番楽しいですから」という思い。記憶は頭の中で美化されていつか「あの頃」となるが、今はそれすら知らずに、今を楽しく生きている。
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愛を語れば変態ですか(2015年製作の映画)

3.4

「黒川芽以」という女優の大・肯定祭り。

「あるなぁ」と声に出してしまうほどの欠陥があるように思えるが、なんて事ない。ワンシチュエーションでも割と盛り上がれたし、男の僕からしたら、終始幸せに包まれた映
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おねえちゃん(2017年製作の映画)

3.0

喧嘩が危ういところへいかないか、それを観てるだけで冷や冷やする。面白い。

マルグリット(2017年製作の映画)

2.9

LGBTを描いた作品、と言うと評価される風潮。
それについてあまり触れた事がないからかもしれないが、そこまで僕の芯を伝って来る作品ではなかったかも。
ラストシーンは良かった。LGBT作品である意味はあ
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向かいの窓(2019年製作の映画)

3.3

人の信頼・信用が試される作品に見えた。彼女はあの時、善人ヅラな表情をしていてよかったのか。"覗かれる快感"なんて言ってた頃を思い出すと馬鹿みたいだ。しかしその感情はとても映画的で,生々しすぎる描写を俯>>続きを読む

カマリ(2019年製作の映画)

2.9

この作品、ドキュメンタリーなのかノンフィクション作品なのかも分からず観たので映像の質に驚いた。

内容は入って来なかった。