Harukiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Haruki

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ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.4

友人の死を機にやるせなさと危機感を覚えた中年男たちの破天荒な放浪を描いたヒューマンドラマ。

演出にはカサヴェデスらしく即興性があり、一方で脚本には人間に対する緻密で鋭い洞察がある。

いわゆる中年の
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オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

4.1

ミシシッピ川のほとりで慎ましく暮らす少女の姿を詩情豊かに描いた作品。

監督は詩人でもあり写真家でもあるらしい。
言われてみれば納得の、画面の美しさと台詞の奥深さ。

ストーリーには優美な余白の多く、
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フェルナンド・ボテロ 豊満な人生(2018年製作の映画)

3.7

昨年惜しくもこの世を去った、現代を代表する芸術家フェルナンド•ボテロの軌跡を追ったドキュメンタリー。

彼自身と彼の子どもたちのインタビューを中心に、彼のエネルギーや思想、作品がもたらした影響やパーソ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

天才外科医の手によって蘇生した若き女性が、未知の世界を知るべく大陸横断の旅に出る。

大好きな監督ヨルゴス•ランティモスの辣腕がこれでもかというまでに発揮されている。

主人公ベラは快楽と歓びを求めて
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甘い生活(1959年製作の映画)

4.5

1950年代のローマを舞台に、作家を目指しながらもパパラッチになりさがった男の姿を描いた作品。

主人公マルチェロの頽廃的な生活を通して、生きる指針やモラルを失った現代人の生き方を映し出している。
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.2

ケリー•ライカートがミシェル•ウィリアムズと4度目のタッグを組んだ最新作。

個展の開催をひかえた彫刻家が作品作りに悩みながら、周りの人たちと交流する姿を描く。

ほかのライカート作品と同様に、物語自
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ラスト・リペア・ショップ(2023年製作の映画)

4.5

楽器を無償で修理して生徒に提供する事業と、それを支える職人たちにスポットを当てた短編ドキュメンタリー。

楽器の持ち主である生徒たちは金銭的余裕がなかったり、心が不安定だったり。
職人たちはそれぞれ壮
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.1

ジャンヌ•ダルクの異端審問裁判とその後の火刑を扱ったサイレント作品。

ジャンヌ•ダルクを英雄視せず、記録から読み取れるひとりの若い女性として描いている。

軸となる裁判のシーンは表情のアップと会話字
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禁書のイロハ(2023年製作の映画)

4.0

アメリカで行われている学区での検閲について、生徒たちの言葉を通して問いかける短編ドキュメンタリー。

禁止されたり制限されたりしている本の中には、生徒たちを勇気づけるようなものや人種差別、LGBTQ+
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バービー(2023年製作の映画)

4.4

誰もが知る着せ替え人形バービーの世界を実写化した作品。

グレタ•ガーウィグらしく、脚本にはユーモアがあふれつつ、今を切り取った奥深さがある。

多様性の時代を迎えて、バービーはステレオタイプな女性像
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.7

病気の父親の介護と新しい恋との間で葛藤するシングルマザーの姿を描いたドラマ作品。

愛する父親を施設に入れざるを得ないやるせなさと、クレマンとの恋にのめり込んでいく気持ちで、サンドラの心は複雑に揺れ動
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.5

父娘のひと夏のバカンスを大人になった娘視点で振り返り、気づかなかった父の心に触れてゆく物語。

プールのきらきらした水面、アイスクリームの味、アフターサンクリームの手ざわり、父の手の感触。

まばゆく
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.9

AIの誤作動による核爆発が起きた近未来、人間とAIの戦争を描いたSF大作。

AIを殲滅しようとするアメリカとAIの開発を続けるニューアジアの戦争は、冷戦や北朝鮮との緊張を思わせる。

AIが発達した
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スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

4.3

砂漠のなかで静かに暮らす兄妹と、彼らのもとを訪れた訳ありな男との奇妙な交流を描いた作品。

兄フェリックスは空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、妹ベティは偏執狂的に土地の平安を守ろうとする。
そして闖入者
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.8

ケネス•ブラナーによる『名探偵ポアロ』シリーズの第3作。

これは原作も知らなかったし、けっこう脚色しているらしい。
原作も読んでみたい。

降霊会で起きた不可解な殺人に挑むポアロの姿が描かれる。
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対峙(2021年製作の映画)

4.7

銃乱射事件の加害者遺族と被害者遺族が一室に集められ、事件の記憶を乗り越えるために対話を試みる姿を描いたワンシチュエーションドラマ。

爆弾をかかえているかのような緊張感と、登場人物たちの感情を深く掘り
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戦国自衛隊(1979年製作の映画)

1.8

戦国時代にタイムスリップした自衛隊の男たちを描いたSF時代劇スペクタクル。

戦のシーンは迫力満点だし、ヒューマンドラマもある。
矢野の裏切りや三村の恋などなど。

戦いに取り憑かれた男たちの数奇な運
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.8

見知らぬ惑星にワープしてしまった2人の男がなんとか地球に還ろうとする姿を描いた不条理SFコメディ。

2人が飛ばされたのは、キン•ザ•ザ星雲の惑星ブリュス。
砂漠がどこまでも広がり、ユーモラスな住人た
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群衆(1941年製作の映画)

4.0

民衆の代弁者にでっちあげられた男の数奇な運命を描いたヒューマンコメディ。

クビを通告された記者のアンが話題作りのために、社会へ反抗すべく自殺しようとする男を創作する。
その役に選ばれた元野球選手のジ
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淑女と髭(1931年製作の映画)

3.5

蛮カラで髯面の男が髯を剃ったことで恋愛や仕事が上手くいく姿を描いた喜劇。

ストーリーはナンセンスで楽しく、岡田時彦の喜劇的なセンスが光っている。

チャップリンやキートンへの憧れを感じるギャグ。
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レオ(2023年製作の映画)

4.4

小学校の教室で飼われている老齢なトカゲが、クラスの子どもたちと交流するコメディアニメ。

まずコメディ要素がめっちゃおもしろい。
笑えるところがたくさんあって、それだけで楽しい。

くどい感じも不思議
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.3

タイ•ウェスト監督による鮮烈なホラー『X エックス』の前日譚。

厳格な母親と病気の父親とともに暮らす少女パールは、ミュージカルスターになることを夢見る。

彼女は純真無垢であると同時に、親からの抑圧
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.6

監督引退宣言を撤回し、6年ぶりにカウリスマキ監督が届ける珠玉のラブストーリー。

いつもの彼らしさが健在で、切なく愛おしい物語が絶妙の温度感で展開する。

孤独を抱えた男女が名前も知らぬまま惹かれ合う
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.0

19世紀末のフランスを舞台に、美食家の男性と天才料理人の女性との、愛の行方と料理への情熱を描いた料理映画の傑作。

なにより料理が全部美味しそう。

主人公2人の深い絆や出てくる料理に心を掴まれる。
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アウトフィット(2022年製作の映画)

3.9

マフィアが出入りする紳士服店で繰り広げられるやり取りをワンシチュエーションで描いたクライムスリラー。

主人公の立ち居振舞い、速すぎないストーリーテリング、何から何までオシャレでスタイリッシュ。

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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.9

ジェームズ•グレイ監督が1980年代初頭の自身の少年時代を基に描いた半自伝的作品。

ウクライナ系ユダヤ人の家庭に育つ少年ポールは、芸術家になることを夢見て、同じく学校に馴染めない黒人の少年ジョニーと
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.4

1972年に実際に起こったウルグアイ空軍機の墜落事故を基に描いた作品。

飛行機はアンデス山脈に墜落し、生き残った乗客たちは決死のサバイバルを余儀なくされる。

互いに鼓舞し合い、時に冗談も言いながら
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一人息子(1936年製作の映画)

3.8

女手ひとつで何とか進学させた一人息子が、東京で貧しい暮らしをしていると知った母の葛藤を描く作品。

小津安二郎監督の初トーキー。

いざ上京した息子は野心も失い、貧しく場末で暮らしていた。
そんな息子
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クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)

4.0

貧しくも幸せな家庭で暮らす青年タイラーは、父親が連続殺人鬼かもしれないと疑念を抱きはじめる。
事件を調べている少女カッシとともに調査を進めると、その疑いがどんどん濃くなっていく。

既視感のある設定だ
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東京の女(1933年製作の映画)

3.6

大学予科生の弟と、彼のためにいかがわしい仕事に身を堕とす姉の苦悩を描いた小品。

短いながらもぎゅっと感情が詰まっていて、しっかりとエモーショナルな作品。

かなりシビアなストーリーだが、展開が唐突な
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.9

2組の夫婦が崩壊しつつある世界で生き残ろうとする姿を描いたパニックスリラー。

見知らぬ親子と動きを共にする不安。
異常なことが起こっているにもかかわらず、インターネットが遮断され正しい情報を得られな
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イカボード先生のこわい森の夜/イカボードとトード氏(1949年製作の映画)

3.7

ディズニー初期の長編アニメーションの傑作。

イギリスの児童文学『たのしい川べ』と、アメリカの小説『スリーピー•ホロウの伝説』を、それぞれワクワクする楽しい冒険物語に仕上げている。

昔のディズニーら
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非常線の女 4Kデジタル修復版(1933年製作の映画)

3.6

岡譲二演じる二枚目ギャングの男と田中絹代演じる情婦との愛を描く和製ギャング映画。

三角関係で話が展開するのかと思ったら、意外にも全体が襄二と時子の愛の物語になっている。

小津監督っぽくないストーリ
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プリンセスと魔法のキス(2009年製作の映画)

4.5

2002年に発売されたジュブナイル作品『カエルになったお姫様』を基にしたディズニーアニメ。

ディズニー最後のセルアニメということで、セル最高峰の魅力や技術が詰まっている。

ニューオリーンズを舞台に
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Saltburn(2023年製作の映画)

4.4

エメラルド•フェネル監督の最新作。

ある冴えない大学生が、たまたま仲良くなったカレッジの人気者の実家を訪れる。

強烈なストーリーとキャラクターで描く、愛憎と虚飾と狂気の物語。

中盤まではソリッド
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出来ごころ(1933年製作の映画)

4.1

坂本武演じる愚直な男、喜八を主人公とした「喜八物」の第1作。

喜八と弟分の次郎、2人とたまたま出会った娘の春江が織りなす三角関係、そして喜八と息子の富坊の父子関係を描く。

三角関係に最後まで終始す
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