このレビューはネタバレを含みます
あらすじも設定も解りやすくダーティーな刑事物で、オープニングから80年代らしい雰囲気が全開。当時のロスの猥雑な色彩を切り取った映像も時代を感じさせる音楽も印象に残る。そっから序盤は「はぐれ者の刑事が過>>続きを読む
保安官兄弟が復讐のためにメキシコへと赴く渋めのマカロニ・ウエスタン。哀愁漂う主題歌に始まり、クールな悲哀を纏ったフランコ・ネロの魅力がとにかく光る。冒頭から始まる銃撃戦(立ち尽くす賞金稼ぎの背面からネ>>続きを読む
ブラックスプロイテーションの代表作のひとつ。作中で頻繁に使われるカーティス・メイフィールドのサウンドがめちゃくちゃカッコいい。気だるげでお洒落なファンク・ミュージックにいちいち痺れるし、特に有名な「S>>続きを読む
サム・ペキンパー製の傑作西部劇。西部開拓史と時代の終焉が「ケーブル・ホーグの生き様」という極めてミニマムな世界に凝縮されている。人間味に満ちた登場人物が織り成すユーモラスな物語が実に秀逸で、時おり挟ま>>続きを読む
西部劇?アイデアは間違いなくラリっている。題材こそ『用心棒』や『荒野の用心棒』を下敷きにしているけど、「ギャングと化した源氏と平氏が埋蔵金を巡って対立している町に流れのガンマンが現れる」という粗筋から>>続きを読む
実在のガンマン、トム・ホーンの顛末を描いた西部劇。変わりゆく時代の流れに飲み込まれていくホーンと晩年のマックイーンがシンクロするかのようなムードが秀逸。老けたマックイーンの寂しげな笑顔、諦観にも似た振>>続きを読む
『さすらいの一匹狼』に通ずる要素はほぼ無い、というかそもそも本国では『さすらいの一匹狼』のが上映が先なのでふふってなる。中身はジェンマらしいマカロニ活劇だ。「友人に牛泥棒の濡れ衣を着せられたカウボーイ>>続きを読む
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70年代に入ってからのジョン・ウェイン式西部劇。この頃になると流石にジョン・ウェインも峠を越えた爺さん感が出てくる。力強い佇まいや堅物な性分はそのままだけど、これまでのような『強靭なヒーロー』ではなく>>続きを読む
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深夜の電車を舞台にした密室サスペンス。人間が社会で生きていく中でどれだけの憂鬱を抱えているのか、秩序に押し込められた大衆がいかにルールを無視した「本質的な暴力」に対して無力なのか、本作はそれらを無情に>>続きを読む
犯罪を犯した若いカップルの逃避行。自分はこの映画が好きだけど、それは本作が心地良い倦怠感と幻想感を持っているからなんだよな。ストーリーに捻りや抑揚は無くて最初から最後まで淡白だし、主役二人に感情移入さ>>続きを読む
西部開拓時代におけるカウボーイ達の旅路を描いた映画。この作品の魅力は何と言ってもカウボーイが牧牛を連れていくキャトルドライブの描写そのもので、牛の大群が荒野を移動する光景がとんでもない迫力を持っている>>続きを読む
冒頭から『60年代前半の楽天的なアメリカ』のムードで引き込んでくる青春映画。舞台が舞台なだけにノリはアメリカンだし、ストーリーも起伏に乏しくて特別面白さがある訳ではないけど、それだけに独特の生々しさに>>続きを読む
終始気だるげでなんだか奇妙な映画。大したイベントも抑揚もなく、本当にだらだらのんびりと物語が進む。そこに退廃的なモノクロの映像と長回し等によるカットが加わることで『非日常的なのに何となく日常を切り取っ>>続きを読む
遅れてやってきたインディアン系マカロニ・ウエスタン。冒頭から何となく『ソルジャー・ブルー』っぽいインディアン虐殺シーンが繰り広げられる時点で本作の血生臭さはすぐに察せる。頭の皮剥ぎは勿論、傷口の生々し>>続きを読む
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イーストウッドの作風に見受けられる「個人主義性」「暴力の哲学」に連なる傑作。イラク戦争に関するイデオロギーや見解を徹底的に排除し、あくまで「クリス・カイル個人の追体験」として割り切っている潔さが如何に>>続きを読む
ブラックスプロイテーション隆盛期の秀作。貧困層出身の黒人が暴力や策謀を駆使して裏社会で成り上がっていくクライム・ムービーで、とにかく虐げられた者による痛快な活力が弾けている。暴力的な娯楽性を前面に押し>>続きを読む
なんかもう熱量が凄すぎる。暴力的な勢いが延々と持続する狂気の映画。冒頭から暴走族が跋扈するギラついた世界観に圧倒され、そっからド派手な乱闘シーンの連続で度肝を抜かれる。編集で粗削りな部分もあるとはいえ>>続きを読む
別に果し状は一切出てこない。ストーリーは座頭市の王道で特に目新しさは無いし、登場人物達のドラマもごくごく無難な感じ。諸々の掘り下げも不足しているのでちょっと味気無いんだけど、渋みのある志村喬や男らしい>>続きを読む
あの無軌道な若者達が帰ってきた。まさか二十年越しに続編が作られるとは思わなかった。ユアン・マクレガーを始めとする前作のメンバーがそのまま集結しているのが嬉しい限り。作中でもきっちり二十年経過しているだ>>続きを読む
ジョン・フォード製の西部劇だけど、強いヒーローもいなければ劇的なドラマも無い。物語もカウボーイ二人とモルモン教団のロードムービー的な内容でしかないとはいえ、撮影はジョン・フォードらしく流石の手腕。幌馬>>続きを読む
「たぶん大したこと無いんだろうな」程度の期待値で見れば意外と楽しめるメキシカン西部劇。つっても復讐系アウトロー物の割に銃撃戦等のバイオレンス要素は薄いし、ストーリーやテーマ性も陳腐な感じ。全体的に見る>>続きを読む
空をバックに騎兵隊のシルエットが行進するオープニングを始めとし、陰影や奥行きを効果的に取り入れた秀逸な映像が繰り返される。騎兵隊自体も相当の人数が動員されているだけあって、馬に跨がって行軍するという単>>続きを読む
「どこまでが真実なのか解らないが、実態は概ねこんな感じなんだろう」ということが何となく読み取れてしまうのが実に薄気味悪い。二時間前後ぶっ通しで映し出される黒人奴隷の描写は相当に鮮烈で、しかもごく自然な>>続きを読む
出だしで「何だこれは」ってなるし、最後まで見ても「何だったんだこれは」ってなる狂気的ブラックパワームービー。下ネタとバイオレンスが入り交じった粗削りすぎる映像でとにかく突っ走る。自主製作映画なだけあっ>>続きを読む
今時じゃ珍しいヨーロッパ製西部劇。ごくごくシンプルに「現代向けのウエスタンを収まりの良い尺で撮った」感に溢れる作品。バイオレンスな作風ながら過剰な出血が伴うようなどぎつい描写は無く、復讐劇でありつつも>>続きを読む
SFオタクコンビと宇宙人ポールによるコメディ系ロードムービー。サイモン・ペッグとニック・フロストの安定感はやっぱり強いし、更に本作はとにかくポールのキャラが楽しい。宇宙人のくせに言動も嗜好も世俗的すぎ>>続きを読む
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生きることへの意味を見出だせなかった青年ハロルドがどこまでも自由な老婆モードと出会い、独特の死生観を交えながら愛を育む。「青年と老婆の恋」という一癖ある内容でありながら、二人の掛け合いや関係性のおかげ>>続きを読む
ワイアット・アープとドク・ホリデイの出会い、そして「OK牧場の決斗」に至るまでを描いた有名西部劇。バート・ランカスターにカーク・ダグラスという名優コンビが演じているだけあってW主役のカッコよさはやはり>>続きを読む
イーストウッドとジョン・スタージェス監督が送る西部劇。いかにも凄そうな組み合わせだけど、内容はけっこう冴えない。90分以内という相当収まりのいい尺であるにも関わらずテンポが悪く、だらだらした展開が続い>>続きを読む
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「世界の果て」と「世界の綻びを修復するシステム」といった壮大な話が小さな舞台の中で繰り広げられる。更にそういった物語を主人公とお姉さんの関係性を中心に収束させているので、スペクタクルなのにミニマムとい>>続きを読む
マカロニ・ウエスタンの手堅い秀作だ。師弟バディを中心としたドラマ、渋い哀愁を感じさせる描写や演出が秀逸。監督がセルジオ・レオーネと一緒に仕事していたカメラマンなだけあって序盤から絵面作りが上手い。ラス>>続きを読む
マカロニ・ウエスタンっぽいけどマカロニではない、でもノリは概ねマカロニ・ウエスタン。ヒゲを剃りヅラを被ったリー・ヴァン・クリーフが新鮮だ。顔がスッキリしたおかげで鷹のように鋭い表情がより際立っているの>>続きを読む
「西部開拓時代、カウボーイの三分の一は黒人だった」西部劇では端役ばかりだった黒人を主役に据えた異色作。黒人の歴史を黙殺する社会への批判といったメッセージ性を内包しつつも堅苦しい作風にせず、あくまでスタ>>続きを読む
世にも奇妙なトンデモ西部劇。リメイク作品らしいけどオリジナルは未視聴。スチームパンクの要素を取り入れてるだけあって奇想天外な珍兵器が幾つも登場する。ラッパ型補聴器にハイテク車椅子、クソデカ蜘蛛型ロボッ>>続きを読む
メキシコを舞台に描かれる二人のガンマンの駆け引き、そして乾いた友情。とにかく油断ならない応酬が繰り返されるエンタメ西部劇だ。アウトロー系の主要人物、W主人公の関係性、動乱時のメキシコという舞台設定、外>>続きを読む
1960年代後半、カウンターカルチャー隆盛期のアメリカを捉えた作品。それも単なる実録映像に留まらず、ジャーナリズムを起点にした大胆な映画になっている。冒頭から冷淡な取材の場面が映し出されるように、報道>>続きを読む