カットなど細かく割ってたまるかとでもいうような、こだわりの域をいくワンカットワンシーン。時系列を自由に前後する物語運びから、当時の憂いた空気感、廣木隆一『ヴァイブレータ』とも共鳴するようなロードムービ>>続きを読む
三時間半もある大作ながら、やってることとしてはほぼ『マトリックス』という最高さ。ダサさが何周もしてイカしてるズームもバリバリにキマっているファスビンダー流SF。
南部のアメリカという国の底辺、どん詰まりのコミュニティの現実。漂う生々しい生活感、特にジョーの人生を想像させる細部が豊か。車というモチーフ含め『グラントリノ』はめちゃくちゃ連想するが。木を殺す仕事から>>続きを読む
黒澤明の中でも『椿三十郎』と並びトップレベルにお気に入りで、やはり何度見ても面白いのだが、意識して改めて見返すと『スターウォーズ』が影響を受けている部分が、プロット以外のところにも相当あり、『スターウ>>続きを読む
2人の男のほのぼのとしたコメディだが、この主演の2人に寄り添いすぎず、引いた距離感を保ってるのが良い。その証拠に、カメラはこの2人というよりも山に寄り添っているように見える。山火事のショットから始まり>>続きを読む
この映画自体はトランプ就任前なんだな。ジェイソン・ライトマンやアダム・マッケイが監督しそうな社会風刺アメリカ映画なところを、デヴィッド・ゴードン・グリーンが監督していることによって、そのどれとも似てい>>続きを読む
この映画は戦場を舞台にしていようとも、描かれるのは戦闘ではなく、医療兵達の安全地帯でのイチャイチャ、遊び。しかし、この映画の外には確実に悲惨なことが起こっており、その犠牲者達が送られてくる場所でもある>>続きを読む
効率のいい物語運びとは正にこの映画のこと。決定的なショットをつないでいくことによって出来上がる映画という芸術。
画面の奥から伝わってくるような、フィルムの熱気と、街の寒々さの同居。空虚さと儚さを抱えた、途方もない青春映画。それにしてもボカシがデカすぎてテレビがぶっ壊れたかと思った…。
初老のギャンブラーが一発当てる博打映画であり、前半はチーム犯罪ものであり、お約束のように裏切りと策略が横行し、クライマックスは銃撃戦という超サービス。メルヴィルの他作のようなシリアスさとは打って変わる>>続きを読む
見ている間は、登場人物の行動原理が分かりづらいが、終盤でご丁寧に種明かししてくれるので安心する。長回しや激しく降る雨粒、銃殺シーンの冷酷さなど、素晴らしいフレンチノワールだと思う。
至福。浅草映画。ミュージカルシーンはわかるんだけど全体からはかなり浮いており、途中の歌唱シーンモンタージュは美空ひばりのアイドル映画としての機能のさせ方。
ネオンの看板のその先、パラダイス(=天国)と呼ばれる街での生活。円環構造の巧さや小道具使いの秀逸さに惹かれる。傑作。
「映画」の細部を余すことなくしゃぶり尽くす『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』のドキュメンタリーとして、話を聞いてる作家陣の人選も含め、理想的。何をもって巧い/面白い演出というか。
舞台、移動距離は小さいにもかかわらず、吹く風や舞う砂埃をはじめとし、細部がダイナミックな名作。
個人的に黒澤明週間。初めて見たときは冗長で長い印象しか持っていなかったが、ぶっちゃけ中盤は相も変わらず長ったらしいと思いつつ、終盤の犯人逮捕までの一連の流れの緊張感や全体から見ると異質な画角の撮影など>>続きを読む
主人公の視点で進んでいくドラマかと思いきや、途中で刑事夫妻の異様な夕食風景(あの速攻で下痢便になりそうな臓物料理)を映し、さらに犯人の視点になり、ブラックコメディ的に彼の「ミス」を映す。視点の移り変わ>>続きを読む
ロングショットにより浮き彫りになる画面構図、人物の立ち位置や空間設計が、野外の戦場ものとして異例。あと、どうでもいいけど今度のスパイク・リー新作のベトナム戦争映画の予告で大胆に使われてたThe Cha>>続きを読む
とにかく2回ほどある超絶長回しに圧倒。正に相米慎二を連想させる。モブの演出も、一見好き勝手な動きをしているように見えて、コントロールが隅から隅までなされている。ラストの『明日に向かって撃て』感というか>>続きを読む
部屋などの空間設計、物語、鏡や主人公が(あるいは主人公を)見下ろすモチーフなど、映画的なサスペンスに溢れた名作。掴みきれないものを掴もうとし、歴史の闇の中に消えていく、ある種の不条理ホラー的なムードも>>続きを読む
正直コーエン兄弟のゼロ年代の仕事は全体的にイマイチだと思ってて、寧ろテン年代に入ってからの仕事の方がかなり良いと思っているのだが、ギリギリゼロ年代のコーエン兄弟作として、今作は上の方なんじゃないかと思>>続きを読む
リック・ベイカーによるグロテスクで狂ったビジュアルはやはり相当にフレッシュではあるが、正直クローネンバーグの中期の作品はどれもそこまで熱狂的にハマれない。同じカルト映画でも、カオスなデパルマ『ファント>>続きを読む
無意味なダンボールに爆笑。話は、ちょっとストレートにオチまでシンプルすぎるため、シリーズの中でもドライブ感には欠けるかも。ただ、ラストの海岸で全力で遊ぶ夕陽を浴びた4人を捉えた長回しは、おかしさと儚さ>>続きを読む
映り込んだもの、見えるものを追い求めていくサスペンスのラスト、カメラは見えないラケットを追いかけ、主人公も見えない存在に。ノワールに踏み込んでいくのかと思いきやそうでもなく、ただ、話自体は散文的ではな>>続きを読む
ダメ組長の下本史郎がめちゃくちゃいい。鳥が一斉に飛び立つところは映画の奇跡が起こってる。塩田明彦脚本だが、ほとんどスラップスティックコメディ的に機能するストーリーテリング。
都会に越してきた家族の崩壊と希望。クローズアップで映る涙粒。ラストの画面の外でなるサイレン音。
構図の天才加藤泰究極の映画。どこをどうやっても、今こんな話は作れない。単純な構成、経緯にできるものを、主人公と終盤明かされる「事件」の関係性を薄くすることによって、複雑さが増す。さらにこれがラブストー>>続きを読む
ウディ・アレンベスト。現実の救いようの無さ、切なさは映画を見ている時のみ救われるという。スクリーン越しに交わされる視線。ロマンティック。
赤い車、宝の地図。それでも森の中の追いかけっこに終始するのが黒沢清。刑事の最後のセリフとか最高におかしい。動線ももちろんだが、今作に限ってはセリフの面白さが抜きん出てると思う。
この間のNetflix『ミッドナイトゴスペル』はよく考えると形式は違うがこれとほぼ同じスタイル。映画は物語ではなく瞬間っていうのは正にリンクレイター映画に言えるな。
恥ずかしながら初めて見た。とにかくノワール調の、「殺された男」の語りが面白い。このストーリーテリングが秀逸。あと有名なラストカット。
立ち止まる哀川翔、漁船と並行移動する前田耕陽。グッとくる。ラストの喧嘩をうつさないのも素晴らしい。向こう側に行きたい黒沢清作品。
全編ワンカット風映画って言われるけど、実際ははっきりと3カット映画。その上、編集点もかなり明確で、人物の背後にカメラが寄っていくのが実はすごく不自然だったりする。それよりもやはり出来るだけカットを繋げ>>続きを読む
個人的なイーストウッドの2010年代のベストはこれと『15時17分、パリ行き』と『ジャージーボーイズ』。「彼らが出会うまでの」というより「彼らが出会うための」物語。津波の恐怖、突如吹く風の不穏、キスシ>>続きを読む
黒沢清の痛快コメディ。フレームインに必ずサプライズがあり、走る、スキップ、人を投げるなどの全力投球されるアクションも気持ちいい。哀川翔の「一目惚れ」が巧いし、後半の二回あるスローモーションも、1回目は>>続きを読む
最近意味もなくファルハディを見直してる。やっぱ今作が一番好きか。「あるセールスマンの死」を劇中劇として取り込んでいく部分も含めて、わかりやすく巧い作り。序盤と終盤の建物の外から響く音の対比とか、ラスト>>続きを読む