Tatsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 46ページ目

WASP ネットワーク(2019年製作の映画)

3.9

オリヴィエ・アサイヤス新作。むせ返るほど面白い。ビーチでの銃乱射からブラックアウトまでを代表に、ワンショットで、フレーム外の運動を感じさせる確かさ。ここまで切れ味よく格調高い純性のポリティカルサスペン>>続きを読む

ハリエット(2019年製作の映画)

3.4

勿論今これを語るという題材的にも、物語的にも、絶対にこのタイミングで見るべき映画であるとは思う。アメリカの暴力的な歴史と、フェミニズムの文脈、どちらもを紐付け語る。しかし、あまりに演出がのっぺりとして>>続きを読む

グッド・ボーイズ(2019年製作の映画)

3.5

正に小学生版『スーパーパッド』って感じで、超笑った。主演3人のチャーミングさに尽きる。ポップカルチャーへのレファレンスのバランスの良さや、他人に縛られず何かをやることによる成長のストーリーなど、よくで>>続きを読む

ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

4.2

感動した。思えばこの間見たガーウィグの『ストーリーオブマイライフ』にも通づるような、「個人の記憶に基づいたパーソナルな物語がいかにして多くの人に共有されていく物語となり得ていくか」についての映画だった>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

3.8

今泉力哉らしい、甘い恋愛群像劇の中に、ひりひりとした瞬間をしっかり入れ込む、いい意味で小品感溢れる秀作。小さく静的な中で、役者の魅力が爆発している。ぶっちゃけ映画としてはそこまで大したことないと思うけ>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

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現代で思いっきり風刺効かせて『アメリカンヒストリーX』を撮るとこうなるって感じだった。

ラスティ・メン/死のロデオ(1952年製作の映画)

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個人的にニコラス・レイで3本選ぶんだったら『夜の人々』と『危険な場所で』と今作。アグレッシブな編集のロデオシーンが代表する動的なパンと、真正面から捉えた顔の切り返しが対比的に味わいが増す。ラスティ・メ>>続きを読む

危険な場所で(1951年製作の映画)

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都会から郊外へ。忙しない編集。絡み合う手。間違いなく永遠の傑作。

許された子どもたち(2019年製作の映画)

3.7

力作。2、3年をかけて、ワークショップを重ね完全自主体制で撮った、テーマ的にも内藤英輔監督の集大成。『先生を流産させる会』『パズル』『ミスミソウ』など、未成年の暴力を主題として取り上げ、その暴力に対す>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

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気が向いて久々に見てみたけど面白すぎるな。市原悦子が殺されるパートがダントツのハイライトではある。ただここまでで序盤1時間だもんな。これと『太陽を盗んだ男』しか撮っていない長谷川和彦のキャリア、ある種>>続きを読む

デッドマン(1995年製作の映画)

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再見。大好き。個人的にはジャームッシュでもベストに近い。

ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

4.3

超絶面白い。ミニマムなスケールに対して、目に見えないもの、映らないものに対する興味だけで話を推進していく腕力に圧倒。怪談話を映画的に語るという感じは高橋洋『霊的ボリシェビキ』も少し連想しつつ。50年代>>続きを読む

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)

4.1

多分21世紀以降のスパイク・リー作品では最高傑作。とにかく歴史的な出来事、事件へのレファレンスが多く、Netflixだからここまでの画像、映像を引っ張ってこれたんだろうなと思うほど、ちょっと一瞬ギョッ>>続きを読む

ルース・エドガー(2019年製作の映画)

3.6

視点としてはものすごく勉強になる映画だった。個人のアイデンティティと周りからのプレッシャー、崩れることを許されないストレスなど、パーソナルにアメリカで生きていくことについて、確かに斬新な視点を見いだし>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.4

所謂「古典」がテーマとしてしっかり現代にも通づる青春映画になり得ること、個人の物語が、普遍的で多くの人の物語として共有されていくこと、その感動を現代で描き切った、成し遂げた傑作。
こんなにも生き生きと
>>続きを読む

バーバー(2001年製作の映画)

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やっぱ個人的にはイマイチ。『バスターのバラード』の久々の秀作っぷりはやはり再考すべきだと思ってきているので、最近コーエン兄弟のことは結構考える。

PASSION(2008年製作の映画)

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教室のシーンは最早ホラーだし、地獄の本音を言うゲームはパワーワードの連続。しかも前者のシーンで語られる暴力についての話を、後者のシーンで実行する凄さ。そしてそれらを包括する、奇跡の話。人間の内面をカメ>>続きを読む

スパイの舌(2008年製作の映画)

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やっぱりすごいこれ。確かにこれ見ると、この監督にお金を与えてちゃんとしたアクション映画撮らせてあげたいっていう気持ちにはなる。細部のアイデアを魅せる鬼のような編集の映画。

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.6

自らがゾンビ映画であることに自覚的なゾンビ映画、という時点で厄介で、ジャームッシュのジャンル映画論的な部分がかなりを占める作品なので、一般的に面白い映画かというと、そこからはかなり外れる映画だと思う。>>続きを読む

泥棒成金(1954年製作の映画)

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相変わらずすげえ面白いし、うっとりするショットが多数。そしてそのどれもがキスシーン。こんなにキスシーンであからさまにキメてくる映画も中々ないんじゃないかという。極端な緑のライティングは個人的には苦手。>>続きを読む

ファミリー・プロット(1976年製作の映画)

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とんでもなく面白い。2組のカップルの悪巧みが交差するサスペンスコメディ。ラストのウィンク。

ブラックパンサーズ(1968年製作の映画)

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アニエス・ヴァルダのブラックパンサー党のドキュメンタリー。

第3逃亡者(1937年製作の映画)

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サスペンスとしての面白味は正直ストーリーにも演出にも少なく、ただロマンティックコメディとしては優秀なライトさと緩さをご都合主義によって獲得していて素晴らしい。ただただ面白い。

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

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このタイミングに改めて。もう4回目くらいの鑑賞になるけど、89年当時から、今の時代で変化しているところといえば、SNSで瞬間的に世界中が繋がり、拡散されることくらい。この30年間で全く状況が改善されて>>続きを読む

ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

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ヒッチコック作品の中では、マイケル・ダグラス主演でリメイクされたってことと、タイトルが有名でキャッチーってこと以外で、あまり人気のない作品な印象だけど、自分これヒッチコックの作品の中で指折りにすごい作>>続きを読む

男の顔は履歴書(1966年製作の映画)

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面白いけど加藤泰の作品群に比べるとちょっと弱いかも。当時の戦後日本のムード、そしてこの映画自体が、ここまで政治的な作品であることを堂々と誤魔化さずやっているところは、最近の日本映画にない部分だなとは思>>続きを読む

酔いどれ天使(1948年製作の映画)

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殺伐としてアナーキーな日本社会のムードが焼き付いてるという意味では素晴らしいが、映画としては正直あんまり面白くはない。

天国の日々(1978年製作の映画)

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撮影はとにかく美しい。走る列車やマジックアワーなど、ロケーションともに素晴らしい。それでこういう話をやるのかっていうところも含めて、マリックの入門編として、面白い。

マンハッタン(1979年製作の映画)

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文系ロマンティックコメディの原型のような作品(アニーホールよりもこっちな感じが)であり、ダイアン・キートンとか最高だし、モノクロで映るマンハッタンの街は絶品なんだけど、オチが気に食わない。

幸せをつかむ歌(2015年製作の映画)

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ものすごくディアブロ・コディらしい脚本だけど、デミの作家性とも相性いい気がする。女性の帰郷というテーマは2人が描いたことのあるものだし。リック・スプリングフィールドがいい感じで熟した中年を演じていて素>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

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地上波放送を。この手のメジャー邦画の中では悪くはないと思う。随所にチープに絵を見せない工夫が施されている。例えばクライマックスの作戦のトロイの木馬的なシンプルさ、観客を混乱させない編集で、かなり見やす>>続きを読む

クライシス・オブ・アメリカ(2004年製作の映画)

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ジョナサン・デミがゼロ年代に生み出した超傑作ポリティカルサスペンス。役者の顔を正面から撮る異様な切り返しをはじめ、役者を中心に据える構図が多い。クライマックス30分は映画でしか味わえないスリル。

オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

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これ自分、初めて見たとき全然理解できなくて、また出直そうと思って、再見してみても腑に落ちないところはありつつ、初見時の数倍は良かったかなと。アルモドバル作品のペネロペ・クルスの良さよ。

ハイヒール(1991年製作の映画)

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新作に備えてアルモドバル週間。これは今まで見てなかったんだけど、めちゃくちゃ変な話だな。母娘の話であるのは一貫しているし、坂本龍一の音楽が高尚さを引き出しているが、それにしても変な映画。

サンダーボルト(1974年製作の映画)

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ジェフ・ブリッジスが事切れる時の演技は、彼のキャリアの中でもトップに数えて良いと思う。犯罪映画の醍醐味が詰まった傑作。