朱音さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ヒート(1995年製作の映画)

4.0

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スター俳優らを起用し2大対決を謳った映画は90年代のハリウッドで多数く量産されてきたが、そういった企画を、考え得る最も優れたやり方で成功させたのがこの「HEAT」だ。
ロバート・デ・ニーロ、アル・パチ
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planetarian 星の人(2016年製作の映画)

1.4

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何というか、表現の「核」となるべき部分がごそっと抜け落ちているような作品だと感じた。
冒頭からくどいほど説明的な台詞やモノローグが続き、キャラクターがとにかく人工的というか、作為的に感じられ、その台詞
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エスター(2009年製作の映画)

3.0

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エスターを演じたイザベル・ファーマンの圧倒的な存在感が何よりも本作の肝であり、とにかく素晴らしい。
彼女に疑念を抱いたシスターを撲殺するシーンは怖すぎる!

「子供が怖い」系のスリラーは数多くあり、大
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エル ELLE(2016年製作の映画)

4.2

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「Elle」とは「彼女」を意味するフランス語であり、このタイトルが示す通り本作はミシェルというひとりの女性の在り様と、その変容を克明に描いた映画である。

他を凌駕する自立的女性を描いたという点で、「
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ボーイズ・オン・ザ・ラン(2009年製作の映画)

3.8

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親和性のある見事な配役と、役者陣の好演、そしてキャラクターの人間性を印象的なカットで端的に表現してみせる確かな演出力によって、すべてのキャラクターたちに卑近な実在感がある。
お世辞にも格好良いとは言え
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ダーク・プレイス(2015年製作の映画)

2.7

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ミステリーとしては凡庸、ながらも非常にペシミスティックな感性が濃密な映画だった。

数多く登場するキャラクター達は、何かしらの狡さや汚さの面が強調されて描かれ、善良さやチャームさを感じられる場面がほと
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サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)

4.1

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個性的なキャラクター達が際立つ、エネルギッシュな青春群像劇の傑作。
現在(いま)とあの頃をシームレスに繋いだ演出が見事に決まっていて、あの時この場所にあった様々な感情が、ありありと溢れ出てくる感覚を追
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スプリット(2017年製作の映画)

3.3

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定期的に欲しくなるM・ナイト・シャマラン監督の中毒性。
起承転結の転の中段位までは格別に面白いのは、いつものシャマラン監督ならではの安心感があり、本作ではいつにも増して知的好奇心を擽られる題材で、導入
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アジョシ(2010年製作の映画)

3.6

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とにかくウォンビンの美しさ、恰好良さが半端ない!
細身のダークスーツ姿はスタイリッシュで、長い前髪で片目が隠れた中性的な顔立ち、危うげで虚ろな、陰のある雰囲気は、どこか少年っぽさが感じられる。
愛する
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宇宙人ポール(2011年製作の映画)

3.4

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驚くほど上手い映画作り。
個々のキャラクターの活かし方と、展開の転がし方、細やかな伏線ネタを綺麗に回収していく手際の見事さ、どれをとっても素晴らしい脚本。

サイモン&ニックのナード感たっぷりのだらし
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ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年製作の映画)

2.4

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光る部分はあれど個人的には全く好ましくない実写化作品。

士郎正宗による漫画原作「攻殻機動隊」には様々なエッセンスと魅力があり、それらはもはやこの「攻殻機動隊」という世界観と設定をひとつのフォーマット
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バード・ボックス(2018年製作の映画)

3.6

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抑制の利いた演出と、ナチュラルで信憑性のある会話劇で、パニック・スリラーを知的でスマートな印象を残す作品に仕上げている。

サンドラ・ブロック演じるマロリーは他者との関わりを積極的に排してきた人間で、
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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

3.6

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自分の常識が破壊されていくのが分かる。
ホドロフスキー監督のイマジネーションの奔流は極端なカリカチュアとビザール感に溢れていて、美醜や道徳を超えた強烈なインパクトと、画面からはみ出さんばかりのダイナミ
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

2.7

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京都アニメーション特有の外部から隔絶されたような、濃密で透明感のある、学校という小さな世界。
本作でもこの空気感は健在で、写実的で美しい絵と、繊細な音の表現によって、思春期のノスタルジーを大いに刺激さ
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ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

3.3

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弾着表現や身体欠損描写、炎に焼かれるなど戦場シークエンスの凄まじい地獄絵図っぷりは流石のメル・ギブソン。
この徹底した惨たらしい描写の数々によって、さっきまで生きていた人間が次の瞬間にはバラバラの肉塊
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孤狼の血(2018年製作の映画)

3.5

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深作欣二をはじめとした昭和の東映バイオレンス映画への熱いオマージュを感じさせる一作。

ナレーションや文字表現、呉市のロケーション、脂ぎった男たちの顔のテカり具合や汗ばみ具合など、主に絵作りの面での昭
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ミュージアム(2016年製作の映画)

1.3

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90年代以降のサイコスリラーの劣化焼き直しで終始退屈だった。

キャラクターは行き当たりばったりで何も考えていないし、いかにも用意された「台詞」といった台詞を喋っているだけに見え、全体的に過剰な演技と
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グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)

3.8

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イーライ・ロス監督はもう流石としか言いようがない。
ルッジェロ・デオダートをはじめとしたイタリアン・スプラッター映画への熱烈なオマージュに、しっかりと現代的なエッセンスを盛り込んだ正統派リブート。
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.4

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良い意味で突き抜けてる、グッドテイストなカルト・ムービー!
ポップでスタイリッシュな絵作りに気の利いた音楽、チャーミングでフレッシュなベイビーを演じるのはアンセル・エルゴート。

のっけからジョン・ス
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パージ(2013年製作の映画)

1.6

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何か勿体ない映画だった。
非常に興味を惹かれるアイディアなのに、その突拍子もない設定にどう説得力を持たせるのか、またそのアイディアを物語内でどう発展させてゆくのか、といった地固めの創意に大きく欠けてい
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.3

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非常に上品な映画。
これこそ本物のドラマ。

娘をレイプされて殺された母親、ミルドレッドの投じた一石によって、水面に波紋が広がるように街に影響を及ぼしてゆく。
その波紋が次第々々に大きくなり、やがて取
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.2

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極めて独創的、非の打ち所がない、傑作。

圧倒的な密度で作り上げられた世界観。
色相環の補色に位置する緑と赤を基調に、調和のとれた美しい色彩。
美術背景、衣装、車など画面に映るありとあらゆるものがその
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ゾディアック(2006年製作の映画)

3.0

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ちょっと何をしたい映画なのか理解出来なかった。
実際の事件を基にしたミステリーであり、事件を追う刑事、新聞記者、漫画家を軸に話が展開されている。

事件に関する情報量がとてつもなく多いであろう事は推察
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魔法使いの嫁 星待つひと 後篇(2017年製作の映画)

2.1

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本作はそもそも原作コミックスの特典として制作されたものであり、ファンサービスと、メディアミックス展開のパイロット版的役割とを併せもつ複雑な立ち位置の作品である。
映像作品としても、また企画としても本質
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コンスタンティン(2005年製作の映画)

2.2

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エクソシストの悪魔祓いをヒーロー・バトルものに仕立てるという着想は非常に面白いし、ダークスーツ姿のキアヌはやっぱりスタイリッシュで恰好良い。
ニコチン中毒で肺がん末期にも拘わらず煙草をスパスパと吸い続
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アイム・ノット・シリアルキラー(2016年製作の映画)

2.6

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すっごい変な映画。
あらすじ等の事前情報をまったく入れずに鑑賞した私は、ただでさえ感情移入し辛い設定の主人公のジョンが何をしたいのか、何を思っているのか中盤以降完全に見失ってしまい物語に入り込めなくな
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特捜部Q 檻の中の女(2013年製作の映画)

2.8

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デンマーク版「相棒」といった作品だろうか。
埋もれた未解決事件を扱う窓際部署という設定も日本の刑事ドラマではよく見られるもので目新しさはない。
派手さはないが、ヨーロッパ特有の陰のある暗い雰囲気に、意
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.8

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本作は主人公デイヴィスの心情に思い入れられるか否かで賛否がパックリ割れる作品なんじゃないかな。
私にとってはパーソナルな部分での琴線に触れたとてもとても大切な一作となった。

社会生活の中でいつの間に
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バスターの壊れた心(2016年製作の映画)

3.0

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ジグソーパズルを遊んでいて、完成まで残り数ピースとなったが、それらのピースはどれも微妙に合わなくて、あとちょっとの所で完成しない。
そんな感じの映画。

社会の軋轢の中で、日々衰耗し壊れてゆく主人公ジ
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アシュラ(2016年製作の映画)

3.8

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清々しいほどにクレイジーな韓国ノワールの快作。

悪徳市長と、これまたおよそ正義とは程遠い検察捜査官の対立を、その両者の板挟みの立場となってしまった刑事ハン・ドギョンの視点で描いた本作。
冒頭のドギョ
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ザ・ギフト(2015年製作の映画)

2.9

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物語自体はネット掲示板などでよく見られる卑近なもので目新しさはないが、それなりに信憑性を感じるし、何というか嫌味のようなものが生々しく伝わってくる。

本作はサイコスリラーとしてカテゴライズされており
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ロッキー(1976年製作の映画)

4.0

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勝つ為の、ではなく、負けない為の闘い。と言うのが何より最高のメッセージ。

折をみては定期的に鑑賞したくなる本作。
シルヴェスター・スタローンという映画人の実人生とも深くリンクしたロッキー・バルボアと
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アンフレンデッド(2015年製作の映画)

2.8

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全編を通して主人公が見ているPCのデスクトップ画面のみで描かれるというアイディアが何より秀逸で、POV形式の派生として、ひとつの可能性を見せた作品。
その見せ方にも様々なPC・アプリケーション特有のギ
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