塚原直彦さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

塚原直彦

塚原直彦

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セルラー(2004年製作の映画)

3.6

世界的に携帯電話普及の黎明期に制作された、ある意味セルラー(携帯電話)一本ネタだけで強引に乗り切ったクライムスリラー。
アメリカのシンボルとなる前の若きクリス・エヴァンスが主役。

今観るとカット割り
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くれなずめ(2021年製作の映画)

3.8

松居大悟監督が主宰する劇団ゴジゲンが、2017年に上演した同名舞台を映画化した本作。
劇団員の目次さんのみ、オリジナルキャストで同役をそのまま続投。

この監督らしい男同士の内輪的ワチャワチャ感をベー
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シンデレラ(2021年製作の映画)

3.6

新解釈を経て、大幅に生まれ変わった現代版シンデレラ。
というより狙いは明白で、メジャー楽曲を使ったミュージカルの下地にシンデレラを無理矢理持ってきた…と言った方が的確か。

ストーリーも投げっぱなしの
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.9

コロナ禍により延期に延期を重ねたが、ダニエル・クレイグ版ボンドも本作でいよいよラスト。
彼の戦いはある意味前作スペクターで終わったようなものだが、(主に商業的に)半ば無理矢理続けられた約15年に渡る旅
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空白(2021年製作の映画)

4.4

毎作品イヤらしいぐらい人間の魅力と欠点を炙り出し、心の機微のデリケートな所に手を突っ込みかき混ぜて映画ファンのツボをくすぐりまくる吉田恵輔監督の最新作。
個人的に今年の現時点でNo.1作品。

スッと
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クルエラ(2021年製作の映画)

3.8

ディズニーヴィラン史上、容赦なく分かりやすいドストレートな悪役「クルエラ」のオリジンを描いた本作。
女性版JOKERとも言われているが果たして。

マレフィセントに引き続きそもそも生まれながらの悪は存
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.2

絶対に思える正義ですら目線を少しずらせば、絶対の悪にも成り得るこの世界の無常さ。
そしてどんな人間であれ、心というものはわずかな重みで常にどちらにでも傾いてしまう儚さを粘り強く冷静に描いた怪作。

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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

村上春樹の短編作品「ドライブ・マイ・カー」を映画化。
他にも同著者の短編「シェラザード」と「木野」を巧みに脚本に取り込み、映画としては長尺の約三時間。

終始淡々としながら感情のあまり乗らない台詞回し
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ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

4.0

ディズニーにしては珍しく、比較的シンプルで既視感のあるTHE・王道な冒険譚。
だがそこに余りに丁寧で気の利いたディテールが加わることで、やはり他より頭一つも二つも抜けたクオリティに。

誰もが一目瞭然
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.0

MCU的に前作のブラック・ウィドウは番外編なる立ち位置だったので(ドラマシリーズは除く)、今作にていよいよフェーズ4が本格始動。
これまでとは比べ物にならないマイナーなキャラクターの物語に、ほぼ無名レ
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サイコ・ゴアマン(2020年製作の映画)

3.9

正しくその名に恥じず、サイコ&ゴアなダークヒーローが意図せず地球を救うSFスプラッターアドベンチャー。
監督はカナダの過激映像集団「アストロン6」のメンバーでもあるスティーブン・コスタンスキ監督。
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世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

3.8

イギリスをはじめ、世界で850万部を超えるベストセラーとなった恋愛小説を満を持して映画化。
原作のジョジョ・モイーズ自らが本作の脚本も手がける。

障害者の自殺幇助や尊厳死、というあまりにも重いテーマ
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オールド(2021年製作の映画)

3.8

滑ってもヒットしても愛され続ける現代映画の申し子、M・ナイト・シャマラン監督の最新作。
一見低予算にも見えるが、実は監督自身が自腹で1800万ドルを投資しビーチにオープンセットを立てる程の気合いの入れ
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ムーラン(2020年製作の映画)

3.7

相棒ムーシューの不在やミュージカルシーンを徹底的に排除し、シンプル且つシリアスに傾けた実写版。
コロナ禍による配信の切り替えタイミングやディズニー+のプレミアムアクセスの値段設定など含め、作品外でやや
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ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

3.8

前作はシンプルなシチュエーションホラーかと思いきや、衝撃のとんでも展開で幕を閉じたサイコスリラー。
今回は続編もの宜しく、大幅に火薬量は増し増しの比較的正統なアクションスリラーへ。

とは言いつつも良
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.0

大上章吾亡き後呪われた『孤狼の血』は日岡へと継承され、あれから三年。
続編となる本作は原作二作目の「凶犬の眼」ではなく、映画完全オリジナルストーリーに。

副題のLEVEL2が示す通り、アクの強い新キ
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.9

「GTA」や「フォートナイト」「HALO
」等の超人気ゲームを下敷きに、実写とCGを上手く掛け合せた演出は現代ならでは。
そして今回もデップーに続き、憎めないキャラを演じたら右に出るものはいないライア
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.2

冒頭から前作に最も足りなかった愛のある殺戮を豪快に繰り広げるジェームズ・ガン監督。
物語の構成はほぼ同じだが「暗い・重い・キャラが生きてない」という前作のネガティブ面を全て華麗にひっくり返した爽快な決
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.1

本作を一言で表すなら完璧な青春映画。
物語中盤まで作品としてどこに向かっているのか迷いも伺えるが、いやしかしその迷いこそが青春なのだ。

完成度としても正直ツッコミ所や映画としての粗さは多くあるが、そ
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トゥモロー・ウォー(2021年製作の映画)

4.0

明らかに莫大な予算がかかった本作だが、残念ながらこちらもコロナの影響下で配信限定に。
冒頭から勢いよくド派手にグイグイ引き込んでくれるので、せめてなるべく少しでも大画面で観るべきアクション大作。

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ワイルド・スピード/ジェットブレイク(2020年製作の映画)

3.9

回を増すごとに広がる人気に比例し、一体どこまでそのおバカ度合いが更新されるのか楽しみな最早何でもありのカーアクション映画。
今回はドウェイン・ジョンソンが抜けた穴を同じくWWEのジョン・シナが埋める。
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ジャングル・クルーズ(2020年製作の映画)

3.8

お馴染みディズニーランドの人気アトラクションを、相変わらず潤沢な予算で半ば無理矢理映像化。
だが元来ストーリー性がない分、パイレーツオブカリビアンよりも更に自由に製作出来るのが強みに。

冒頭からテン
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.9

2005年初演の人気ミュージカルを『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウが今の情勢を交え映画化。
彼らしいエモーショナルな演出と、人気ストリート・ダンス・ムービー『ステップ・アップ』シリーズで培
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

本年度アカデミー脚本賞受賞も納得の、見事今という時代を皮肉り鋭利に投影した本作。
これが長編初監督作とは思えないエメラルド・フェネルの見事な手腕にも唸る。

マーゴット・ロビーがプロデューサーで関わっ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.8

毎回その癖の強さから、ある程度の賛否両論をしっかり巻き起こす細田守監督最新作。
今回は久しぶりの女性ヒロインを軸に十八番の仮想世界を描き、確実に狙いを定め当てに行った感は満載。

監督が語るように本作
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.9

MCUファンからするとようやく劇場で観れただけでもう大感動作。
ディズニー+により良くも悪くも公開とほぼ同時配信というのも凄いが、間違いなくこれは大スクリーン映えするアクション超大作。

彼女の運命を
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100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

2.9

良くも悪くも話題となってしまった四コマワニ漫画。
原作はシンプルで無垢なキャラクター達に命の尊さを然り気無く語らせるという巧みさや、リアルタイムに進行するSNSそのものを物語とリンクさせた見事なアイデ
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あの夏のルカ(2021年製作の映画)

3.9

邦題からもビシビシ伝わってくるように、スタジオジブリを大好きな監督がその影響をしっかりと受け制作。
舞台設定やキャラクタービジュアルからどこか懐かしい雰囲気を受けるのはその為。

眺めているだけでご時
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.8

大ヒットした『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描いた続編。
同情レベルでコネ繰り回した感満載の邦題だが、原題はシンプルに『(朝鮮)半島』。(ちなみに前作は『釜山行き』)

列車という逃げ場
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.8

レジェンダリー製作によるモンスターバース第4作目。
これまで10年弱に渡り少しずつ撒いてきた種を回収、1962年のオリジナル版にオマージュを捧げながら本作で一応のゴール。

もう若干引っ張っても良かっ
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第七の封印(1956年製作の映画)

4.0

ウディ・アレンが「最も好きで、最も影響を受けた映画」と語る本作品。
ペストの大流行という、現代ともリンクする恐怖を時にシニカルに描く。

この世の常であり普遍的でいて、決して逃れることが出来ない死。
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ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

4.3

一見何だかあまり魅力的ではないタイトル(原題も同じ)とクセ強めのビジュアルで敬遠しがちだが侮るなかれ、信頼と安心のフィル・ロード&クリス・ミラーコンビが制作した大傑作CGアニメ。

個性豊かで一風変わ
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ガリーボーイ(2018年製作の映画)

4.0

インドで活躍するアーティスト「Naezy」の実話を元に、ムンバイのスラムで生まれ育った青年がラッパーを目指す姿を描く。
主演は次世代のキング・オブ・ボリウッド、ランヴィール・シン。

宗教的概念や家父
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.0

ストレスや栄養障害などにより、日常的にビー玉や画ビョウといった異物を飲み込んでしまう異食症。
そんな一見理解し難い行為を通し、その深層に見えてくるものとは。

何不自由なく暮らせる生活を手に入れたヒロ
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燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

3.8

荒唐無稽でいてちょっとおバカだが、ハイテンポで楽しい古き良き香港映画が久々に帰ってきた!
そんな一昔前のノリがどこか懐かしい『燃えよデブゴン』最新作。(前作までと直接的な関わりはなし)

今作の監督は
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.1

現在もなお続く白人警官の不当な暴行による有色人種殺害事件を扱った本作。
驚くべき事にこれをタイムループものとして物語に文字通り捻りを入れ、第93回アカデミー賞最優秀短編映画賞を受賞。

多幸感ある導入
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