藍紺さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

藍紺

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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

前半と後半では全く違う物語。時間の流れ方も前半は緩慢で冗長さすら感じたが、後半は展開が早いし移動が多くて良い意味でどこに着地するのか全く分からなかった!いや、凄い作品だわこれ。

天才指揮者リディア・
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帰れない山(2022年製作の映画)

3.9

何不自由なく育ててもらい教育を受ける機会にも恵まれているが、自分が何をすべきなのかが分からないピエトロ。小さな山間の村に生まれ勉学に励む機会を与えられず職人として生きるブルーノ。幼い頃に友達として出会>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.3

わー、終わってしまった……。笑って泣いて淋しくて……。自分の感情が追いつかないw

銀河一間抜けなはみ出し者の寄せ集めチーム、ガーディアンズ最後の冒険。ロケットの悲しい物語が主題で彼が今回の主役ではあ
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.6

犯罪者の息子であることを理由に村八分にされている主人公・優。逃げる選択肢はなかったのだろうか……?村から出ていくことも出来るはずなのに未だ留まっているのは、結局彼自身もムラに執着してるからなのだよな。>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.9

カズオ・イシグロ版「生きる」。黒澤明リスペクトが伝わってくるリメイク作品だった。一番の改変は原作にはいなかった新人職員ウェイクリングを登場させていること。黒澤版はどちらかというと痛烈な社会批判が大きく>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

宗教を盾にして身勝手な正義を振りかざす人がいる限り、争い事がなくなる日は永久に来ないんだろうなと思わされる作品。家父長制、貧困、セックスワーカーへの差別、そこにイスラム社会の複雑さも相まってどこから解>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.1

フォロワーさん達が軒並み高レビューだったので観てきました。いやー、面白かった!!1984年、エアジョーダンはいかにして生まれたか?当時シューズ業界ではまだ後塵を拝していたナイキで働く中年達のプロジェク>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

妻子を捨て元教え子の男性と恋に落ち好き勝手に生きておいて、いざ自分の死期が迫ってきた途端最後に娘の力になりたいなんて虫が良すぎません?そう思うのだが270キロの巨体を揺らしながら懸命に生きるブレンダン>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.8

人里離れた森の小屋が舞台。楽しく休暇を過ごすゲイカップルと養女の家族の元に突如現れた謎の四人組。そして突きつけられる究極の選択は「家族の犠牲か、世界の終わりか」。これ言われたらどうするよ?私ならどうし>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.1

先を見通して行動するタイプじゃなくて、今この瞬間が自分にとって大事、そうやって今まで生きてきた何者でもない34歳のブリジット。ハッキリ言っちゃうとクズ女なんだけど自分はとても好感が持てました。
他人か
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生きる(1952年製作の映画)

4.0

「生きる LIVING」公開を前に再鑑賞。
若い時に観たっきりなのでだいぶ忘れていたところも多くて、歳を重ねた今の自分の方が、死期が迫った主人公の内情がよりリアルに分かる気がする。
胃癌を宣告された瞬
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.0


父親が息子のことを理解したいと思い、なんとか手を尽くそうと行動におこすのだが、どれも空回りしてしまうのがとても虚しい。自分も相手を理解することが大切だと思ってたけど、そうじゃないんだな。自分で自分の
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.9

「ちひろさん」が他者に対する言動や行動は、今まで彼女が出会ってきた人達で出来ている。彼女が自分と同じ星の人間だと心を許した大人たちを自分の中に取り込んで生きている。そしてそんな風に生きる彼女に周りの人>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.8

アメリカに渡った中華系移民女性が主役の話、って聞くとなんか歴史物の映画っぽいのに全く違うテイストだったのはダニエルズが監督だったからなのかな。良い意味でポップ、そしてカオス。でも描かれてることはシンプ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

慣れ親しんできたスピルバーグ作品のほんの少しではあるが、種明かしを見せられたような映画。
激突(クラッシュ)に魅了され、映写機が映し出す映像の魔物にのめり込んでいく一人の少年の物語。初めは自分のフェテ
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エゴイスト(2023年製作の映画)

4.0

自分に惜しみなく金を使うことが出来る稼ぎのある浩輔と、母親に寿司を買ってあげたいがその金額にすら躊躇う龍太。高級ブランドに身を包み完全武装して生きてきた男と、命を削り身一つで生きてきた男。お互いの生活>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.1

パク・チャヌクの手練感を存分に味わえる楽しくて不思議なカメラアングル。ちょっと技巧を凝らしすぎでは?とも思うけど、監督のフェティッシュを思いっきり加味した編集は変態性が隠せないw ヘジュンの妄想と現実>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.1

息子を殺された両親と、息子が殺人を犯し自殺した両親。被害者家族と加害者家族が事件の6年後再会し4人が対話する様子を映し出す。

まず、対話に使用する一室の準備段階から緊迫感が凄い。具体的に事件の当事者
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.3

ストップモーションアニメで表現されたデルトロらしいピノッキオ。素晴らしかった!大好き!!!

細部の細部にまで拘りぬいた造形に命を吹き込まれたキャラクター達がいきいきとスクリーンを動き回る。それぞれに
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バビロン(2021年製作の映画)

3.6

1920年代のハリウッド、サイレント映画からトーキー映画に移行する混乱の映画産業をデイミアン・チャゼルが描く、ということで映画愛が炸裂した作品になってるのかなと思ってました。思ってたんですが、うーん、>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

小さな島に住むおじさん二人の仲違い。親友から絶交された男は自他ともに認める”いいひと”だったはずが、歯車が狂い出しタガが外れ徐々に暴走していく。1923年の話だが、現代に生きる我々も身につまされ、色々>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

MeToo運動の始まりともなったハリウッド映画プロデューサー性暴力事件の真相とは。

色々な方が言及されてたけど、確かに「大統領の陰謀」を思い出す映画だった。NYタイムズの新聞記者をキャリー・マリガン
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

20世紀を代表する映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの生涯を綴るドキュメンタリー。
自らが好む好まざるに限らず依頼された映画作品の作曲を引き受け、且つ映画が興行的にヒットするかどうかにまで配慮する紛れ
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.8

韓国発ハワイ行きの旅客機でバイオテロが発生。
密閉空間逃げ場なし、乗客たちの運命はどうなる?

ウイルスの空気感染の恐怖だけでなく、そこに墜落の危機も加わったり、登場人物たちの色んなエピソードが幾重に
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.1

滑り込みで、今年最後に気になっていた作品を。

原作は日系アメリカ人 エイドリアン・トミネの3つの短編から。アメリカで創られた物語がフランス"パリ13区"に舞台を移し、価値観も人種も異なる若い男女が織
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その道の向こうに(2022年製作の映画)

4.1

Apple TV+での配信のみだけど、フォロワーさんたちが相次いで絶賛だったので鑑賞。
素晴らしかった。派手じゃないし淡々と日常が流れていくだけといえばだけなんだけど、とても沁みた。一人では抱えきれな
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.9

サクッと観られて楽しい、面白い!
セットや劇伴にネトフリの資金力が惜しみなく投入されてるのが作品から伝わってくる。勿論キャストもカメオ出演組も豪華!自分が気付いてない有名人や小ネタも多々ありそうで、す
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

コロナ禍の東京、耳の聞こえないプロボクサーであるケイコの日常を描く。16mmフィルムのざらついた映像がこの映画にはとてもよく似合っていた。街を横切る河川、河川敷、首都高……。この風景こそが地方在住者で>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.2

2回鑑賞してやっと落ち着いてきたので感想を。いやー、素晴らしかった!

初めて井上雄彦を知ったのは「楓パープル」、子供ながらにああ、この人は売れるだろうなと確信した(彦一流に言えばまさに要チェックや!
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.8

過去作が「私、僕のために世界はある」だとしたら、今作は「世界の中に私がいる」になっていると感じた作品だった。奇抜というかぶっ飛んだ振り切り方だった新海イズムは影を潜め、おとなしめな印象。これが国民的ア>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.0

中絶が禁止されていた1960年代のフランスが舞台。予期せぬ妊娠をした大学生アンヌが自らの未来のためにどのような選択をするのか。
淡々と事実だけがスクリーンに映る。1週目、2週目と妊娠発覚から刻々とカウ
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.8

まだ何者でもない、血統だけは良い若い騎士が主人公。アーサー王の甥ガウェインがクリスマスの遊び事「首斬りゲーム」の約束を果たすために旅に出るストーリー。いわゆる『アーサー王伝説』の勇敢で騎士道を重んじた>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.8

カイアの紡ぐ話し言葉がとても魅力的だった。詩的な表現が多くて、思わず書きとめたくなるセンテンスの数々……。通り一辺倒の教育を受けていないから他者とかぶらない言葉の使い方になるのかな? 初めてやぐらの上>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.0

自分を証明するものって本人が望めば意外と取り換え可能なのだな。名前とか戸籍とか証明するものは思いつくけど、自分を知る人間のいないところで新しく生まれ変わりたいと願えば容易に叶ってしまうのかもしれない。>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.8

前作「ブラックパンサー」で主演ティ・チャラを演じていたチャドウィック・ボーズマンがこの世を去り、現実が映画という虚構を侵食するような形で始まる今作。
偉大な国王であり愛する兄を失ったシュリとその母ラモ
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

超つえー男と超つえー男が運命的な出会い方をし、人助けをしたり恋バナしたりダンスバトルしたり絶交したりしながら巨悪に立ち向かってゆく超おもしれー映画でした。好き。
序盤のシーン、1人対10000人。警察
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