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戦争と映画の話。大林監督が晩年築いたパッチワーク的な素振りはいよいよ頂点になったというか。今作は前作「花筐」の詩的なムードよりも論理立てられているように思えた。ゴダールの遺作「イメージの本」とも近い>>続きを読む
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物心ついた頃に行った美術館の展示のはじめがエッシャーだった(母曰くマグリットが初美術館らしい)。もう摩訶不思議で楽しくて帰りにガチャガチャでキーホルダーを買った(苔のキーホルダーという地味なものだっ>>続きを読む
映画のはじまりはまさにびっくり箱のようで、延々と同じ出口から人々が出て行く姿から始まった。開幕に相応しい映像。しかもウキウキと帰宅する姿が良くて、残業でぽつねんと帰るよりも良い気分だろうなと思った。>>続きを読む
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知らないバンドだったけれども、それもそのはず彼らはとことん”憎まれっ子”であり続けていたのだった。メディアに出ずメジャーに出ず音楽家の生きる最低限の”ハコ”を演奏の場としていた。そんな彼らを紐解くた>>続きを読む
小さなスマホの画面で寝る前に、映画をおさらいしたい義務感に駆られて観た映像。しかし、これがこのスマホのサイズ感でもなかなかの迫力だと気がつく。消失点でまだ小さくしか見えない列車。駅をうろつく人々。す>>続きを読む
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職場の先輩に「アンパンマンカオスすぎw」というノリで送られたURLを開いたら不覚にも感動した。正直アンパンマンで育ってきてはいない(スポンジボブとケロロ軍曹が2強という謎幼少期でした)けど、こりゃバ>>続きを読む
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チャゼル熱止まらず。
iPhone縦型構図を、逆に上手く利用してる。被写体は上下動のモーションをよく行う。必然的にフィルムの上下動と縦構図はリンクする。考えればスマホのスクロールは縦型が多いわけ>>続きを読む
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「バビロン」のサントラをyoutubeで聴いてはあのラスト思い出して、一度おさらいしようと思って見た。「ノープ」でも出てたしね。ちょっと前まではリュミエールを映画史の始祖としてる感じあったけど最近は>>続きを読む
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今作の監督、カルロス・サウラは今月10日に亡くなったのだとか。訃報が続く中だが、申し訳ないが全く名前を知らずの鑑賞。フィルモグラフィーにはやたらとフラメンコが題材のものが多いようだ。しかし、その中で>>続きを読む
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「”サイレント”をぶち破れ」というコピーを考えたけど、どうでしょうか。
バ・バ・バビロンでした(音が汚いけど、あながち間違ってない)。「ラ・ラ・ランド」のカップルの夢追い再び、それは狂騒の映画界を>>続きを読む
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「バビロン」はちょうど公開されたばかりで、長時間で、前評判も少なく、そのわずかな意見をちらほら聞くところかなり下品で不潔だとか。そして長時間の未知なる悪趣味体験に身を投じるよりも、いくつか評判も聞い>>続きを読む
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埃まみれの地球…、より先にまず自分は机の上の埃をはらわなければならない。しばらく映画観れてなくて荒れ放題な机を片付けて鑑賞。ノーランと言えば最近「オッペンハイマー」の予告編が公開されており、あまりに>>続きを読む
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クソ残業and連勤を終えた後youtubeに謎にレコメンドされた久里洋二のアニメーションを観た。1967年制作の「殺人狂時代」の、簡素すぎるキャラと動き、これでもかと毒っ気と皮肉を放つ作風に胸打たれ>>続きを読む
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オーストリアが戦後四分割に統治されていた頃の話。影は、戦争の影そのものかもな、今作の場合。そして友情と恋愛の板挟みや駆け引きが大人な感じして良い。そして善と悪、まるで戦争は個人レベルで起きてるかのよ>>続きを読む
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ジャック・タチ作品に関わり映画を愛するようになり、その後挫折し映画界から遠ざかるが、数々の名監督たちが彼を演者として起用するなど逆に愛され、今まで権利関係で上映不可能だったのを映画人たちの署名活動に>>続きを読む
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監督が今作公開の挨拶を送ってくれている。あれはほぼ現実だと述べていた。もちろん今作は虚構であり、バンドは全て架空だ。ルー・リードさえもがボブ・ディラン風の歌手という役で出ている。しかし、この熱狂、狂>>続きを読む
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フィル・ティペットが「スターウォーズ」や「ロボコップ」、「ジュラシック・パーク」で特殊効果をやってるとは露知らずに、ただヤバイクリエイターなんだと思って鑑賞した。こんなグロテスク地獄ストップモーショ>>続きを読む
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黒澤は若いうちに見ないと面白くないと、かつて通っていた塾長に言われたことがあった。確かに色々な歪(だが愛すべき)な映画たちを見てからみると、単にスペクタクルに全振りしたような黒澤映画は斜に構えてしま>>続きを読む
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昔は胸糞映画として観たけど、2回目観るとまぁ映画というのは印象を変えるわけでして。集団心理の恐ろしさとか決断の過ちとか、総じてもはや愛おしかったです(気が狂ったのか?)。
まず、霧の中の化け物に>>続きを読む
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コロナ禍というのをまず作品に積極的に昇華した姿勢が良い。完成度や洗練されてるかなんてこの際問題にはならない。強いて言えば編集ソフトぽさをあまりにも隠さなすぎる人物の雑な平行移動が気になった。モノクロ>>続きを読む
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個人的にあまり魅力を感じない主演陣、クサい台詞の応酬、棒読みなど、あまり良くない映画だった。その中で不意に森田芳光的手腕を発揮した演出が煌めくのも一瞬、風の前の塵に同じ…。この後に「家族ゲーム」を監>>続きを読む
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今まで意図的に避けてきた監督がいて、それはウォン・カーウァイとエリック・ロメールだった。理由は、明らかに美しすぎる画面と美しい男女の話が多そうで、映画館の暗闇に安住したい日陰者にとっては眩しすぎた。>>続きを読む
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凄い。戦後の闇市のどん底の活気を、イマヘイの「豚と軍艦」に負けじと再現する。それもリアリズムに寄らない、なんとも不思議なパワフルさ。生き生きしている、それは演者が、色が、セットが、監督が、である。非>>続きを読む
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たかが青春。それをこの長尺、省略を好まないシーンの持続、膨大な予算を持ったスケール感によって、「されど青春」と言うためだけの映画だった。それは前フリとかでもない、全てがしっかり人生として刻まれている>>続きを読む
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家族版バトルロワイヤル。父が言う、「頼む、みんな死んでくれ!」と。経済は潤い、順風満帆すぎて画一化していくだけの家庭像。冒頭のシャイニングみたいな超俯瞰映像で映し出される高速道路を進む車の数々。そし>>続きを読む
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“I thought that I heard you laughing. I thought that I heard you sing. I think I thought I saw you >>続きを読む
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ブレッソンといえば「スリ」あたりしか観てないなぁと思いつつ、カラーだし雰囲気もなんか違うし中世だしと期待して観た。そしたらもう冒頭でザッシュザッシュと切られる甲冑の男たちの映像で始まって息を飲む。初>>続きを読む
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「アナタもバージンアタシもバージン、バージンブルース♪」
と、歌った戸川純を、タイトルを見てまず思い出す。そして原曲は野坂昭如、彼が歌うと途端にうさんくさくてそれがまた良かったり。そんな彼の曲が今作>>続きを読む
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ワンシチュエーションからなる壮大な物語。均質化された箱という窮屈さに、これだけの物語の持続力を持たせる旨さ。立方体という無個性さは、近代化を遂げる我々の画一された住居の空間への違和感が表出したとも言>>続きを読む
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合成だが、なるほど合成という技術を頭脳をフル活用するとこんなにも面白いものになるのか。何かを再現するというより、合成という仕組み自体の面白みに着目している。
最初は日常が多層化していく。しかし、>>続きを読む
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「た、たまごがニワトリに!」的な冒頭からもうバワーズ。卵という万能、生み出すことへの貪欲さ、バワーズ。だじゃれな”スコットランドヤード”(ロンドン警視庁なのだがみんな"Scotland"キルト衣装で>>続きを読む
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「たまご割れすぎ問題」、「全自動レストラン」、そして今作と、1926年はバワーズが続々と傑作を生み出した、彼は止まらない。しかも、今作はちょっと不条理さが増して不気味で良い。ちょっと苦味のあるオチは>>続きを読む
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カメラは被写体にスポットライトを当てる。このごく単純な映画という機構にフェリーニは実直だった。不埒な若者たち、白痴な女と粗野な男、詐欺師、娼婦、放蕩者と、彼は常に映画が爪弾きにしてしまいそうな人々を>>続きを読む
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やはりチャーリー・バワーズはネタで見せるタイプだな。アニメに関してはその線で行くとすぐにネタが尽きてしまうと思う。実際アニメは「とても短い昼食」と今作とほんの数本しか撮られていない。実写でみるからそ>>続きを読む
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はじまってすぐ鶏やたまごが出てきて「たまご割れすぎ問題」への如実な目配せを見せる。”発明家の卵”としての自己をアイデンティファイし、キャラを確率していく。今作もまた前作よりマシーンが更にマシーンっぽ>>続きを読む
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たまご一つの小さな問題がドタバタに繋がる、まさに針小棒大コメディ。そんでもって卵に対する大げさにデカいマシーンもウケる。劇中、発明家をバワーズ本人が演じているのだが、発明を見せたがる発明家と、この映>>続きを読む