TnTさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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とても短い昼⾷(1917年製作の映画)

3.4

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 チャーリー・バワーズ、SNSにて予告編を見て、かなりぶっ飛んでいたので鑑賞した。そんな彼の実写になる前のアニメ作品。年代的に言えばウォルト・ディズニーやフライシャー兄弟よりも早くアニメに手をつけてい>>続きを読む

右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

4.4

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 まずは新設された映画館Strangerに謝辞を。ゴダールの、特に映像と音の織りなす体験を劇場で鑑賞できてよかったです。まさかのゴダールが亡くなったタイミングでの偶然の特集、しかし満席の映画館で、あぁ>>続きを読む

猿人ジョー・ヤング(1949年製作の映画)

3.5

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 「キング・コング」のスタッフが再起用され、ジョン・フォードがなんと制作に名を連ねている、「キング・コング」第二弾的作品。ウィリアム・オブライエンとレイ・ハリーハウゼンらがストップモーションアニメのス>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.9

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 今になって、NOPEとHOPEが一字違いなのって面白い。今作は、HOPE(希望)を振りかざしてきたハリウッド映画界へのNOPE(いいえ)と言い切るアンチテーゼなのである。

 しかし、みんなが「面白
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

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 令和版「キル・ビル」!ここまで潔い日本のはちゃめちゃ描写は久々(このグローバルな時代にまだこの表現通用するのか…)。あなたはきっと冒頭のネオン街の看板に「モダンな街」という文字を見つけるだろう。前半>>続きを読む

レインマン(1988年製作の映画)

4.1

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 これまたハートフルというか、名作だなぁとしみじみ。「トップガン」の次の次ぐらいの出演になるトム・クルーズのキレ演技は見ててイラつくほど生き生きしていた笑(役者としての若さ故のベストアクトだった)。対>>続きを読む

実録・阿部定(1975年製作の映画)

3.4

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 「愛のコリーダ」が「四畳半襖の裏張り」(未見)からの影響を受けており、宮下順子とその相手役の江角英明という配役は今作でまんま引き継がれている。そして「愛のコリーダ」と今作は奇しくも一年違いに公開され>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.2

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 すごく王道なハリウッド映画が現代にもまだ通用することが証明された。あの黄色がかった空と飛行機のカット、そして「Danger Zone」が掛かってと、もう実家のような安心感。これはノスタルジーである以>>続きを読む

追想(1975年製作の映画)

4.0

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 冒頭、音楽といい、自転車を漕ぐ家族の望遠での撮り方といい、なんだかエンディングのような感覚を抱かせる。そしてその多幸感ある画面は静止画に。まさに映画の終わりによくある編集が、初っ端で出迎える。この不>>続きを読む

メニルモンタン(1924年製作の映画)

4.2

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 パリ20区の中のメニルモンタンで起きた女性の悲劇物語。監督が後の妻(既に結婚していた?)であるナディア・シビルスカヤを主演に独立プロで撮影した作品。ロケ地に実際にメニルモンタンを使ったり、多重露光の>>続きを読む

ゴスフォード・パーク(2001年製作の映画)

4.0

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 アルトマンの群像劇、初見殺し説。何人か主軸になる人物はいれど、あとはもう無数にいて、しかも複雑な家族関係もあって誰が誰に恨みつらみあってみたいな関係性も把握できない。そんな中で起きるサスペンス。いや>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

3.4

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 2014年の作品か、つい最近も続編がで続けてるせいかそんな前だと思わなかった。このチャド・スタエルスキ、フィルモグラフィがジョン・ウィックだけなのがおもろすぎる。今作観終わって、そんなボコボコ続編が>>続きを読む

蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.9

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 つかこうへい劇の熱量をうまく映画に昇華できてると思った。いやはや昭和の暑苦しささえも詰まってるし、所謂現代人が思い返す昭和像だった。品もコンプラもないけど情はある。

 「新撰組」の階段落ちを巡る大
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海と毒薬(1986年製作の映画)

3.8

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 実話で、ザ・シリアスな作風、それもそのはず熊井啓が監督である。その徹底的なリアルさは、手術シーンで犬の体ではあるが実際に解剖するほど。また演者の演技も重みがある。社会派だが、今作はもはや明確な問いか>>続きを読む

疑惑(1982年製作の映画)

3.8

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 松本清張原作。よくある裁判モノのようであるが、桃井かおりと岩下志麻の演技が一段レベルの高い作品へと今作を押し上げている。実際他の演者の演技も割と定型に沿ったものだったが、だからこそこの二人の演技が際>>続きを読む

僕の好きなこと、嫌いなこと(1989年製作の映画)

3.7

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 実写をコミック的なぶっ飛び描写で描きまくる。単に好きなこと、嫌いなことを並べただけで、ここまで面白くなるものだろうか。好きと嫌いの生理的な感覚を鋭敏にして、五感にダイレクトに響いてくる。これまたシュ>>続きを読む

回転木馬(1979年製作の映画)

3.5

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 今作のわずか一年前に、クエイ兄弟の短編「人工の夜景」が公開されている。そしてこの二つは非常にダークで、元来子供向けであろうストップモーションアニメをシリアスに楽しめるものにした。石畳、夜景、ゆっくり>>続きを読む

東京チャタレー夫人(1977年製作の映画)

3.4

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 チャタレー事件として本邦を騒がした作品「チャタレイ夫人の恋人」の日本版。ピンク映画だがファッション・ポルノと呼ばれてるらしく、どこかお高くとまった雰囲気がある(音楽もポール・モーリア風)。そしてそれ>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 予告の荘厳さとは裏腹にかなり泥臭い物語で、その聖俗の混ざり合いが良かった(いやむしろその切り離せ無さこそ今作の持つメッセージではないだろうか)。思った以上にアクションも多く、「蜘蛛の巣城」さながらに>>続きを読む

ヒロシマナガサキ(2007年製作の映画)

3.6

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 証言録。今を生きる若者、被爆者、キリシタンの被爆者、韓国人の被爆者、アメリカに渡った被爆者、原爆に携わった科学者、原爆を整備した者、彼らの意見が並列して並べられることで、原爆が多角的にあぶり出される>>続きを読む

ファウスト(1994年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 ファウストは筋しか知らないけど、シュヴァンクマイエル色に染まりに染まっていると思う。人形たちの可笑しさ、粘土でできたホムンクルス赤子の気味悪さ、食べ物はいつもながら不味そうで、唐突なバレリーナはエロ>>続きを読む

悪魔の発明(1957年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 めちゃくちゃ面白いことをしている映画だったんだが、精神が摩耗しているタイミングで感動は確実に薄くなってしまった、ご了承ください。また子供の頃に見たかったと思わせる作品でもあった。

 まずこれが19
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ライトスタッフ(1983年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 3時間という尺を、如何に集中力を切らさないようにするかに尽力した作品。休む暇を与えないような後半の怒涛の展開にぐったりさせられた。休むスキなど与えなければ逆に3時間でもなんでもいける。「トップガン >>続きを読む

吐きだめの悪魔(1986年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 原題「street trash」。表紙を飾るドロドロに溶ける酒というホラー要素は本筋じゃない。これはアメリカの掃き溜めに生きる人々の群像劇なのだ!あらゆるアンチな描写はかえって今現在社会が掲げる多様>>続きを読む

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 今作含む2000年代以降パルムドール受賞作をざっと見ていたが、どこかお涙頂戴すぎる節がある。もちろん今作も、トリアーにしては涙を誘う作品で、ハナからカンヌ向けに作られた映画というのが世の中にはあると>>続きを読む

ヴィオレッタ(2011年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭、少女をカメラはなめるようにワンカットで追尾する。その後、原題「My Little Princess」の文字が映し出されるのだが、それだけでこの映画が少女へのフェティシズムの視線と、母の異常な愛>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 ウルトラマンにそもそも詳しいわけでもなく足を運びたくさせる庵野のネームバリューよ(「私の好きな名前です」)。また「シン・仮面ライダー」の映像もタイミング良く公開され、ここ最近はみんなが庵野漬けにされ>>続きを読む

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 ここ最近のギリアム作品は、本当にプロットというプロットが”ゼロ”だったので、劇場公開されるも見送ってしまった。しかし今回観てみると、その実結構楽しめた。「8 1/2」が好きなので、今作の「ドン・キホ>>続きを読む

風花 kaza-hana(2000年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 なんとも鬱々とした物語だ。これが相米慎二の遺作なのか。普通すぎる人々のありきたりな物語。そこに映画的奇跡がなかなか起きず、ラストの相米マジックが起きるまでは中々キツイ映画だった。ラストカットのバッサ>>続きを読む

荒野の処刑(1975年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 「カットスロート・ナイン」(1972)のような残虐ウエスタン。従来の西部劇の情という情を裏切る非情。映画の通常の枠組みから予想だにしない展開の数々。寓意か?演出か?いいえ、ルチオ・フルチです。B級ホ>>続きを読む

ZAPPA(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 昨年、急遽自分の中で起きたザッパ熱は、遺品で譲り受けたCDがきっかけだった。そして今年、まさかのザッパのドキュメンタリーという、個人史の中でかなりタイミング良い上映だった。そして、芸術家としての偉大>>続きを読む

ザ・マスター(2012年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

 カット一つ一つの鮮烈さは、説明的な情報を辛うじて読ませるに止まり、ほぼ一枚画として完璧であり、ふとすると見とれてしまいそうだった(美と情報との拮抗!)。「マグノリア」とトム・ヨークのMVでチラッとし>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

2.5

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 これは壮大なネタである。130分を掛けた壮大なネタなのだ。と、言い聞かせないと納得がいかない。作られた会話で成り立つ壮大な前フリ。調べれば元は芸人を目指していたそうだ、今作の監督は。そうなるとなんと>>続きを読む

エディット・ピアフ愛の讃歌(2007年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 映画的な人生を歩んだピアフの映画は、かえって映画的すぎて真実味が希薄になった。都度劇的な出来事が起きるも、それらはその劇的な瞬間として並べられただけで、悲劇の詰め合わせ感は否めない。劇的すぎる人生を>>続きを読む

浮草物語(1934年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 とんでもないどんずまりというのは小津映画には待っている。今作も鮮やかにその方向へと邁進し、だんだんハラハラしていくわけで。ほろ苦い。今作は後に小津本人がリメイクしてカラーで撮っている。未見だから楽し>>続きを読む

ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期(2020年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

 このシリーズは、かくして終わりを迎えた。しかも相応しい形で。全て余すことなく満足して劇場を出るに至った。前作から16年越しということで、演者は年を取ったし、同窓会的な親しみの眼差しと、揺るぎない演出>>続きを読む