ケーリー・グラントもキャサリン・ヘプバーンもホントに良く動く。
脱いだグラントに慌てて逃げるヘプバーンが小屋から飛び出す場面、結構な高さだったのに転がり落ちて驚いた。
ヘプバーンは「男装した女」である>>続きを読む
ダントツでルビッチのパートが面白い。
扉の連続からワンアクションで綺麗にオチをつける才気。
次点で、危険運転車を壊しまくる老夫婦の話が楽しかった。
液体の表現が素晴らしい。
川、井戸、そして血。
池内敦子が逃げてからの桜吹雪、暗転、「あれから1年か…」の流れは鳥肌が立った。
最後の大立ち回りは、敵を歩きながら切り捨てていく中村錦之助が素晴らしく怖>>続きを読む
長谷川一夫を求めながら峠を下る香川京子を映す長回しがたまらない…
これでも水面と山が圧倒的に美しい画面になってる
他者のエゴに苦しめられた2人が今度はエゴで周囲をどん底にたたき落とす、ある意味復讐譚>>続きを読む
「貴様は一体」を繰り返す田中邦衛の台詞の省略を、レコードから針を外すカットを差込むことで表現するのには笑った。
「インテリ面した豚の一匹や二匹、牛の中では目立つまい」など凶悪な台詞が切れまくりの区隊長>>続きを読む
こういう話って大体最後は失敗するもんだと思っていたので、ちゃんと直木賞を取れたことに驚き。
その朗報を聞いて泣く妻子がたまらなく良い。
非常にテンポの良い人情劇として話は進むが、江分利が直木賞祝いの>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
びっくりギミックの殺し屋たちを運と工夫で切り抜ける喜劇風サスペンス、と思いきや仲代達也がどんどんシリアスな雰囲気を出してくるのがすごい。
ギャグだと思っていたシーンがドラマの伏線だったときの驚きときた>>続きを読む
勝新・三船に若尾文子で岸田森とまあお祭り映画ですよね。
互いに「化け物」「けだもの」と罵りあいながらも、根っこのお人良しなところが通じてて面白い関係だった。
酒瓶を落として高さを測ろうとする市に対して>>続きを読む
ホームズというかコカイン中毒の話。
あまりホームズである意味を感じなかったが、フロイトの魅力的な人物造詣、走る機関車の上での決闘など、中々見所のある映画だった。
ホームズがコカイン中毒に陥った原因であ>>続きを読む
「最後の早慶戦」がメインの映画だと思っていたので、試合が丸々カットされたのには面食らった。
登場人物がほぼ厭戦感を出していないにも関わらず(かといって軍部や世間に洗脳されているなどの描写もない)、戦争>>続きを読む
とにかくテンポが良い。
人の間を巧みに渡り歩く宝田明のコミカルな動きが素晴らしい。
その人物の配置や関係も過不足なく気を配られている、楽しい映画。
(惚れ薬は小道具の使い方としては些か目立ちすぎとは思>>続きを読む
夫からの手紙を見てうなだれる伊藤智子の仕草にサイレントの残り香を感じる。
「なぜ父は家を出たのか」という疑問を家族三人でのお出かけの間にじっくりと映すのが非常に辛い。
突拍子もないような話ではなく至>>続きを読む
3Dの限界を探ろうとしているかのような画面構成はすごいが、内容は全く頭に入らなかった。面白いとかつまらないとかそういう次元ではない。
『コンドル』の1シーンが一番印象的だった。
この映画のテンポのよさときたらもう!劇的な展開があるわけでもないのに、90分間画面から目を離すことが出来ない。
同僚を結婚させるためにトンカツ屋でビールを飲ませるくだりなんて、豪快すぎて不条理に片足を>>続きを読む
冒頭の郷愁感に溢れた街巡りだけで泣きそうになる。
「法と秩序」で街に平和をもたらそうとしたランスは人々に勇気を与え「銃と暴力」の時代を終わらせたが、
それは同時にトムという男の人生を奪ったに等しいとい>>続きを読む
キャサリン・ヘプバーンが出てるだけで傑作認定したくなるが、内容も超一級の舞台裏モノ。
「ハミルトンだったか。彼女はどうしてる」「現役さ」
これほど残酷な会話があるだろうか。
友人の犠牲を経てスターダ>>続きを読む
男女間の付き合いの醜さを撮った逸品。
姉や義兄の愚痴を聞いてから気怠そうに団扇をあおぐ高峯秀子が最高。
赤い手やミュゲが言うように「誰も彼もが哀しい」一族の話なのに、演出は異様に淡々としている。
喜劇描写といい、この頃のベッケルはまだルノワールの影響に縛られているようでもある。
ただ傲慢で幼稚な男のよ>>続きを読む
「このムチャクチャさは主人公たちの若さの衝動を表現してる」とか言いたいとこだけど、たぶん相米慎二が狂ってるだけだと思った。
ホントに狂ってるもの見ると笑ってしまうんだなあ。
最高。
無能な上司に悩まされる海兵たちの話…という体で話が進むのだが、
ラストのパーティーで趣きがガラッと変わる。
一辺倒な悪人などいないのね。
ボギーの切羽詰まった演技は見事。
気の利いたコメディに恋愛模様と、歌と、舞台裏映画としても珠玉の出来であり、
ダンス以外も神経の張られた作品なのだが、
やはり注目すべきは歌とダンスなのだ。
俯瞰カメラによる幾何学模様を形どった陣形、>>続きを読む
有名小説をマムーリアンが映画化、とくれば注目したいのは演出。
ガーターの扇情的な脱ぎ方など細かい演出が冴えるが、何と言ってもハイドの暴力性がすごい。
ウェイターを転ばすショットの呼吸の良さ、
安堵し>>続きを読む
ホークスお得意のハイテンションコメディ。
何故かジャケットではモンローが推されてますが、主演じゃないです。
この映画で初めてケーリー・グラントを良い俳優だと思えた。
イケメン高身長なのに奇天烈な演技>>続きを読む
アイルランドの冷ややかな大自然の描写が圧巻。
海が静かな時は驚くほど美しいのに、嵐が来れば途端に恐ろしいものとなる。
キリスト教色が強く比喩的な描写が多いので、話のすべてを理解出来たわけではないのだ>>続きを読む
オーソドックスな父子モノ。
ストレートな脚本とヴィダーお得意の温かいタッチが胸に刺さる。
寝ているディンクのために酒場のテーブルのライトをそっと消すトニー、
ディンクの着替えを手伝いたくてしかてない母>>続きを読む
淡々として冷え切った演出が印象に残る犯罪映画。
唯一明るいのが、ヒッチハイクで少年を乗せてからカリフォルニアまでの道中。
冷酷な犯罪者である2人が少年とは非常に仲良く旅をしたのも、
1人は父親であり、>>続きを読む
モンローとラッセルのショーからスタッフロールに入るOPでもうメロメロ。
ミュージカル映画の醍醐味に「鬱屈した状況から歌と踊りで立ち直る」があると思うのだけれど、
ホテルを追い出された二人が場末のカフェ>>続きを読む
冒頭、チャンスがジョーをぶちのめして逮捕するまでのシーンが圧倒的。
ほとんど台詞を使わず映像と役者の表情だけでストーリーを進めている。
これほどの緊迫感あふれるシーンはフォードの西部劇でもあまり見られ>>続きを読む
サイレントにしても、画面の情報量がものすごい作品。
小道具を使った洒落た演出のラッシュがたまらない。
結局みんな何とか幸せそうになっているオチもほほえましい。
旦那が入ってきたのを察して手を組み替え>>続きを読む
何度も殺し合う寸前までいき、互いに裏切り合っているのに、奇妙な友情に結ばれている二人の男の渋さ!
むせ返るほど洒落たシーンにまみれたアルドリッチの傑作。
絶対に人を信用しようとしないジョーが、自分を撃>>続きを読む
モディリアニが愛人を殴り倒して部屋を出るシークエンスが凄い。
50年代の映画らしからぬ、現代的なカメラ。
リリー・パルマー演じる愛人のベアトリスがむちゃくちゃ格好良い。
別れ話を切り出されてもあっけ>>続きを読む
深刻ながら、画面から溢れるこの多幸感。
ルノワールはカラー作品の方が良い。
貧しくとも誠実であろうとする父と、遊びと厳しさを兼ねたギャングのボスに育てられた少年の成長の物語。
「大人になる」ということは残酷な真実を知ることでもあるが、自分に向けられた愛に気付けるということで>>続きを読む
メタ的な語りという亜流を、全盛期の姿での演奏に、そしてラストの王道のミュージカル演出に繋げるの興奮した。
音楽のために色々なものを捨てる男の話なのに、暗さは全くない(娘が死んだときでさえ、あっさりし>>続きを読む
ウェス・アンダーソンの統一された画面構成はなるほど人形劇に向いている。
過剰なほど機敏に動くキャラクターたちは見ているだけで楽しい。
全てをやりとげた主人公たちが、野生の象徴である狼を目にして涙ぐむシ>>続きを読む
ラスト、昔の恋人を見送って、雪景色の中で家族と戯れるギィ。
ここの、静かで暖かい寂寥感がたまらなく好きです。