キャッチ30さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

キャッチ30

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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

3.8

 米国のポルノ業界に焦点を当てたアンサンブルドラマか。日本の場合、AVというより日活ロマンポルノに当たるのだろうか。何しろ、時代はアダルトビデオが参入する前後なのだ。

 1977年のカリフォルニア州
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

3.9

 メキシコでは年間推定約6万件の誘拐事件が発生している。然も、それを利用した犯罪組織による誘拐ビジネスが横行している。市民たちは恐怖のあまり声を大にして太刀打ちできない。恐ろしい現実だ。

 メキシコ
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炎上(1958年製作の映画)

4.1

 今作は三島由紀夫の「金閣寺」を映画化したものだ。但し、金閣寺の住職からの猛抗議で劇中では驟覚寺という名称に変更されている。

 溝口吾市は父の親友である田山道詮老師が住職を務める驟覚寺に徒弟として住
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欲望の翼(1990年製作の映画)

4.0

 ウォン・カーウァイはカンフー映画や香港ノワールが席巻していた香港映画に新風を巻き起こした。出世作となった『欲望の翼』で描いたのは剥き出しの恋愛映画だ。

 時代は1960年の香港。ヨディはサッカー場
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さがす(2022年製作の映画)

3.7

 恐ろしい映画だ。重苦しい映画でもあった。目を背けたくなるような場面の連続だった。

 原田智は中学生の娘・楓と大阪の下町で暮らしていた。妻とは死別し、卓球場を経営していたが、差し押さえられ、今は日雇
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

3.8

 この映画はアムレートの伝説を題材にしている。アムレートはシェイクスピアの『ハムレット』の原型になったと言われている(アムレートのアナグラムは"Hamlet")。話の展開からみても、やはり『ハムレット>>続きを読む

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

3.9

 無力感を感じる映画だ。目の前で行われている蛮行に観客や登場人物たちはなす術がない。

 1995年7月、ボスニア東部スレブレニツァでセルビア人のラトコ・ムラディッチ率いるスルプスカ共和国軍によりイス
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.8

 アパートの部屋に設置された固定カメラと長回しに映し出される主婦の日常。劇伴は一切無いし、台詞も少ない。下手をしたら、退屈になりそうな題材に監督のシャンタル・アケルマンは果敢に挑む。

 ブリュッセル
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そばかす(2022年製作の映画)

4.0

 アロマンティック・アセクシュアルという性癖がある。他者に対して恋愛感情は疎か性的欲求を感じない人を指す。恋愛や結婚が普通と考える方には異常に見えるかもしれないが、あながちそうとも言えない。何故なら、>>続きを読む

アトランティス(2019年製作の映画)

4.0

 舞台はロシアとの戦争終結から1年後になる2025年のウクライナとある。ウクライナ戦争が行われている現在から少し遠い未来だ。
 残念ながら、平和な世界とは言い難い。戦争の傷跡が残っているからだ。廃墟と
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斬る(1962年製作の映画)

3.8

 奇怪な時代劇だと思った。残酷な運命劇にも見える。かと言って、話は重苦しくならずタイトに進んでいく。

 小諸藩士の高倉信吾は3年間の武者修行の間、三絃の構えという相手の喉元を狙う異様な剣法を会得し、
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あのこと(2021年製作の映画)

4.2

 映画を観て、痛々しいと感じたことはあるが、息苦しいと感じたのは初めてだった。実際、本国フランスでは失神したという男性客がいたらしい。

 時代は1963年のフランス。貧しい労働者階級の両親に育てられ
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ある男(2022年製作の映画)

3.8

 里枝は次男の死別と離婚を経て、長男を連れて故郷の宮崎に戻り、やがて「大祐」と再婚。新たに生まれた子供と共に幸福な時間を過ごしていたが、「大祐」は不慮の事故により亡くなる。1周忌を迎え、長年疎遠になっ>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

4.0

 冬の旅は過酷だ。気候は寒いし、夜は冷え込むので、野宿するには最悪の時期だ。然も、危険も潜んでいる。

 そんな状況下で冬の旅を実践した女性がいる。彼女の名はモナというが、本名かどうかは曖昧だ。家族も
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マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

3.8

 これは変身願望がもたらす悲喜劇だ。他人の脳内に繋がれる代わりに、人は何かを失ったり、得たりしていく。

 人形遣いのクレイグは才能はあるが無職だ。路上で人形劇をやっても、内容が卑猥すぎて通行客に殴ら
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女は女である(1961年製作の映画)

4.0

 ジャン=リュック・ゴダールに通常の映画技法を求めてはならない。また、あらすじも求めてはならない。今作を観ていたら、そんな感想が頭をよぎる。

 パリでストリッパーとして働いているアンジェラは本屋で働
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

4.2

 前作の『ペイン・アンド・グローリー』で自らの人生を半自伝的に描いたペドロ・アルモドバル。今回の『パラレル・マザーズ』では、彼の母国であるスペインの過去を掘り起こそうとする。内容はメロドラマなのに、背>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.9

 ジャンヌ・ダルクは農民の娘として生まれ、神の啓示を受けてフランス軍に従軍し、百年戦争でイングランドと戦い、勝利を収めた。だが、イングランドに捕らえられ、異端の罪で火刑に処される。

 これだけ聞くと
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.1

 奇妙な恋愛映画だと思った。主人公は妻が浮気しているのに怒らないという設定からして奇妙だ。そもそも、これは恋愛映画なのだろうか。

 フリーライターの茂巳は編集者である妻の紗衣が担当している売れっ子作
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波が去るとき(2022年製作の映画)

4.0

 静寂な画面の背後では、暴力が蔓延している。フィリピンのドゥテルテ大統領による麻薬撲滅キャンペーンで弱者が犠牲になっている世界。但し、主人公は警察側の人間だ。

 ヘルメスは優秀な捜査官として迷いなく
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ひまわり(1970年製作の映画)

3.9

 戦争とメロドラマは相性が合う。戦争によって翻弄され、愛し合っていた筈の男女が引き裂かれていく。『シェルブールの雨傘』や『ドクトル・ジバゴ』等、名作が多い。今作もその1本だ。
 
 第二次世界大戦下の
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