ユーライさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

害虫(2002年製作の映画)

3.5

ママが自殺未遂。絶賛登校拒否を続ける私が心を寄せているのは小学校時代の先生と偶然出会ったチャラいお兄ちゃんに浮浪者やってるオジサンだけ。新しいパパも学校の自称ボーイフレンドも気持ち悪いだけ。だいっきら>>続きを読む

サイン(2002年製作の映画)

4.3

常時半笑いで観て最後は無理くり感動させられるシャマランテイスト。何やら訳あり気な片田舎の家族が右往左往を見せられるだけなので段々ウトウト、しかし宇宙人激撮をホアキン目撃してビックリ飛びのき辺りから面白>>続きを読む

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

3.5

優作の『探偵物語』(もちろんTVドラマの方)やないか。全体的にセントラル・アーツやNTV火曜9時臭漂うが、オリジナルはこっちだ。奇人変人ばっかり登場するから見ていて飽きないけれど、どれだけ変わったこと>>続きを読む

世界残酷物語(1962年製作の映画)

4.0

沢山いるワンちゃんがキャンコラキャンコラ跳ね回る光景に「これは現実である」みたいな勿体付けたテロップが重なる。あーこれだよこれこれと少なからず期待させるが、思ったより残酷じゃない。というより、「この映>>続きを読む

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)

4.7

ニュース映像を使用したオープニングの時点で何やらただ事ではない気配は伝わるが、その割にお話は『2』以降に醸成された、パブリックイメージとしてある「ムキムキのスタローンが悪い奴らをブチ殺します。以上」で>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.2

予告を見て「こ、これはインピオじゃあーりませんか」などと懸念していた私のカスみたいな邪を粉々に打ち砕く、力ある作品だ。驚嘆したのは、プール開きにてすっぽんぽんになる児童らはともかく、トットちゃんの丸ポ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

文句を言うために観に行った方が悪いのだけど、お前ホンマええ加減にせえよ。弱男である独居老人コウジ・ヤクショがトイレ清掃員に扮して魔都市TOKYOの奇妙奇天烈な便所をあっちでフキフキ、こっちでフキフキ。>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.0

彼女が精神の均衡を失っていることがコメディタッチの中でジワリジワリと点描され、中盤に至っていよいよ決壊する辺りは結構いい感じだ。おっここから家庭崩壊の悲劇一直線なんだなと思ってワクワクしていると、何だ>>続きを読む

ブラック・レイン(1989年製作の映画)

5.0

午前十時の映画祭。久しぶりに観たが、アレこんなにいい映画だったっけと驚いちゃった。お話は凡庸なプロピクの域を出ないがベタを貫徹する手際、役者陣の奮闘、意表を突かれるやり過ぎ残酷描写、そしてリドスコ特有>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

4.0

前作前々作と比べればやる気を感じるが、バイオレンスの穏当さにはガッカリする。やはり『初恋』は会心の一作であった。「虐待によって異常を抱えてしまった」という『オーディション』に通じる物語でありながら、サ>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.5

ゴチャゴチャしたデザインのポスター、パッとしないタイトル、いつもの面子と変わらないスタッフ。「鬼太郎の映画やるんだ、ふーん」程度の認識でアウトオブ眼中だったが、評判が異様に良いので観た。これが中々どう>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.5

北野武は私にとって特別な監督なので、贔屓にしてしまうのである。「みぃ~な殺しに決まっとるがや!」から戦国版『アウトレイジ』を期待していると、案外穏当だし暴力描写も以前のようなキレからは程遠い。これは6>>続きを読む

(2023年製作の映画)

5.0

ここまでの覚悟で迫られると良いとか悪いとかそういう問題じゃねぇわと言わざるを得ぬ。人間性に纏わる虚飾を剥がして剥がして剥がし倒す無間地獄の迫力に完全に圧倒される。相模原障害者施設殺傷事件をモチーフにし>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

初代+GMK+シンを芹沢主人公にして俺流リミックスする二次創作臭。それに『永遠の0』『SPACE BATTLESHIP ヤマト』等で培ってきた昭和論をまぶす。得意なフィールドで勝負を挑むその判断は決し>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

5.0

数回目の再見だが、実に多面的なことに気付かされる。生真面目な反核映画かと思いきや、架空の巨大生物を災害に見立てたリアル・シミュレーションでもあるし、戦争から生き延びてしまった陰キャの魂の彷徨を描く文学>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.5

観に行った理由なんてもちろん「監督・ギャレス・エドワーズ」しかないが、期待外れだった。「こういう映画が撮りたい!」という美意識は細部にまで行き届いていて快いし、日本ひいてはアジアの文化に対するリスペク>>続きを読む

さすらいの恋人 眩暈(1978年製作の映画)

3.5

いかにもな激安フォークながら、中島みゆき先生の「わかれうた」が流れるので否応にも雰囲気は出る。アリストテレスよりはこっちの方が合ってるよ。薄氷に足を踏み入れる女を助ける男、というファーストシーンから予>>続きを読む

海がきこえる(1993年製作の映画)

4.0

実写でも十分可能なスケール感ではあるが、画面サイズを変えたりシーンが移行する前に先走りインサートするなど飛び道具多数。自由奔放を超えて情緒不安定過ぎる武藤さん。そんな彼女に根気よく付き合ってくれるカミ>>続きを読む

宇宙戦争(2005年製作の映画)

5.0

皆さんもご指摘の通り、宇宙人によって人死にまくり灰になりまくり血吸われまくりの大虐殺は凄過ぎて言うことないんだけど、本作が素晴らしいのは怪獣映画における「人間ドラマ」の部分にある。トムは、仕事場では優>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.5

ぜ、全然分からない!大抵の映画はどんなに駄目でも「何がやりたくて何が言いたいのか」は理解できるけど、たまにこういう何がしたいのかさっぱり分からない例外も存在する。近未来が舞台なら、オープニングで「人類>>続きを読む

沈黙の艦隊(2023年製作の映画)

1.0

何だこのウンコ映画。煽りに煽って伏線も全部ブン投げ。1本の作品として完結していない商品以前の代物。事前に一切の予告をせず続編の告知もしない。それでも期待してねでゼニを搾り取るスタンスでござんすと、そう>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.2

前評通り「観たかった原田眞人」ではあるが、まだまだこんなもんじゃないだろうという感は拭えず。そもそもVシネ時代の活躍を知っている観客がどれくらいいるのか。関西弁を多用する割に、クライムシティ大阪の土地>>続きを読む

映画プリキュアオールスターズF(2023年製作の映画)

4.2

シリーズは『トロピカル〜ジュ!』のみ、もちろん『ひろがるスカイ!』も未見。野次馬根性丸出しでも、クライマックスの思い出ボム全投入みたいなエモの大洪水には訳も分からず感動させられる。これに涙しないファン>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.0

無音の黒に簡素なスタッフロール、童貞少年にあえてパンチラをカマす美少女。序盤は期待通りのATG路線のように見える。そのように見えるのだ。しかし、『マトリックス』というより『メガゾーン23』なセカイであ>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

4.1

『百円の恋』以降かと思うが、近年実力派の若手が次々とボクシング映画を発表しているのを横目で見て、よっしゃいっちょ俺もやったるわという感じ。当然のように松浦慎一郎もクレジットされてます。しかし原作がある>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト。ガメラ三部作で怪獣映画の頂点を極めた金子修介が満を持して手掛けるゴジラだが、難点は多い。架空の近現代史を設定、導入した自衛隊ならぬ「防衛軍」により必然的に緩くなったリアリティ、土壇>>続きを読む

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)(1965年製作の映画)

5.0

フランケンシュタインの造形には、表象として怪物の意匠を纏った怪獣とは異なる、生理的嫌悪を呼び起こす要素に満ちている。垂れ目、ガチャ歯、不潔な恰好、半開きの口から出るのは譫言ばかり。これ即ち我々が日常で>>続きを読む

天使のはらわた 赤い閃光(1994年製作の映画)

4.6

映画化されている『天使のはらわた』シリーズは全6作だが、曽根中生が監督した『女高生』と同じく何故かハブられている不遇の一作。理由は製作が日活ではなく兵どもが夢の跡、アルゴ・ピクチャーズだからだろう。V>>続きを読む

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)

4.3

「また『フレンチ・コネクション』みたいなやつ作れよ」とどこかの誰かに言われたのが想像付くような類似要素の多さ。暴力刑事のキャパを超えた狂人、対になるカリスマ性のあるボス、常軌を逸したカーチェイス、など>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.6

初監督作にして図抜けたセンスとVシネっぽい安さ、それに素人臭さがグチャグチャに混在してて振り回される。特に我妻が延々歩き続けるのは観ていてハラハラ。橋と川のモチーフ、画面の向こう側=彼岸からやって来る>>続きを読む

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)

3.0

要所要所で光るものはありつつも、結局尻すぼみで終わるいつもの安心安全邦画大作。銃撃戦を疎かにして感情移入出来ぬ陳腐な愁嘆場、相関図が入ってこない説明台詞をダラダラやってる。私の気は狂わんばかり。ハッタ>>続きを読む

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023年製作の映画)

4.8

幼少期の非理谷としんちゃんが出会ってからはずっと泣いてた。愁嘆場→ひろしの靴下で笑かすクレしん映画必殺の方程式。創作の素晴らしさを謳い上げるメタフィクションに弱いというのもあるが、「頑張れ」連打にはさ>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.6

独自の思想、世界観が首尾一貫しているから観ていて気分が良い。厳つい死んだ目をしたオッサンの煩悶に相応の理由はあるが、どこか女々しく煮え切らない。決められたゲームのルールにだけ順応出来、自室に戻ると全部>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.1

思ったより全然イヤボーンせず。もっと人体破壊とかやってくれてもええんやで。しかし、ジャンル映画然としていないクソリアリズムで超能力を捉える感覚は悪くない。「痛覚を刺激されると正気に戻る」とか「精神操作>>続きを読む

地球防衛軍(1957年製作の映画)

3.7

午前十時の映画祭4K版。スクリーンで観られたのは眼福なれど、往年の東宝特撮特有のやたらダラダラ間延びしたシーンが続くので途中からウトウト。まだ信心が足りない。マーカライトファープ発射(伊福部流れる)→>>続きを読む

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト(2023年製作の映画)

4.7

1期を12話まで(何故だ)。実写の日本映画というのは極端なことを言えば、時代劇以外はハリウッド等から拝借してきたパチモノに過ぎない。いくら金かけても所詮は劣化コピーですわ。しかし、アニメは違う。近年台>>続きを読む