mimitakoyaki

ヴィンチェンツォのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ヴィンチェンツォ(2021年製作のドラマ)
4.8
最高!最高すぎる!
毎日家にこもって過ごす連休もずっとヴィンチェンツォに楽しませてもらいました!

ストーリーは申し分なくおもしろいし、映像や衣装や音楽も洗練されてて素晴らしいし、何より登場人物がたくさん出てくるけど、みんなキャラが立ってて、愛おしく思えるんですよね。
ずっとこの人たちを見ていたい、この人達とあそこのクムガプラザで暮らしたいとさえ思わせてくれるお茶目さが最高でした。

ストーリーとしては、イタリアでマフィアの片腕として活躍してきた弁護士のヴィンチェンツォ・カサノが、韓国のボロい雑居ビル クムガプラザの地下に大量の金塊が隠されてるので、それを手に入れに韓国に戻ってきましたが、そのビルを財閥のバベルグループが買収したために、立ち退きを迫られたクムガプラザの住民達と力を合わせ、悪徳企業バベルと闘うという話です。

この主人公がマフィアなので、めちゃくちゃ人も殺すんです。
マフィアのやり口なのでかなり恐ろしく容赦なく手を下してきます。

そんなヴィンチェンツォがクムガプラザの濃ゆすぎる住民たちに翻弄されながらも、団結してファミリーになっていく過程が、笑いどころ満載でいつもほんとに楽しかったし、バベルが金と権力にものを言わせ、政治家や検察や判事、メディアと癒着し、あの手この手でえげつない悪事をどんどんはたらいていきますが、ヴィンチェンツォの対抗の仕方がユーモラスで、クムガプラザの住民達と一緒になってバベルに強烈な一撃をお見舞いしていくところが痛快で最高です。

韓国ドラマや映画を見てたら、検察や警察、メディア、政治家、司法が全部腐敗してて、それと闘うっていう作品がたくさんありますけど、ドラマの中で、ヴィンチェンツォの相棒の女性弁護士チャヨンが、イタリアでは悪党はマフィアだけだが、韓国は全部マフィア。国会、警察、検察、企業、役所も…みたいな事を言うんですね。

ほんとにその通りに正義が通らない、弱い人が守られずに犠牲を強いられ、金や権力を持つ者はいつも守られ、より肥え太るという韓国社会の闇が強烈に描かれています。

司法も捜査機関も財閥の手先なので、巨悪を法でも裁けず何しても庶民は勝てないという理不尽な現実に対して、こうなったらこっちもマフィアの流儀で違法な手でも何でもやってやる!と暴力もいっぱい使うし人も殺します。
もうディストピアみたいな話ですけど、正義も正論も通じなくなった、力には力で、悪には悪で、ということなんですね。

バベルの会長はサイコパスで狂ってるし、ヴィンチェンツォも後半はかなりやってるしで、暴力もなかなかにエグくて、ハードな話かと思いきや、ほのぼのしてるし笑えるしで、コメディ要素かなり強めで、ほんとに作りが巧みなので、全く飽きないし、登場人物たちをどんどん好きになるし、最終話に近づくほど終わってほしくないし、最後の最後までほんとに楽しく見れました。

キャストも最高ですよ。
どの人物もすごく魅力的に演じてて素晴らしかったです。
ヴィンチェンツォ役のソンジュンギ、スーツがめちゃくちゃかっこよくて、落ち着いた低めの声も良いし、お手入れ頑張ってるのすごく分かるスベスベの白肌と、オンオフで変わる前髪も、全部素敵すぎてヤバい!
もうすでに過去作の「成均館スキャンダル」に手を出してしまいましたからね。
これがソンジュンギ沼ってやつなのですね。

相棒の弁護士は「楽園の夜」でも素晴らしかったチョンヨビンですが、本作でもめちゃくちゃかっこよくてさばけたヒロインなんですよ。
ヴィンチェンツォ程じゃなくても、この人も純粋な正義じゃなく、はじめはバベル側の人間でズル汚いこともやってきたんですね。
勝つために貪欲で、でも優しさやあたたかみがちゃんとあるところがほんとに素敵で魅力的でした。

もうみんな好きすぎて1人ずつ書いたらレビューが10mくらいになってしまうからしないけど、テギョンもチョハンチョルもクァクドンヨンもキムヨジンもユジェミョンも最高だったし、クムガプラザの住民たちも、愛の不時着で北朝鮮兵士ピョチスに匹敵する愛されキャラを生み出したヤンギョンウォン、クリーニング屋もヌートリアもニセのパクセロイも、住職も、ピアノ学院長も、ゾンビ指導者も、イタリアンシェフも、勘違いだらけの諜報員アン君も、誰も彼もが茶目っ気たっぷりで可愛すぎましたね。

パラサイトものまねとか、小ネタがいちいちおもしろいけど、あの人、イソンギュンやユヘジンやキムユンソクのモノマネさせるためだけにキャスティングされたのか笑
愛の不時着vs梨泰院クラスネタも出てきたし、いろんな作品や登場人物のオマージュもたくさん楽しめます。
最終回で頭取をわざわざ出してきたの、あれは完全に「刑務所のルールブック」だったし、見てる人にだけわかるやつ、思わずニンマリです。

アクション、バイオレンス、親子や兄弟の愛憎、友情、人情を笑いとスリルたっぷりに痛快に描いてて、愛の不時着に匹敵する傑作ドラマだと思いました。
コロナ禍でのおうち時間もほんとに楽しませてくれて夢中にさせてくれてありがとう!

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2回目: 2021.6.4

「ヴィンツェンツォ」見た後に、「スペース スウィーパーズ」や「成均館スキャンダル」といったソンジュンギ作品を見て、さらにヴィンツェンツォ2回目を見ましたら、1話目のチンソンギュはスペーススウィーパーズつながり、8話目のヴィンツェンツォの偽名テホはスペーススウィーパーズのソンジュンギの役名だったり、15話のヴィンツェンツォが扮した霊媒師の名前がヨリムで成均館スキャンダルでのソンジュンギの役名だったりするセルフオマージュに気付けて、何度も嬉しくなりました。

ヴィンツェンツォのやられたらやり返す倍返しのやり口が、そんなんあるかいな⁈と思うような事なんですが、遊園地デートとか、裁判の壊し方とか、YouTube番組とか、豚の血とか、ニセ霊媒師とか、毎回毎回アッと言わせる意外な方法ですごく面白かったし、クムガプラザの住人達の必殺仕事人ぶりも楽しかったし、巨悪との闘いを人情も絡ませながら、ユーモアたっぷりに、それでいて容赦なくダークで、韓国らしさいっぱいでお腹いっぱい満たされる作品でした。

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