mimitakoyaki

ヤング・ロイヤルズ シーズン1のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.9
内容知らずに「ハートストッパー」からの流れで見てみたのですが、同じ高校生のボーイズラブをテーマにしていても、こちらの方は王子と一般人の格差同性愛ですから、障壁が高すぎるんです。

「ハートストッパー」は、結構等身大の高校生の恋愛や友情で、とにかく可愛くってほのぼのキュンキュンでしたが、本作の方は全寮制の名門校を舞台に、ホモソーシャル的な色合いが濃い寮生活や、王族として伝統と家柄、皇位に恥じない振る舞いを求められ、抑圧された息苦しさがあるので、重めな雰囲気です。

そんな中で、王子が同級生の男の子と惹かれ合い恋に落ちるのが「禁断‼︎」って感じでドキドキします。
「ハートストッパー」ではキスシーンまででしたが、こちらの方はしっかりした性描写もあり、より攻めた感じがありました。

圧倒的な身分の差がありがらも、本人達はそこはあまり気にしてなくて、普段韓国作品ばかりを見てるわたしとしては、韓国作品なら家柄の違いはめちゃくちゃ問題になるので、スウェーデンではそこまででもないのかな…?と思ったり。

スウェーデンというと、日本なんかよりももっともっと人権が尊重されて平等で自由度も高い、というような進んだイメージがあったのですが、金持ちの子息が行くような名門校なので、なかなかお高くとまってるし、金持ちの寮生と家から通学の子とでは差がつけられたりしてて、金がものを言うのはスウェーデンでも同じなんだなとか、まだまだ同性愛をオープンにするのは難しいとか、金持ち上級生が権力を握ってるとか、そういう古臭さや閉塞感なんかもあるんだなと、少し意外に思いました。

そんな息苦しさの中で、皇太子になったヴィルヘルムが、ありのままゲイの自分としての生き方や自由を求める気持ちと、王族の抑圧された不自由さとの狭間で葛藤するのが描かれていて、ロイヤルファミリーに生まれた者としての重圧や宿命を受け入れざるを得ないけれど、それでも自分の中で本当に大切なもの、シーモンへの愛を伝え、持ち続けようとする意志が伝わってきて、最後はグッときました。
早くシーズン2が見たいです。

「ハートストッパー」では、現実にいそうな身近に感じられるキャラもたくさんいましたが、こちらの方は、王子がまさしく王子のルックスで、サラサラの金髪もサマになってるリバー・フェニックスのような美少年だし、彼氏のシーモンもまたカーリーヘアのイケメンなんですよね。
2人がすごく絵になってて、絡みが美しいから、もっと見せろとなります。

まあでも、同じ高校生の男の子同士の恋愛ストーリーとしては、絵に描いたようなイケメンでもない「ハートストッパー」の方が好みです。
メッセージ性も社会性もポジティブさも素晴らしかったので。

それにしても、スウェーデンの王室がこんな感じで描かれてるのは、やっぱり自由度が高いからなんだろうと思います。
日本の皇族を主人公にした同性愛の物語なんか、きっと誰も作らないし、作ったところで、不謹慎だとかめちゃくちゃ非難されそうですもん。
望んで王族になったわけでもないのに、本人の意思と関係なしに重荷を背負わされ、その重責から逃れることもできず、自分に選択肢もない人生なんて、考えただけでもゾッとします。
シーズン2で、ヴィルヘルムが王族でありながら、どう自分らしく生きようとするのか、シーモンとの恋の行方も楽しみです。

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