モモモ

ムーンナイトのモモモのレビュー・感想・評価

ムーンナイト(2022年製作のドラマ)
4.3
1話
いやいやめちゃくちゃ面白い。私生活を犠牲にしてヒーロー活動を…的王道を病理として描く。省略の演出が冴え渡る。これこそ編集の妙。最初の「失神→フルボッコ」も最高だが、ここぞで省略するカーチェイスも中々。予算も省略出来て、主人公を観客に追体験させる。エレベーターで迫る何かやラストのエジプトの獣(名前がわからんが)に漂うホラーテイストと、鏡を執拗に使う多重人格描写。天晴!!

2話
いやぁ、やっぱり面白いなぁ。「ライトオフ」的ホラー表現に、アイデンティティ探求するオリジン要素。どんな経緯で主人公がああなったのかを紐解いていくだけで自分は満足してしまうのだろう。「先任」という「ヒーローの鏡写し」なヴィランはまさに1作目の王道。パワーストーンみたいな杖で召喚したジャッカルは人々には見えない=精神障害に見えるも良い。ここぞで爆発させるラストのアクションシーンがいちいちキメ画でたまらんです。GOEMONじゃん!

3話
物語の折り返し地点だからか、かなり中継ぎ感があるエピソードだった。終わり方次第でこのエピソードの重要性が変わる。スティーブンの素アクションがかなり野暮ったく、変身からの蹴りなんかもMCU的ダメなアクションになっていたが、以降の重たくダメージも物ともしないアクションには中々グッときた。スティーブンもマークも良い!好き!で落ち着くのだろうか。マークが先だったのかスティーブンが先だったのか、序盤で現れた凶暴な第三の人格、母親は本当に存在するのか、とにかく楽しみである。

4話
いやぁ、面白い!ドラマの醍醐味、大胆なジャンル変換。MCUの中で1番怖いシーン、1番ゴアを感じる事ができる「アドベンチャーパート」が良い。個人的にアンチャーテッド実写版に求めていたのはこのテイストなのだが。マークの過去は意外とアッサリと言うか、あまり捻りは無しか…と落胆した所への「これがムーンナイトだ!!」と言わんばかりの転調。精神の病理を映画にするとは、こんな事を言うのだ!!

5話
ムーンナイト無しでムーンナイトの真髄を描く。大傑作エピソード。このエピソードだけでドラマ化の価値あり。母、どちらが先の人格なのか、何故分離したのか、を「精神病練」「ドア」を巧みに使い描く。「自分で自分を許す」という癒しへの道。逃避の手段として生まれら彼が消滅すればバランスは取れるのだろうが、彼も又自分自身であり、バランスを失ってでも自分らしく生きる=ムーンナイトとして闘うという答えに辿り着くのだろう。最終回楽しみ。

6話
思っていた以上に理想的な最終回。シーズン1での種まきは全て回収した上で更なるコンティニューを示すなんて。「戦い方が完全にファルコンじゃん!」はさておき、更なる女性ヒーロー、エジプトヒーロー、ヒロインではなくバディの誕生。神々の怪獣バトルに、空中戦に、「守る者」と「奪う者」のわかりやすい構図、そしてお馴染みにとなった「意識が飛ぶ」演出でフィニッシュ。ここに予算をぶちこんだか!と予算節約を駆使した脚本術。精神病練のシークエンスにも改めて説明を施し、そして最終的な「第三の人格」のエンドクレジット。意外性こそ無いが、完璧な6話構成だった。ロマンスよりブロマンスな1作。傑作ドラマでした。
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