モモモ

TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブのモモモのレビュー・感想・評価

4.5
1話(1/30)
スーパーナチュラル・刑事スリラー。時系列シャッフル構成。「過去の事件」の全容も明らかになっていない中で「今起きている事件」の謎が更に提示される。田舎での儀式殺人。ツインピークスをよりスーパーナチュラルに。オカルト版セブンのような凸凹刑事コンビ。家庭的で社交的なウディと内省的な発言を繰り返すマシュー。アルコールに娘に、そして変わり果てた姿に、なんて多層的な第1話。

2話(2/1)
娘の事故死と離婚、崩壊した家庭を持つ男。その相棒が1話で見せた幸福に溢れる家庭も仮初で。妻とは若干の不協和音、義両親との関係も中々にシビアで、若い女(口ぶりからして裁判所勤め?)と浮気している。揚げ足を取る嫌味野郎の自覚を持つ男は相棒とも喧嘩になりかけるが、それはそれとして仕事は二人とも一生懸命。そこが良い。幻覚持ちなので今後何が起きようと「現実なのか?」が付き纏う。被害者女性のような壁の絵でクリフハンガー。ロケ地も最高だが、撮影がいい。まるで悪夢をずっと観ているようだ。

3話(2/1)
伝言ゲームな捜査手法で遂に確信に迫る。クリスチャンを軽視する男。何故なら脳内で人間のフリをしているに過ぎないのが俺たちだからだぜ!?と。マコノヒーのセリフが面白いのなんの。浮気している中での独占欲爆発しゃぶったのか連呼。刑事として、父として、夫として立派である瞬間が嘘なわけではなく、どんな人間もグレーに過ぎないというだけ。

4話(2/4)
キャリー・ジョージ・フクナガと言えば長回しだよね、と言う先入観は本エピソードから。「私にリスペクトを払え!」はあまりにも正論で、家族を壊したのは自分で、理不尽極まりないのだが、仕事人としての切り替えは見事で。というか、仕事に逃げてると没頭して良い仕事振りを示すんですよね、二人とも。ラストはずっと仕事に逃げてるだけで。相棒も晴れて家庭崩壊で仕事人間に。公私を分けた関係性で、お前の事なんて知るかとの態度なのに、奇妙な同棲生活がグッとくる最高のバディ物。

5話
「トゥルー・ディテクティブ」の意味が判明する最高の5話。信頼できない語り部作品大好き。事件解決へと一気に駆け上がるが「子供が犠牲者」であってことから暴走。偽りの供述で「トゥルー」を歪める前半戦。そこから時が経ち「黄色の王」が浮かび上がり「トゥルー」が揺らぐ後半戦。マコノヒーの方がヤバそうなのに、銃を撃っちゃうのも、娘がグレちゃうのもハレルソン側なのが良いですよね。バディ物として何処までも美味しい。そんでラストへの疑いに対して「トゥルー」を知ってるのがかつての相棒ってのもね。グっときちゃう。回想形式もここでひと段落。捜査も振り出し。残り3話でこの盛り上がり、この折り返し。時はサークル。全ては繰り返し。悪夢の先には悪夢しかない。

6話(2/21)
信頼できない(トゥルーではない)語り部はラスト、マーティを飛び越えマーティの妻までに。それもそのはず。仲違いの原因なのだから。マーティは自業自得…というより「未成年だろ」と我が子を重ねて憤慨していた男が数年後にその子と不倫関係になるんだから。既に未成年じゃないとは言えね。子供が犠牲になっていた事で思わず発泡した男がですよ。もうどうしようもないクズ。ラストも誘惑に負けたとは言えね…奥さんの策に乗った、当て馬に利用されただけでね…。教会が裏にいんだろ…との事件の確信、フォーカスが絞られる話ながら、バディの衝突が軸。子供を食い物にする「教会」に文字通り物語もラストも踏み込む社会性サスペンスの教科書。子供を亡くしたラスト、子供と上手くいっていないマーティ、子供の為に引き金を引いたマーティ、子供を殺した母に自殺を勧めるラスト。子供、子供、子供。ドラマ故の深掘りされるテーマ性。最高の作品。

7話(2/22)
くたびれた二人。薬と酒漬けで世捨て人となったラスト。家族は失い寂しい(これが本当に寂し過ぎて精神抉られる)マーティ。出会い系(婚活?)サイトを時折見ながら、家で一人冷凍食品を食べる。もうこんなものは見たくないと警察を辞めた男。最後にやり残した事をやり切ると決めた男。円環を閉じようともがく男達。宗教系学校の児童性虐待から呪われた一族、彼らを取り巻く権力が浮き彫りに。不死の存在を匂わせる(信仰だろうが)スーパーナチュラル要素。死の先には何も待っていないで欲しい、ラストの言葉に同意する最高の警察ドラマもいよいよクライマックス。

8話
7話のクリフハンガーで明らかになった「芝生を刈っていた男」の種明かし。既に犯人と接触していた王道展開で全ての幕が閉じる。この世ならざる場所に赴いてしまったと錯覚するような美術、ワンカットの重さと長さが心地いい撮影、ラストの哲学的で回りくどい台詞回しが最高なキャラクターアーク、スーパーナチュラル要素を兼ね備えながら地に足がついた警察物をやり切る脚本、そして主演二人の演技力。蓋をあけてみれば娘を失った男の喪に服す物語だったのかもしれない。今は闇より光が強くなっている。仲良しこよしとは真反対の、それでいて最高に息があっている、仕事人としてのバディ。忘れ難いドラマシリーズの1つ。
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