mimitakoyaki

その年、私たちはのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

その年、私たちは(2021年製作のドラマ)
4.2
特に何が起こるわけでもないので、どんな話か?と聞かれると一言では言えないのですが、主演3人の心を繊細に見せてくれて、淡く優しいストーリーでした。

高校時代の同級生であるのんびり屋のウンと優等生ヨンスが、高校の時以来10年ぶりにドキュメンタリーに再出演する事をきっかけに再会します。

ウンとヨンスは正反対で互いに独特な性格ですが、2人がもう一度ドキュメンタリーを撮られる事で、それぞれが過去や今を見つめ、自分の中で欠落した欠片を埋めていきます。

頭は良いし仕事はできるけど協調性がなく、つっけんどんで人を寄せ付けないヨンスも、絵で成功して人気画家になったものの、どこか気怠くて主体性がないウン。
彼らがどうしてそうなったのかがだんだん見えてくると、彼らの生きづらさがグッと胸に迫ってきて、ずっと一人でつらかったんだけど、それぞれの孤独を受け止めてくれる存在に支えられ、自分自身の過去を受け入れ、自分のことも相手のことも大切にできるようになっていくのがとっても良かったです。

特にヨンスが終盤にある岐路に立たされますが、彼女が自分でどう生きるかを選択できたのが心に残りました。
今まで自分が傷つかないようにガチガチに鎧で固めて、でも自尊心が持てなくて、自分の思いを閉じ込めてきてたけど、誰かに依存することもなく、また自分を犠牲にすることもなく、決められたのが良かったし、ウンの事もも自分の事も信じられるようになったんだなと思って感動しました。

で、キムソンチョルですよ。
ウンとは幼馴染で、今は2人のドキュメンタリーを制作するプロデューサーのジウンの、ずっと自分を諦めてきた寂しさや孤独がとても切なかったです。
そんな風にしか生きられない不器用なジウンですが、自分の中に空いていた大きな穴を少しずつ埋めていけるようになって沁みました。

ウンの両親やジウンの先輩プロデューサー、ウンに片想いする人気アイドルのNJなどもとても良かったです。

ジウンに幸あれ。

9
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