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今、私たちの学校は...のyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

今、私たちの学校は...(2022年製作のドラマ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

化学教師が生み出してしまったゾンビウィルスが学校に蔓延。脱出を試みる学生たちが孤軍奮闘するK-ゾンビ・学園もの。

ひとりの感染者から、一気に蔓延するゾンビウィルス。その反面、事態の急変に頭が追いつかない学生たち。次々ゾンビ化する学生たちが、同級生に襲いかかるシーンは、衝撃的で圧巻。演出も巧みで、迫力あるシーンが12時間、常に続いている感じは圧巻で、見続けたくなる中毒性があるドラマシリーズ。

実家がチキン店を営むチョンサンと、その幼馴染のオンジョ。オンジョが想いを寄せるスヒョウ。優等生委員長のナムラ。ひょうきんもののデスに、不良グループのグゥ・ナムなどなど、学園ものに登場すべきキャラが一通り揃っていて、物語が進むにつれ、学校外の親や政府組織なども登場。
幼馴染との恋愛三角関係や、悪ガキと優等生の恋路、クラスのはみ出しものとの反発や仲直り、教師による救済、父母との確執と理解、不良グループのいじめ・性暴力、救済してくれない大人たちへの懐疑、モラトリアム、ゾンビウィルス誕生の悲話、大切な人のゾンビ化・別れ...などなど、いままであったゾンビモノやあらゆる物語を因数分解して、おもしろ要素を盛り込んで作り上げた、そんな感じ。
恋愛や受験や、大人と子供の間の高校生というシチュエーションを上手に活かして、全ての要素を詰め込んで見せていく。
メインストーリー自体は至ってシンプル。ゾンビに捕まらないで、逃げる。素早く動くゾンビから逃げる様は、スピーディーでスリルがある。その合間に入る、面白要素を踏まえたサブストーリーとが、バランスよく融合されていて見ていて飽きない。

いろいろ楽しめるものがたくさん入っているから、どれかに引っかかって楽しむことできる。しかし、飽きはこないが、いろんなものを詰め込んだ幕の内弁当ムービーにはなっていて、ひとつひとつを徹底的に掘り下げてはいない。バランスよく描いているから、どこかに強いメッセージがあるように見えないだけかもしれないが、画面上から感じるのハラハラ以上のもの、見終わって心にぐさっと刺さるものはそんなに深くない。
ゾンビ感染しているけど無症状状態の学生がいるなどコロナ・ウィルスが蔓延した現代をベースにしたセリフや設定があったり、政府や軍が助けてくれないシーンがセウォル号を想起させたりすることもあるが、そういった社会問題を想起させるまでで、そこから一歩踏み込んで、結論を描こうとはしてない。

「ゾンビは現代社会のメタファー」と言われることもあるけれど、今回のゾンビはなんの恐怖のメタファーだったのだろう?そこの怖さはあったのかなあ。そんなドラマだった。
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