yamadakaba

スイッチのyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

スイッチ(2020年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

検察官と弁護士、元恋人同士のふたりが事件の真相をお互いの視点から突き止めて行くサスペンスものであり、恋愛ものでもあるドラマ。

坂元裕二ならではのいつものセリフ回しを、映画「夢売るふたり」舞台「逆鱗」でも共演し相性のよい阿部サダヲと松たか子が絶妙なテンポで掛け合う芝居は必見。坂元裕二曰く、コメディタッチなセリフを当て書きして書いたそう。
ふたりの関係性を同じシチュエーションの切り返しで視聴者にわからせる月川監督の演出もはまっていたと思う。

検察官の駒月直(阿部サダヲ)と弁護士の蔦谷円(松たか子)は、中学生の頃トンネル崩落事故に遭った中のたった二人の生還者。かつては恋人同士だったこともあるけれど、いまは腐れ縁で繋がっている。そんなふたりの切っても切れない仲も気にしながら事件の謎が解明されて行く感じが、見ていて飽きない。

自然体の演技に加えて、本当に事前に用意された脚本なのかもわからないような自然なセリフ回しが見ていて楽しい。腐れ縁らしく、お互いけなし合う会話のやりとりなんて、本当にどこかの家の痴話喧嘩をそのまんま書き起こしたのではないかと思うくらいリアル。そんな会話がまた伏線になっていたりするから、聞き逃せなかったりする。

脇を固める俳優陣も豪華で芸達者。直と円のお互いの恋人として出演する中村アンと眞島秀和は、リア充な感じのいけ好かないキャラに見えて、実はパートナーをちゃんと思いやる気持ちを持っていたりするのだけど、前半はいけ好かないだけのキャラなんで、そうなると視聴者としては直と円にくっついてもらいたくなる。(結局そうはならないのだけど)という仕掛けがキャラクターの設定でできていたりする。直と円は結局最後はくっつかないのだけれど、それはそれでよかったねと思えるような、脇役のキャラクターですら奥行きを感じさせる展開になっているのが素敵。
円の同僚の高畑淳子や岸井ゆきのとの絡みも面白くて見所。

直と円、名前からしてソリの合わなそうなふたりが、腐れ縁でつながり続けている感じが、こちらとしても見守り続けたくなる、そんな作品。
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