なお

らんまんのなおのレビュー・感想・評価

らんまん(2023年製作のドラマ)
4.4
NHK「朝ドラ」第108作。

「日本植物学の父」として、日本全国の植物を愛し続けた牧野富太郎博士の一生をモデルとしたドラマ作品。

✏️花の名は。
このドラマのおかげで、道端に生えてる草花に「おまん、誰じゃ?」と少し興味が湧くようになったし、普段何気なく「雑草」と呼んでる植物にも必ず名前があるんだよなぁ…と胸が熱くなる作品だった。

徒歩で日本中を巡って日本全土の地図を作ろうとした伊能忠敬にも通ずるものがあるんですけれど、「途方もないこと」に挑戦し命を燃やした偉人に自分はとてつもないロマンと情熱を感じてしまうんですね。

まだ植物学の「植」の字も生えたての日本の植物学会において、小学校中退という身分で大学に潜り込み、それでいて「日本のすべての植物の名を明かす」というそれこそ「途方もないこと」に挑んだ牧野博士(=槙野万太郎)の一生をどこまでも描き切った作品だと思う。

万太郎が活躍したのは、日本という極東の小国が徐々に世界に打って出ようとした激動の時代。
時代の波に揉まれながらも、「植物が好きだから」という思いひとつで有言実行、ついに図鑑を完成させるまでの姿にはただただ畏敬の念しかない。
今でこそ珍しくない「好きを仕事にする」の第一人者だったんじゃないかなぁ。

そんな万太郎の活躍を主に描きつつ、本作もう一人の主人公、和菓子屋の一人娘で後に万太郎の妻となる寿恵子の存在も忘れてはならない。
というか、この寿恵子がいなければ万太郎の夢は絶対に実現しなかっただろう。

どこまでも植物学の道を突き進もうと前しか見ていない万太郎を、時にはやし立てるように激励したり、時にどうどう、と落ち着くように説得したり。
寿恵子は本当に万太郎のことが大好きだったのだろうし、誰よりも万太郎の夢を信じていたんだなぁ、と。

「内助の功」などという言葉で片づけるにはもったいない、まさに二人三脚で駆け抜けた一生だったのだ。

☑️まとめ
「途方もない夢」
万太郎一人では到底実現できなかっただろう夢を、万太郎はその人柄と植物への愛で成し遂げた。
自分のような別段植物に興味のない人間を「植物の世界」へと誘ってくれた素晴らしいドラマだった。

ちなみに、実在の牧野博士が集めた植物標本は40万枚に達し、ドラマの最終盤でも描かれた「残された植物標本の分類」が終わったのはなんと今からわずか2年前の2021年!
優に60年に渡って分類作業を継続してきたことになる。

この世を去った後も人を動かし、影響を与え続けた牧野博士。
彼の植物愛を超えられる人物、未来永劫現れることはないかもしれない。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★★★
📖物 語:★★★★★
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆
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