なお

どうする家康のなおのレビュー・感想・評価

どうする家康(2023年製作のドラマ)
4.0
NHK大河ドラマ第62作。

死後400年経った現在でも、多くの人びとから愛され・慕われ・敬われる大偉人・徳川家康の生涯を、思わず吹き出してしまうようなユーモラスさと目を背けたくなるようなリアリティを持って紐解く歴史ドラマ。

✏️さあ、どうする?
「織田がつき 羽柴がこねし天下餅 座りしままに 食ふは徳川」───
これは1849年に、歌川芳虎という絵師が描いた浮世絵に添えられた有名な一節。
ちなみにこの浮世絵を描いた芳虎は幕府の怒りを買い、手鎖50日という厳しい刑罰を受けたらしい。

自分もこの「どうする家康」を視聴するまでは、家康ってそんなに苦労せずに天下を治めた運のいい人なんだな~、くらいしにか思っていたけどとんでもない。
めちゃくちゃ波乱万丈な人生を送ってるやんけ…

武田信玄、織田信長、豊臣秀吉…
戦国時代を代表する「物の怪」とは常に一触即発の状況でありながら、血の気の多い家臣たちのゴキゲンも取らなければいけない。
「なんでわしがこんな目に…」と肩を落とすマツジュン家康の隣に座って、よしよし、と背中を叩いてあげたくなる。

それにしても、家康ってこの血みどろ戦国時代の中でほぼ唯一といっていいくらい「真に平和な世の中」を作り上げようとした武将だったんじゃないかな…と、本作を完走してそう思った。

一応「ドラマ作品」という肩書がついた作品なので、若干の脚色や誇張(家康以外の武将がほとんどヒールのような描かれ方をするなど)は含まれるだろうが、それを持っても家康の存在がなければ、以後200年平和な世が続いた江戸の時代は訪れなかったんだろうなぁ、と。

物語やキャスティングもさることながら、撮影に使われたセットやその背景の違和感のなさが素晴らしいと思う。

本作は大河ドラマとしては初の「バーチャルプロダクション」技術を採用した作品。
詳しいことは各自調べていただきたいが、この技術のおかげで違和感のない「戦国の世」の空間をテレビ画面上に再現することに成功している。

ともするとこういう時代劇のセットってなんとなく安っぽい、下手を打てばドリフのコントのような雰囲気になりがちだが、本作ではそのような"違和感"は一切感じられない。

民放テレビ局に先駆け、4Kや8K放送をスタートするなど、先端技術の導入に余念がないNHK。
今後のドラマ制作においてもその熱意は忘れないでいてほしい。

☑️まとめ
「徳川家康」というビッグネームだけが先行し、その詳細な功績や偉業についてはあまり詳しくない自分でも楽しめるシンプルかつ奥深い作り。

数年前に日光東照宮に行ったことがあるんですが、その時は特にありがたみみたいなモノを感じずに拝観してしまったな…
そんな東照宮始め、家康ゆかりの地をぜひ訪れてみたくなる魅力たっぷりのドラマだった。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆
なお

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