なお

ジェン・ブイのなおのネタバレレビュー・内容・結末

ジェン・ブイ(2023年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アマプラ限定配信のドラマ『ザ・ボーイズ』のスピンオフ作品。

本編ではヒーロービジネスで世間に幅を利かすホームランダーたちヴォートと、そのヴォートを壊滅せんとするブッチャーたちのバチバチの対立構造を描いているが、本作では一転「学園ドラマ」的作風に。

✏️私たち「V世代」
本作で舞台となるのは、ヒーロー養成学校「ゴドルキン大学」。
そのため主要な登場人物のほとんどが、「ボーイズ」のおっさん連中(失礼)と違い壮健で若々しい。
本編とはまた一線を画す作風ではあるが、やはりそこはエロ・グロ・ナンセンス、なんでもありな「ボーイズ」のスピンオフ作品。

舞台を学園という閉鎖的な空間に移しながらも、毎話衝撃的な演出と展開で視聴者をグイグイと作品世界に引き込む手法は「ボーイズ」さながら。

物語のプロットも「裏で糸引くヴォート」vs「その闇を暴こうとする主人公たち」という本編そっくりそのままな感じなので、本編を完走している人はもちろん途中で見るのをやめてしまった人や、果ては一見さんでも取っつきやすい単純なストーリー構成は魅力。

マリー始め一部の主要な登場人物たちの能力も、ティーンエイジを卒業してわずかしか経っていない若人が抱える悩みから発現しているもののようで、実にヒネリが効いている。

例を出してみると…
・マリー:自傷行為
自らを傷つけ出血させ、その血を操って攻撃。
自分のものだけでなく、他人の血も操れる。

・マヤ:摂食障害
嘔吐することにより自らの体のサイズを小さくさせる。
逆にハイカロリーなものを食べることで、体を大きくさせることも可能。

・ジョーダン:トランスジェンダー
男女の肉体を自在に入れ替えることができる。
あと、手から衝撃波出せる。

もうここまで来ると「暗喩」というにはそのまますぎるが、単にスーパーパワーでパンチとか、目からビームとか、そういうありきたりな能力としなかった点は斬新。

そのほか「学園内ヒーローランキング」つまりSNS上での人気を得るため奔走する学生たちの姿が滑稽に描かれるなど、「若い学生ならでは」の人間模様が描かれている点も面白い。

シーズン中盤で少し中だるみするような時間帯があったことは否めないが、全体的な完成度と今後の展開への期待度は十分に高いドラマ。

☑️まとめ
本作は本編とのクロスオーバーも予定されている。
現に、物語とマリーの運命の鍵を握る重要な人物としてビクトリア・ニューマンが登場。
本作では、本編ではその仕組みが謎に包まれていた彼女の能力の秘密が明かされることに。

最終話ではホームランダーとブッチャーもわずかな時間ではあるが登場。
今年の6月から配信予定「シーズン4」を120%楽しむためには必見のドラマとなっている。

また本作自体も、既にシーズン2の制作が決定している模様。
「ゴドルキン大学の守護者」として祭り上げられたケイトとサム。
逆に本来「守護者」として名声を獲得すべきマリーたちは、出口のない謎の施設送りに。

ヴォートの暗躍はどこまで続くのか。マリーたちの運命は。
今後も目が離せない。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆
なお

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