mimitakoyaki

ゴールデンスプーンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ゴールデンスプーン(2022年製作のドラマ)
4.0
極貧の高校生が、不思議な金のスプーンで財閥家の同級生の家のご飯を食べることでその家の子と入れ替わるというファンタジー設定のドラマですが、深刻な格差、競争、学歴社会である韓国の事情が色濃く反映されていて、家族とは、幸せとは何かを問いかける物語でした。

ファンタジーなので、細かい設定が気になり出すとアレですが、そこを飲み込めば楽しく見られます。
とにかく、貧困家庭に生まれると、頭が良くてもそこから抜け出すのは容易ではないし、貧困のせいで虐められ、我慢することも多く惨めで、周りとの差を感じて自尊心を削られていくうちに、金の魔力に取り憑かれてしまい、一番大切なものを犠牲にしてまでも、金と権力を手放せなくなってしまい、後戻りできなくなってしまうのが辛いんです。

財閥家の後継ぎとして育ったテヨンは、いつも父に怯え、過去のトラウマにも苦しめられて、大金持ちなのに全く幸せではなく、金のスプーンによって貧乏なスンチョンと入れ替わり、貧しさで苦労しますが、両親に愛されて、これまでに感じたことのない安らぎや幸せを感じるのが、スンチョンと対照的です。

お金、権力、物には満たされるけど、心が満たされないお金持ちか、家族が仲良く愛情には満たされるが、日々の生活に苦労が絶えない貧困家庭か、どちらかを選べと言われても難しいですが、幸せにはどちらも適度に必要だと思いました。

はじめは、スンチョンの父親が情けなく見えましたが、お父さんの愛情深さには泣かずにはおれなかったし、演じてるチェデチョルさんがとても良かったです。
「雲が描いた月明かり」や「昼と夜」にも出てましたが、「昼と夜」と同じ人となかなか気付かなかったほど、全然雰囲気が違ってました。
貧しいけれど誇り高いお父さんとお母さんがとてもかっこいいシーンもあり、人として大事な事を教わった気がしました。

スンチョンは主人公なんですが、金と権力にとらわれていき、大事なものを見失ったり、そんな自分に失望したり葛藤するのが、綺麗事ではないリアルさがあって良かったです。

最後にナイヌ出てきた!と思って、何やその役は…と思ってたら、そう来たか!という展開で驚きました。
主演のユクソンジェ、イジョンウォンも、チョンチェヨンやヨヌもこの作品で初めて見ましたが、脇を固める役者はあちこちで見かける方も多く、ホームレスのお婆さんがペクヒョンジュってのはインパクトがあったし、またソンジョンハク出てるし、チェウォニョン、チャンヒョクジン、キムギドゥなどなど、嬉しい顔ぶれでした。

20
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