モモモ

仮面ライダーBLACK SUNのモモモのレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
3.2
1話
期待していた水準は出てこなかったな…が正直な感想の第1話。ゴム人形にしか見えない質感の怪人が作品への没入感を削ぐ。映画とドラマで予算の規模、割き方がまるで違うと言われたらそれまでだが、シン・シリーズの様にVFXじゃないと「今の最低限」には出来ない。あの量の怪人を全部VFX!?と思ってしまう事自体が日本の実写映画界へのやるせなさに繋がる。冒頭の美術に、ロケーション安っぽさ(国連には見えない)に、「大人向けの仮面ライダー」とは到底思えない。1部のアクション(変身からの蜘蛛男冒頭)やゴアアクション、役者の絵力(主に西島秀俊)、今野さんの好演に、良いところは勿論あるが。ショット毎のクオリティにも差があり、不安が強い1話となってしまった。

2話
あんな生首チョンパの血みどろバトルの後に普通に翌朝帰宅し、居合わせた少年は「無事だったんだね〜」で済ませちゃうの、かなりリアリティラインを下げてませんかね。チグハグだ。それでいて居候先の保護者は無惨に死ぬし、どんなテンションで観ればいいのか判断しかねるな…。西島秀俊のバイクシーンが合成丸出しなのは「仮面ライダーだから」の敢えてなのかもしれないが、やはり馴染みがない自分にはノイズになる。速攻で勝負をつけて胴体真っ二つにするゴアバトルはいいが。え、幼馴染2話で退場!?と胸躍らせたのに、万能アイテムヘブンで復活とは。脚本のヤバさが2話で露呈してるが…とりあえず続きを観よう。

3話
原典を知らないのでマジで呆気に取られてしまったのだが、ビルゲニア、いいんですかこのデザインで。と言うか、自分の観る姿勢が間違っていたのかもしれない。肩の力を抜いて観よう。それにしても直球なBLMに安倍晋三揶揄に、肩の力を抜いて観て良い題材ではない気がするのだが。鯨の怪人との闘いもだいぶ拍子抜けだが…俺たちはもっと怒っていいのでは…?

4話
怪人になったら理性を失うとか、マインドコントロール下に陥るとか、そういう理屈がなさそうだったのに「父が娘を襲う」のおかしくないですかね…。自分たちがあげた物を忘れてる感じ、正気ではないんだろうけど。じゃあ他の怪人はどうなんだって話だし。ヘイトスピーチをこれでもかと描くのは良いんだけど、その割には2度と来ないと言っていた差別的なカフェには来てるし。何だかよくわからなくなってきた。蟹の腕持ち帰る画がシュール。創世王の椅子とかやたらショボいのに、夕日バックの埋葬とかはキレキレの画で、何だかチグハグな作品だな。

5話
俺が守る、からの嘘みたいに雑な失踪、策略にハマる導入。嘘みたいにアッサリとした怪人化は「マジか」と少し驚けたが、母親のセリフや末路がやはりおざなりで拍子抜け。かと思いきやの、本気の「変身」。正直、痺れました。お馴染みとなったテーマ曲。真っ向勝負のポージング。折り返し地点で見せた待望の変身。ここだけは本当に良かった。滾った。だけど、それ以降はやっぱりポンコツ。魔性の女のよくわからん「血で書いた手のひらの∞」に絆されて、石を出しちゃうのが解せない。そもそも、アオイに石を持ち歩かせるのも解せない。何もかも解せない。それでも、西島秀俊も変身は抜群にかっこいい。チグハグだ。

6話
何か色んな要素が中途半端なまま最終局面に入ってないか…?怪人も、キングストーンも、変身も、何だかよくわからない。掘り下げがこの後あるのか、何もかも宙ぶらりんのままゴールしてしまうのか。冒頭の次期創世王…になれなーい!二連発から、映画というよりショートコントを観てるみたいで…アクションもイマイチだし、モチベーションが下がっていく…。

7話
脚の怪我は創世王から受けた物だったんだ!てか、創世王ヤバくなったらめちゃくちゃアグレッシブに動くな!てか、創世王と同じ謎能力持ちなんだ!と驚きはあったが、もう根本的な話運びと語り口が雑で、面白い作品では既に無い。過去と現在の交差も全く上手くいってないし、やる意味がない。「脚どうしたんだよぉ!」と言うコウモリの2段落ちがやりたいなら、前話に入れるべきだろう。同じ話で鏡写しをしても面白くはない。テロ行為の後に普通に「またね」と別れる若者二人が顕著だが「なんでそんな緊迫した状況でそんな行動を取るんだ」が続いて、リアリティと言うか、生きている人間にまるで思えない。怪人の成り立ちの解説も、今までの話で曖昧にし過ぎていた割には「まあ、そうなんでしょうね」と言うオチだし。誰にも気付かれずに雀くんを吊るすのも現実的ではなくないですか?テロではなく、その後のヘイター達のリンチで死んだのなら信彦が責任を感じる必要はまるで無いし。行動の意味を「スパイでした」でアッサリ失った男が「憎悪の対象」を見つけた、と言う笑みなのだろうか。それなら筋が通るし、その上で「人間へ報復」した時に遂に「変身」するのも、中々に皮肉な展開だが、諸々がガバガバでどう判断すれば良いのかが難しい。

8話
遂に2人目の「変身」。西島秀俊さんと同じで、本気の変身ですよ。正直、ゴルゴムで変身した時は「ふーん」程度だったのだが、襲撃からの「変身」は超格好良かったですね。ブラックの力強い「変!!身!!」とシャドウの静かな「…変身」、これは厨二、いや小ニ心をくすぐるなぁ。その後の石の投げ合い、キャッチミス、しょうもない妨害、まさかの取り逃しと「子供騙し」な展開と描写の連続で愕然とするんですが。元同士のボコられ、媚びへつらう回想までいれられて、少女にもボコられるビルゲニアが愛おしく思えてきた。キング牧師とマルコムXをやりたいのは一目瞭然だが、それならもっと真面目にやってくれ。女に振られて人類へ八つ当たりは酷いぜ。

9話
鯨の隠れ家?何で隠れ家にそんな機械が?機械じゃないの?なにその液体?創世王のエキスではなくない?なに?え?泳いでいかないと辿り着けない場所じゃないの?みんな普通に来れるの?じゃあ海水につけない方が良かったんじゃないの?え?という復活劇。
シャドウムーンの唐突な闇堕ち、唐突な過激路線。総理に媚びへつらう理由づけが薄いせいで、反乱も「もっと早くそうしてれば良かったのに」としか。キスで靡くシャドウムーン。もう何が何だか。
怪人になれた!やったー!じゃあ良いところ連れてってやるよ!
これ、差別を描く作品としてブレブレじゃないですか?それなのに最後は観客に「私たちの問題だよ!」とかやっちゃうし。最低じゃないかな。
ビルゲニアも惜しいキャラだ。あの中立的な警官も結局は子供殺しに来てる訳だし。
脚本、演出、構成、最低。役者、最高。カルト作品はこうした掛け違いから生まれるのか。

10話
いや、これは最低の着地では…?
結局、綺麗事は言ってらんねぇ!差別や腐った政治には武力で対抗するしかないよね!って…やばくないか…。少年兵のレジスタンス組織の誕生で「無限に叩き続ける」って、これどこまで製作陣は自覚して、マジで作ってるの?信彦が至った「怪人は暴力で人類を屈服させる!」を光太郎が守ろうとした少女が受け継いてしまった…という悲哀の物語…ではなくないか?だって信彦「あの頃に戻りたかっただけ」って言ってたじゃん。主義主張なんて無いんだぜ。みんながいた「あの頃」を失って暴れてただけなんだぜ?結局は光太郎も「意志のない創世王」に成り果てる元も子もないオチも大概だし。一体、僕たちは10話も何を観ていたんでしょうか???
総理をあんな簡単にぶっ殺せるなら、もう最初からやっとけよ。差別を扱って「暴力で全部解決」はやばいって。マジで。
「変身お前もできるんかーーい」もそうだけど、世界観も怪人設定も、ガバガバ過ぎる。
察してくれ構成にすらなってないぞ。
W変身からのライダーキックとかは、まあ良かったけどさ。終わってみれば冒頭の再現OPも掠れてしまったよ。
武闘派のビルゲニアと自衛を教えたブラックサンが守った少女が辿る結末として考えたら…受け入れ…られねえよ!!!
モモモ

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