いきなり余談だが私の中での向田作品といえば、本作と寺内貫太郎一家である。

役者陣の面子に圧倒！！

家族個々の秘密という点で山田太一作品とも一部共通するものがあり興味深い。
菊男の妹は、うるさい割に全く深堀りせず子ども扱いのスタンスが面白い。
汚れもの食器を洗う際、重ねるのを嫌う加藤治子のこだわりが良い。
靴屋の老夫婦と菊男のふれあいがとても良い雰囲気を醸し出している。
そして華やかさが全くない美容室(笑)

ＯＰテーマからとにかく重厚で暗く、文学的な演出はおよそ一般受けしないだろうがこの様式美、私は大好きである。（所詮暗いドラマが好きなのだ）

人間ドラマの名作。

• #名作

何度もゾクっとした...
一見地味なのにこんな面白いドラマ他にあるのかと思えたほど、毎回毎回、夢中になって観てしまった。

調べてみたら、父親役の木村功は広島出身で、原爆によって両親を失ったらしく、父（祖父）と子（息子）の間に挟まれる一家の大黒柱という存在を演じる彼の演技には目が離せなかった。

母親役の加藤治子が終始怖かった。

よぼよぼの志村喬が、最終盤、妾宅の家で見せた横顔が、不思議と若く見えた。

いしだあゆみ、良すぎる。
陰のある美人を演じさせたら右に出るものはいないんじゃないか。

主人公の妾宅の夫婦（大滝秀治と赤木春恵）、
悪い事は何一つしていないのに、追いやられた時に見せた表情が、何とも言えない、胸がギュッとなった。ほんとに名演。

改めて、向田邦子の脚本は凄い。

脚本、演出、配役、全てにおいて本当に心を打たれたドラマ。ぜひ、ぜひ再放送を望みます。