真田ピロシキ

アンという名の少女 シーズン3の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.1
シーズン1と2は共に5点満点をつけてたのでこのスコアでも落胆した気分が少なからずある。幸福感に満ちた第一話はとても良く、その後もメアリーに不幸が訪れても隣人を救おうとするコミュニティが描かれるアヴォンリーの優しさは美しい。またベルテインの宣言とそれに続く闘いはまさしくこのドラマの真骨頂と言えるものでパワフル。あとはマリラとマシューがアンの自立を前にしてこれまで以上に親としての顔を見せるのが心に響く。マリラの「愛しているからよ!」は重く、その愛がかえって互いに距離を作ろうとしてた事を考えさせられる。マシューの思いもそう。

だが並行して進められるギルバートとのロマンスがどうも。いえ、恋愛パートが嫌いという訳ではないし、ギルバート自体は非の打ちどころのない良い奴です。だけどスレ違いに次ぐスレ違いはまるでラブコメみたいだよ。手紙のアレなんかウンザリ。もしかしたら原作にもあるのかもしれないが、そうだとしてもバッシュ親子や先住民のカクウェット親子の深刻な話を挟みながらやるのには違和感がある。特にカクウェットは放置されて終わるのであれではアンがその場でだけ大切な友達面して実際は浮かれてる奴みたいに見えてくる。もうちょっとフォローは出来なかったのだろうか。恋愛パートは構わないと言ったけれど、現代の赤毛のアンとして今の価値観を盛大に取り入れたドラマなので本音としては恋愛に収束しない物語であってほしかった。ギルバートよりもルーツ探しの時にアンの光となったコールとの友情の方が眩かったんですよね。

事前にこのシーズンで終わりという事は知っていたので内心ビクビクしながら見ていたが、クリフハンガーはなく区切りはついている。ただ一つカクウェットの存在を除いては。終了の理由が人気がないならまだ仕方ないがNetflixと揉めたかららしいというのには呆れる。だからあっちのドラマは嫌なんですよ。優れた作品ですらまともに終わりやしない。