モモモ

ゲーム・オブ・スローンズ 第七章: 氷と炎の歌のモモモのレビュー・感想・評価

4.7
今までの10話構成から3話分を削った(と言っても個々のエピソードの分数が伸びているのでトータルでは変わらない?)事によって一層濃密に、そして贅沢になったシリーズ最高をお決まりの様に更新したS7。
S6までは全話数の中で後半部分の多くて2話が「大作映画に匹敵する壮大なファンタジー活劇」を体感出来る戦闘シークエンスと物語展開を孕んでいるのがお決まり(と僕は勝手に思っている)だったのだがS7は第1話からクライマックスの連続で度肝をぬかれた。
1話のデナーリスの凱旋、2話の火の粉舞う海上の闘い、3話のラニスター家の借り返し、4話のドラゴン大虐殺、5話の異色チーム編成壁越え、6話の神話VS神話、7話の死人達の大進軍、と興奮せざるを得ない見せ場の連続が毎話毎話体験出来るなんて…「全話最終回」という言葉が相応しいと思う。
その中でも僕のお気に入りはベタだが4話と6話だ。
この瞬間をどれ程待ち侘びただろうか。
S1で炎の中から3匹のドラゴンが生まれた瞬間から観たかった映像を遂に拝む事が出来た。
ドラゴンが空を舞い、炎を吐き出し、人は焼かれて炭となり、軍隊が崩壊していく。
「ファンタジー」の前に全てが蹂躙される様が恐ろしく、そして本当に愉快で堪らなかった。
しかもその「ファンタジー」に真っ向から立ち向かうのが我らがジェイミー・ラニスターなのが憎い。「いいぞ!もっとやれ!燃やし尽くせ!」と「ダメだ!死なないでくれ!」が同居するこの胸の高鳴りはこれ程の長作作品だからこそ、キャラクターに愛情が芽生えたからこそ、視聴者を安心出来なくさせたゲームオブスローンズだからこそ出来た面白さだろう。
そして「人間VSドラゴン」から間髪入れず「死人VSドラゴン」をぶち込んでくるのだから言葉も出てこない。
「もう十分ドラゴンの闘いは観たよね?だからもう一丁ドラゴンの闘いを観せてあげるね」という大大サービス。
最強と最強が闘う予想出来ない展開と戦闘スケール。
(7話の“あのドラゴン”の炎の色で更なる確信を得たが)ゲームオブスローンズは陰謀劇であり、ファンタジー大作であり、怪獣映画もとい怪獣ドラマだったんですよ…!!
最高です…それ以外の言葉に形容出来ないです!!!
そんなクライマックスの連続をどう締めるのだ?と期待に胸膨らませて臨んだ第7話が一転してアクション抑えめ、人間ドラマ重視という構成で又…本当に隙がない作品だ。
ジェイミーとティリオン、サーセイとティリオン、ジョンとシオン、サンサとアリア、サンサとベイリッシュ、そしてターガリオン…と挙げればキリがないS1から積み重ねたキャラクター達の因縁と無情な運命を存分に堪能出来た。
父の仇を姉妹で手を取り合って果たす「スタークの復讐」でS7を締めるのか、とほくそ笑んでいたら…更にその先へ行ってしまうなんて…。
思い返せば「ラニスター兄弟のある秘密」が全ての物語の発端だった。
その衝動的な隠蔽が火種になり、様々な家系を巻き込み滅ぼし、様々な思惑と神話の復活に翻弄され、その果てに辿り着いた救世主たる2人の王の1つの終着が「始まりの秘密」と同じなんて…何て救いようがなく、底意地が悪く、皮肉な展開だろうか…。
いよいよ残るは最終シーズンのみ。
遂にここまで来てしまったのか、と終わりを迎える虚しさを既に抱いている。
誰が生き残り、誰が死に絶え、誰が王座に座るのか。僕の予想など軽く越えていくに違いない。
少し時間を置いてから伏して挑みます。
モモモ

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