真田ピロシキ

ボイス 2 ~112 の奇跡~の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ボイス 2 ~112 の奇跡~(2018年製作のドラマ)
3.3
絶対聴覚捜査ドラマの続編。アメドラ化。或いはジャンプの読み切りから週刊連載化。

前シーズンでも普通の事件を追ってる時は良いのにメインストーリーのモ・テグ絡みになるとあまりに現実離れしてて入り込めなかったのだけど今回は更に嘘臭くなった。主犯はまたもやサイコパス。あまりにも安直に精神障害者を犯罪者扱いされると当事者としてはちょっと傷つくんですけど。しかもサイコが何人もいて徒党を組んでるという。バットマンか。

前シーズンのバディ ジニョクは病気の息子と海外に行ったという設定で外れて新しく加入するガンウだがこの人も何だか。サイコパスの異名を持つほど犯罪者の心理を読むのに長けている。またサイコパスか、まぁそれは良い。しかしそれ以外でも設定のメガ特盛丼で幼少期日本にいた時サイコパスの父親(いい加減にしてほしい)が近くの女の子を殺してて自分が誘導した疑惑を持たれている、時々記憶がブラックアウトする、何か裏の組織から一目置かれてるっぽい?と盛り沢山。そんなのいらないのよ。異能は主人公であるグォンジュ センター長が担ってるんだから。狂犬呼ばわりされるだけのただの優秀な刑事で立派にバディにして悪役の宿敵たり得ていたジニョクの描写を見失わないで欲しかった。

それとガンウの日本絡みで日本人役が度々出てくるのだけどこれが皆カタコトすぎる。あくまで韓国国内向けのドラマなので日本人役者やネイティブ並みの役者使えなんて言わないが、ちゃんと日本語監修付けてるのか疑わしいレベルに思えた。ガンウが大阪で住んでた家が裕福ではないタクシー運転手のはずなのに随分と立派だったのも本作のリアリティに疑いを抱かされてしまう。

とは言えメインストーリーじゃない通常の事件は誇張は勿論あるだろうが良い感じと思える。小児性愛者にボイスフィッシング詐欺、何年か前にアメリカで話題になったゾンビドラッグやDVと概ね突飛な事件はない。チーム内の人物や関係者が巻き込まれたり、ゾンビドラッグでは動画配信者(コイツも病気なんだが)を絡めるなど面白い切り込み方してて盛り上がる。小児性愛者の話は被害者の心の傷を真摯に描こうとしてたと感じられる余韻があって印象的。小さな悪を追うだけで十分に良い仕事をできるのに満足できず巨悪を追っかけるのに躍起になったこのドラマは現実で初心を忘れて行く姿を見ているようだった。

ちなみにラストはクリフハンガーだ!勘弁してくれー