真田ピロシキ

腐女子、うっかりゲイに告る。の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

4.5
昨年のマイベスト映画『彼女が好きなものは』より2年早く放送された同原作のドラマ。大まかな話は映画とほぼ同じなので展開は分かっているのだが、それでも引き込まれるストーリー。

見始めて思ったのはこういうことを書くのはルッキズム的で気が引けるが、三浦さんが映画では美少女風だったのに対してドラマでは愛嬌のあるタイプで安藤くんに腐女子バレした時の驚き顔にそれが表れている。オタク風という意味ではこっちの方がイメージに近い。これも世界を簡単に見ようとしてて良くない!しかしこの三浦さんも見てれば映画同様にそのかわゆさに虜。

安藤くんは映画と同じくイケメンである。親友の亮平には肉体的魅力を密かに覚えていたり、三浦さんとヤる時のシミュレーションに肉まんを使うシーンがあったりして、この肉まんは滑稽でありながら悲壮。また映画で印象的だったニモの水槽越しのキスシーンはドラマでは飼ってなくて、映画より暮らし向きは良くなさそうに感じられ母子家庭の本当っぽさを映し出すと同時に、お母さんに孫を見せてあげたい安藤くんの普通への渇望を強く思わせるものとなっている。

アウティング野郎小野はこっちでは直接の引き金になったと思われる行動があるので理解がしやすい。だがお前はクソだ!本音でぶつかれる奴であっても貴様の行為は許されるものじゃない。亮平が股間を触らないことを指摘した鋭さもなく、映画でのナイスな一言「発言を遮るなよ」もないので、映画よりも更に低いマイナス評価で終わってしまった。映画は飛び降り後に罪悪感でボロ泣きしてる動画を晒されてたり小野に少し優しい。ドラマは実はQUEEN好きなのがポイントなのか?小野と亮平以外の男子も割と目立ってて、そこは尺のあるドラマの利点。

残念なのはTVドラマなので映画ほどには映像が映えない。エモさが足りんのです。そういう訳で三浦さんのBLカミングアウトも物足りないかなと思っていたが、そこは人海戦術でカミングアウトを妨害せんとする教師たちを阻むクラスメイト男女。これだよこれがなくっちゃ。キラキラドラマ成分!しかもQUEENがBGM。本作の重要要素であるQUEENは各話のタイトルで要所でかかるので実にアガる。映画の方が好きだけどドラマも良い。順番としては逆だが次は原作を読もうと思う。映像化されてない続編もあるしね。