なっこ

恋愛ワードを入力してください~Search WWW~のなっこのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

三人の女性の三様の生き方、仕事、恋愛が描かれる。
見ていてとても勇気づけられる、やられたらやり返す、黙っていない女たち。すごくスカッとする。こんなにも強いヒロイン像を持てることが羨ましい。たとえドラマのようにはいかない現実があったのだとしても、こんなロールモデルが欲しい、日本のドラマにも。

年齢的にいずれの恋愛にも気持ちの面では共感できる。でも、待って、冷静になると、こんな出会いやシチュエーションはそもそもあり得ないね。パク・モゴンほどの包容力あって仕事より恋愛を取る年下男子なんて存在しないし、見てた連ドラの端役の撮影に街中で遭遇することもないし、そもそも財閥の娘ではないから政略結婚させられるなんてこともない。ないない尽くしの展開なのに、仕事を全うしつつ恋愛に悩むってところがあるあるだから、ついていけるのか、その匙加減が絶妙なんだと思う。こうも理想的な男性像との恋愛劇を用意しつつ、仕事での展開も面白いなんて、ほんと上手いなあ。

私はすっかりソル・ジファンのキャラクターに魅了された。同時進行で見ている『偶然見つけたハル』ではツン王子を演じている役者さんが近しい人にはあんなにも可愛く仔犬のように笑うとは衝撃で、演技とは分かりつつ本当にプライベートはこんな人なのではないかと思わされてしまう。ぜひ「ソル・ジファンの休日」と題してスピンオフとか制作して欲しい。

見終わって韓ドラで初めてノーカット版でもう一周したいと思った作品。

ペ・タミの恋愛観、結婚観はもう少し過去の恋愛も含めて彼女に語ってもらいたかった。彼女の生き方は嫌いじゃない。
誰もが安易に結婚=幸せと考えるところを正面切って結婚したくない、制度に縛られたくないと主張する姿は、とても強い人だなと感じる。
そして、姑の仕打ちを虐待だとはっきり主張し反撃していくソン・ガギョンも負けてない。これまでの自己犠牲的なヒロインとは違う。嫁として我慢し続けることはないと教えてくれる。姑である会長は、女の敵は女という構図のように見せておきながら、実は違う。彼女は夫の意志を継いでいるだけ。彼女も実は縛られ続けている、古い体質や夫の家に。ヒロインたちが戦っているのは男たちが作ってきた旧態然とした体制そのもの。会長や大統領はその象徴。
強く美しい女たちの連帯。そして、ブライアンのような、退き際を心得た理想的なリーダーもちゃんと登場させている。彼の眼差しはとても優しい。物語全体を底支えする父性としてとても信頼出来る登場人物だ。

結局のところ、ラストでタミは彼を受け入れる。それは、彼と“現在(いま)”を愛すると決めたということだ。歳の差恋愛あるあるで、どうしても自分に与えられないものを年下の彼から奪っているという罪悪感が消えてはいかないもの。それでも、彼女の捧げる愛も大切な時間も、ふたりにとってとても大きな価値があるのだと、私はヒロインを応援したい。振り返って考えてみると、このドラマでは仕事をきっちりやってその合間に恋もする。どっちも、というか、むしろ男を待たせる女たちの姿を堂々と描いてる。分かるよ、仕事に一区切りついてようやく彼のことを思い出す、今なら電話も出れるのに…。そんな描写はかつては男たちのものだった。自己犠牲的な母性を過度に礼賛したりしないところも好感が持てる。そこに私は、パク・モゴンの母親、教授の過去が実はヒロインと深くつながっていたような気がしてる。彼女の過去を掘り下げないのは賢明、女であれば分かるでしょ、という省略は嫌いじゃない。彼女の人生がなぜそうなってしまったのか、といういくつかの疑問は、とても興味深い。半歩前の世代の女の沈黙は、半歩先の女たちの反面教師。タミが説明しなければならない、結婚しない理由の色々は、多分教授が若い母親となったときに社会に浴びせられたであろう視線ときっと無関係ではない。
なっこ

なっこ