イスラエルのスパイとして、シリアに潜入していた実在する人物エリ・コーエンのお話。（このドラマを見るまで知らなかった）

嘘のような本当の話とはまさにこれ。
目立つなって言われてるのにグイグイいっちやうとことか、本気か？と突っ込まずにはいられない。スパイというより詐欺師の話を見てるよう。

話自体は、ガチ目の潜入なので、映画みたいなアクションシーンとかはなく、基本シリアの高官とおしゃべりして交友関係を広げていくだけなのだけど、ヒヤヒヤシーンが適度にあって、見ていて飽きず面白かった。

他人として全然違う生活をするというスパイの苦労や虚しさも語られていたところもよき。

前々からマイリストに入れっぱなしになっていたが、最近ドラマ『ファウダシリーズ』を一気見したのにあわせ、見始めた。

これはエスピオナージ系事実ベースのドラマとして傑作だ。
スパイの手法は現代とちがってアナログだが、基本はいかに対象者の信頼を勝ち得るか、現地で知名度のある協力者と太いパイスをつくれるかでしょう。

実在のスパイはとにかく人ったらし。私生活とスパイの二重生活を難なくこなしているのだが、しだいにイスラエル当局の期待にこたえるため、傍目からみたらむちゃくちゃな秘密工作を自主的に進める。

このあたりの緊迫感はなかなかのもので、主人公がある種の〝スパイ・ハイ状態〟にあることをじっくりと描写する。

撮影、編集のテクニカルな部分では、２画面分割やモノクロとカラーの使い分けが上手だった。オンオフによって映像色が切り替わる。地味だがシャレている。見終わった後にWikiで確認するとちょっと切なくなっちゃったなぁー。

実際にシリアでスパイ活動を行っていた、イスラエルのスパイ、エリ・コーエンの活動を描いたドラマ。

いわゆる普通の平和な生活では全く考えられないことがいっぱいあって、スパイ活動ってこんななんだ、っていう驚き。一方、話はスパイ活動のために離ればなれになってしまうエリ・コーエンと奥さんとの間の愛が軸にあるから、感情移入もしやすくて、見やすい作り。奥さんもきれいだし最後まで素敵な奥さんだった。

いつもおちゃらけてたり悪かったりするイメージのサシャ・バロン・コーエンがエリ・コーエンをシリアスに演じてて、こういう役やっても演技うまい、って新鮮。真面目すぎたり優しくて人のいい感じだったりキリッとして別人としてスパイ活動してたりもよく似合ってて、これがサシャ・バロン・コーエン！？ってなるけどこんな彼の演技も好き。