にゃん

路(ルウ)~台湾エクスプレス~のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

台湾の良さが、台湾が好きな春香という日本人女性の視点で良く描かれている。
初めて台湾を訪れた時に道案内をしてもらいそこから1日だけ共に過ごした台湾人エリック。春香は彼氏と婚約したがエリックのことを想うと気が進まない。
台湾に日本の新幹線が通ることになりプロジェクトに携わる春香は「新幹線開業まで待ってほしい」と婚約者にお願いする。
台湾に想いびとがいることに気づき彼氏は疑っていたが、春香は自分を信じてほしい、と。
その後、同僚がエリックのアドレスを見つけてきた。受け取ったものの連絡を躊躇する春香だったが、エリックのほうから"会いたい"とメールが。"私も会いたい"そう遂に送ってしまう。
日本で仕事をしていたエリックは台湾に帰国し春香と再会を果たす。春香はエリックへの気持ちを恋だと自覚すると同時に婚約者への罪悪感が胸をざわつかせた。
何度かエリックに会ううちにエリックから告白をされるが、春香は友達でいようと伝える。エリックは「好きな人とは友達になれない」と。2人はここから会わなくなってしまう。
新幹線が開業前に1ヶ月間試運転のテストをすることとなる。その頃春香は婚約破棄する決断をする。それはエリックと付き合う為ではなく、大好きなこの台湾に残りたいから。仕事も次の移動先は東京だった為、辞める決断をする。

新幹線開業の日、新幹線に乗るためにエリックとの縁で出逢った膵臓癌末期の元台湾で軍人として過ごした男性とターミナルへ。
そこで遠くにエリックの姿を発見する。
男性は気を利かせて乗務員の元へ。
春香はエリックと新幹線に乗ることに。
エリックとそのまま復縁かと思いきや、エリックは日本で仕事を続けることに。

また遠距離になってしまう、というオチだったが、あのモヤモヤしたままの気持ちで結婚しなくて正解だったと少しホッとした気持ちになった。

エリックと連絡が出来なかったのは、台湾で出逢いお別れをした日、エリックからもらった電話番号の紙を無くしたことが始まりだった。その後の神戸の大地震。エリックは地震に巻き込まれたから連絡がないのだと春香を心配し、神戸まで来てくれていた。
その後台湾で大地震があった際、春香もエリックを心配し台湾を訪れていた。
距離も遠く国籍も違う、会話も辿々しい時期に出逢った2人だったのにこんなにも思いあっていたことに感動した。

春香のストーリー以外にも、
台湾戦争を終えて日本に戻ってきた男性が台湾に残った戦友に、のちに男性の嫁になる彼女への好意に気づき「二等国民」と罵ってしまったことを後悔し台湾に思いを馳せていたというストーリーや、
台湾人同士の恋、それも日本人との間に出来た子供をシングルマザーとして育てる彼女に昔からの恋心が再び燃え上がり告白、無事成就するというストーリーの3本立てであり、
同時進行し最後には新幹線開業日に3つの線が重なるという構成。

波瑠の演技が合っていたのか、ほのぼのとした温かみのある素敵な話だった。
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